お題 079. 【甘い】 (ブウ戦後悟チチ)
凍える手を擦り合わせながら家に入ると、香ばしい食欲をそそる匂いとともにほんのり甘い匂いに鼻を擽られた。
リビングには以前自分が山から取ってきたもみの木に煌びやかな飾り付けがなされたツリー。
そういえば今日だっけか。
世間一般の行事など全く関心の薄い悟空らしいあっさりとした感想。
きっと悟天とチチが飾りつけしただろうそのツリーを横目に匂いの根源であるキッチンへと足を運ぶと。
丁度焼きあがった鳥の丸焼きをオーブンから出そうとしている所だった。
「悟空さ、お帰り。早かっただな」
「あぁ。今日は寒かったからな。少しばっかり早く切り上げてきた」
オーブンを開けるとますますいい匂いが立ち込め悟空の腹の虫を呼び起こす。
そんな悟空にチチは早速釘を刺した。
「これは夜にみんなで食べるヤツだからダメだぞ」
そい言われてしまったらつまみ食いすら許されない。
残念に思いながら悟空はこんがり焼けて美味しいそうな鳥の丸焼きを目で追った。
傍らのテーブルには途中だったのだろうもうひとつの匂いの元、生クリームをあしらったケーキが置いてあるのが目に入る。
隣の籠には赤く熟れたイチゴが山積みになっており、水洗いした水滴がキラキラと光り余計甘そうに見えた。
「ケーキも作ってたんか」
「んだ。悟天がイチゴのケーキが食べたいって言うからな。高かったけどチョットいいイチゴを奮発したべ」
そう言って途中だったケーキ作りに取り掛かり始めた。
何となくその場から出て行くタイミングを失った悟空はチチの邪魔にならないように後ろから出来ていく様を見つめる。
器用にスポンジに生クリームを塗り、その上に半分に切ってあるイチゴを惜しげもなく置いていく。
それが終わると上からもうひとつスポンジを置き、また同じように生クリームを塗る作業。
上手いもんだなぁと感心しながらその作業を黙って見続けた。
「悟空さ腹減ったんだべ?リビングに茶菓子用意してあるだ。食べていいだぞ」
チチにおやつを促されても、生返事を返しただけでその場から離れるつもりはなかった。
いつもなら意気勇んで茶菓子を頬張りに行くだろう。
しかし、何故か目の前で器用に動いていくチチの指に見とれ、それと同時にキラキラ赤く光るイチゴに興味を惹かれて仕方なかった。
いつもの悟空らしくないと変に思いながらもチチは休まず作業を続けていく。
二段重ねのスポンジの全体に丁寧にゴムベラで生クリームを塗っていく。
甘い匂いがますます鼻を擽り、気付けば悟空はかなり近い位置でその動きに見入っていた。
「悟空さ・・・なんでそんな近くで見てるだ?面白いだか?」
茶菓子よりケーキ作りに興味を持つなんて珍しいとばかりにチチは悟空に話を振った。
悟空は曖昧に相槌を打った後、ふといつもなら隣に居る筈の人物が居ない事に今更気付いた。
「そういや悟天は?ケーキ作り手伝わねぇなんて珍しいな」
「悟天はブルマさの家のパーティに呼ばれて行っただよ。夜には帰ってくるべ」
昼はブルマの家でご馳走を食べ、夜は自分の家でご馳走を食べるなんてほんの少し羨ましく思いながら、
計らずしてチチとふたりきりになった事に心が自然と弾むのが解った。
そう言えば昔、チチは自分の誕生日にケーキを作ろうとして生クリームまみれになったんだっけ・・・と過去を思い出して感慨に浸る。
あれから色々あって、今ではふたりの子供の親になったふたり。
あの頃とは比べ物にならない程チチの料理の腕はますますあがり、ケーキさえも店で売っているものと何処も見劣りしない出来栄えだ。
