お題 057. 【火照り】 (悟チチ)
パオズ山も本格的な夏を迎え、暑い日が続く毎日。
炎天下の中、悟空は相変わらず修行の日々。
埃に塗れ、