クリームを塗り終わったスポンジにひとつずつ、イチゴを乗せていく。
白く細い指と赤いイチゴのコントラストが綺麗で思わず食い入るように見つめる。
甘そうで、美味そうなそのふたつに魅入られ目が離せない・・・。
「美味そうだな・・・」
ポツリと呟いた後、悟空は徐にチチを後ろから抱きしめた。
「ごっ、悟空さ?!なんだべ急に・・・」
「なぁ、そのイチゴ一個でいいから食わしてくれよ」
やっぱりお腹が減ってたんだ、と呆れながらひとつだけなと念押しして抱きついている悟空の口元にイチゴを持っていった。
図らずも目の前には甘くて美味しそうだと思ったイチゴと、チチの細い指・・・。
悟空は迷う事無く、チチの指ごとイチゴに噛り付いた。
「なっなんだべ!おらの指は食い物じゃねぇべ」
自分の指まで口に含まれて驚きとともに呆れながら文句をいい、悟空の口から指を抜き出そうとして。
悟空の手がチチの手を掴み、それを拒んだ。
「悟空さ・・・?!」
イチゴを噛み下した後、口内に導いていたチチの指にそっと舌を這わせる。
ほんのり甘酸っぱい中にも微かな甘みのようなものを感じた。
その突然の行為に驚き目を見開きながら悟空を見つめるチチは気が気ではなかった。
何故そんな事をし始めたのか解らないし戸惑うだけ。
そんなチチを解ってだろうか。
顎を引き、見据えたような目でチチを見つめ返す悟空の瞳と視線がぶつかりあった。
「もう・・・冗談はやめてけれ?もう少しで飾りつけも終わるから・・・」
そう告げても悟空はチチの指を口から出そうとはしなかった。
それどころか味わうように舌を絡め吸い上げる。
ざらつき生暖かい舌の感触が何とも言えない気持ちにさせられる。
「チチって甘いよな」
ゆっくりと口内からチチの指を取り出し、自分の唾液で濡れ光るソレを見つめる。
隠微でいて、どこか誘うようなその見目に悟空は手を離しはしない。
チチの鼓動はゆっくりと、しかし確実に強く打ち始めていた。
何処となく雰囲気があってはならない方へと流れているように感じた。
チチは気付かないフリをして悟空に何ら変わりないように振舞う。
「今ケーキ作ってたからだべ。そろそろ手を離すだ。続きやんなきゃいけねぇんだから」
目を逸らしながら注意を違う方へと向けさせようと思っても。
チチの手を握る悟空の力は弱まる気配はなかった。
「もっとチチが甘いって事確かめてぇ」
そう言うや強引に掴んでいた手を自分の方へと引き寄せる。
いきなりの事に対処が遅れたチチは、容易に悟空の胸へと納まってしまった。
瞬間、首筋に暖かい物が触れたかと思うと、背中に粟立つ感覚が襲う。
「や・・・っ悟空さっ冗談も大概にしてけろ」
「冗談なんかじゃねぇぞ」
言えば何の事もなく言い返してくる。
見詰める目は真剣で息が止まりそうになった。
悟空は再びチチの首筋に顔を埋めるときつく吸い上げた。
「ん・・・っ!」
口を離せばくっきりと紅く痕が付いた。
万が一見えるかもしれない場所に付けるなんて意地が悪い。
「悟空さ!いい加減に・・・」
言いかけたチチを乱暴に抱き上げる。
突然の事にチチは言葉を飲み込んだままバランスを崩しそうになり悟空にしがみ付いた。
「チョ・・・ケーキ・・・!」
何も言わず連れてこられたのはふたりの寝室。
冬の弱い光はカーテンによって遮られ薄暗い。
部屋のほぼ中央に位置しているベッドに身体を落とされた。
「悟空さ・・・っ」
手を付き、振り返りながら抗議の言葉を口にしようとして阻まれる。
後ろから全体重をかけるように悟空が抱き締めてきたからだ。
身動きが取れないまま、晒した項に口付けを落とされる。
温かい息と、舌が触れて身動きを止められた。
「悟・・・空さ・・・やめてけろ・・・」
口でいくら抵抗しても、悟空はやめようとはしなかった。
それ所か、後ろからチチの柔かい乳房に手を伸ばし始めた。
キッチンに残してきたケーキが気になって仕方ない。
あのまま放置してしまったらクリームが乾いてしまうのではないか。
「チチの甘さを感じてぇんだ」
いつも身体を重ねる度に思ってきた事だ。
どうしてチチはこんなに甘くていい匂いがするのだろう。
それはチチの身体を深く知れば知るほど感じていた。
まるで綿菓子のように、甘く、フワフワのその身体をかき抱きたい。
その欲求は最早止められなかった。
服の上からチチが一番感じる所―――硬く主張する頂を擦り上げる。
そうすればチチの力が抜けていく事を知っていた。
「んんぅ・・・」
声さえも悟空にとっては甘いものである。
その声すら堪能するように執拗に攻め続ける。
擦り、ある程度指に感じられるようになった後摘む。
そうすれば簡単にチチの口からそれは聞かれた。
「ふぁ・・・ん・・・」
頭では駄目だと解っているのに。
どんどん力が入らなくなり、快楽を植えつけられていく。
ケーキの事が消えるのも時間の問題だった。
力が抜けた事を確認した悟空は、そのまま後ろからチチの衣服に手をかけた。
チャイナドレスのホックをひとつずつ外し、露わにさせるとすかさず再び乳房に触れる。
少しひんやりとした悟空の手は温かいチチの身体にそれだけで言いようのない感覚を呼び覚ます。
前を緩めた悟空は手でチチの乳房を揉みしだき、口で襟を加え下に服を脱がしていく。
徐々に目の前に現れる白い背中に迷わず口付けを落とした。
時にきつく吸い上げ、時に舐め上げる。
そのいいようのない感覚に、チチは我を忘れて声をあげ始めた。
「はぁ・・・っ・・・やぁ・・・」
本当に味わうように舌を這わす悟空にゾクリとした感覚が襲い、おかしくなりそうだった。
くすぐったいのか、感じているのかそれすら解らない。
お菓子作りをしていたチチの身体はいつも以上に甘く誘う匂いを醸し出し、いつも以上に甘く感じた。
すべらかな肌に舌を這わす度に感じているチチに興奮は増すばかり。
腕に引っ掛かっているチャイナドレスを掴み一気に下まで脱がす。
悟空の目に映るのは、快感に打ち震えているチチの姿。
白い背中には自分が散らした紅い華と、腰にかけての丸みを帯びたライン。
悟空は迷わずチチのショーツに手を伸ばした。
「や・・・っ」
少しばかりの抵抗。
そんなものは悟空にとってはものともしない。
目の前に現れた丸くて柔かいヒップにも舌を這わす。
ビクンと体が反応する。
下から上へと舐め上げられ神経はより一層敏感になっていく。
徐々に下へと移動し、太腿、脹脛まで舌を這わせていかれ、既にチチは悟空のなされるがままだった。
「何処を舐めても甘ぇ・・・」
正直な感想だった。
舐めれば舐めるほどその甘さに虜にされていく。
自分の舌が麻痺しているのではないかと思うぐらい、何処を舐めてもそう感じてしまって仕方ない。
完全に力の抜けたチチを簡単にひっくり返す。
「やぁ・・・・っ」
目の前の柔らかそうなふたつのふくらみと、そっと隠すようにある茂みに目を奪われる。
何度も目にしている筈なのに、それを見る度にいつも自分を繋ぎ止めている何かが切れる感覚がした。
臍の周りから舌を這わせ始め徐々に丘陵を目指し上へと移動していく。
触れるか触れないかの絶妙な焦らしにチチは居た堪れなさに陥った。
辿り着いた丘陵を這って徐々に頂点を目指していく。
しかし、直ぐには触れない。
周りを丹念に味わうように吸いながら舐め上げる。
そうすればチチの足が何かを求めるように動くのが解った。
「ご・・・く・・・さぁ・・・」
強請るように甘ったるい声をあげるチチの声を無視してワザと一番感じる所に触れない。
ますます足の動きが感じられるようになる。
「お願い・・・」
消え入りそうな声で願うチチの言葉をようやく受け入れ、乱暴に既に立って主張するソレに吸い付いた。
「あぁぁん!」
一際甲高く声をあげ善がるチチ。
舌を押し付けるように舐り小刻みに動かせば面白いようにチチは絶え間なく吐息交じりの声を上げ続けた。
口を離せば悟空の唾液が糸を引き、光るように主張している。
その様子に満足しながら、もうひとつ目を奪われた茂みに視線を移す。
既に濡れそぼって悟空を待ち構えているように見えた。
「チチィ・・・此処が一番甘ぇんだろ?」
指を一本茂みの奥へと差し入れると悟空の指に纏わり付いてくる温かい蜜。
顔を真っ赤にして見詰めるチチの大きな黒い瞳はさらに悟空を狂わす。
チチのしなやかな肢体を割り入って中心に身体を入れる。
そうすれば蜜溢れる秘所がなんなく目に入った。
「すげぇ・・・ホント蜂蜜みてぇだよな・・・」
顔を近づければ咽返るような甘い匂いを感じ身震いする程。
もっと感じるように、もっと甘い声を聞く為に顔を埋めていく。
「やぁ・・・ん・・・ぁは・・・・っ」
脳天が痺れるような感覚に襲われる。
温かい悟空の舌が其処を往復する度に意識が遠くなっていくようで。
蜜は止まる事を知らない。
まるで悟空に与えるように溢れるばかり・・・・。
蜜溢れる場所に舌を差し入れかき回せばクチュリと厭らしい音を立てた。
白い肌は既に全身悟空が付けた紅い痕が咲き乱れている。
最後まで悟空はチチを存分に味わった。
「っはぁ・・・!」
顔を上げれば乱れ狂ったチチ。
今度はチチに自分の甘さを味あわせる番だ。
「チチ・・・挿入るぞ」
チチの体に電気が走るように衝撃が駆け抜けていく。
全身を汲まなく愛撫され敏感すぎる状態になっていたチチは、悟空を受け入れただけで意識が飛びそうになった。
「あぁ・・・・っ!!」
ゆっくりと埋没させていくと絡まってくる愛液に翻弄されそうになる。
快楽に歪むチチの顔とシンクロするようにきっと自分の顔も快楽に歪んでいるのだろうと悟空は感じていた。
突いて、突いて、何もかも壊すように腰を叩き付ければチチの声は頂を求めて高くなっていく。
首を横に振り、必死に何かを繋ぎ止めるように我慢しているチチにその猶予を与えない。
一気に突き上げると、一際高く啼いた後果てたチチが目に入った。
次は悟空。
その甘く誘う全ての源に自分の全てを解放した。
「・・・だから駄目だって言っただ!」
キッチンへ戻ればケーキは無惨に乾燥してクリームはぼそぼそになっていた。
勿体無いとばかりに怒っているチチに、悟空は後ろから抱き締める。
「だってよぉ。チチのがこのケーキより何倍も甘ぇんだもん」
顔を真っ赤にして二の句を告げずにいるチチを宥めるように耳を甘噛みした。
「そ、そんな事言ったって駄目だべ!」
慌てるチチが可愛くて。
やっぱりチチは甘いんだと確信しながら、その惹き付けてやまない体に顔を埋めた。
悟空さにとって甘いモノ=チチ
チチはいつだって悟空にとって甘いデザートなのです☆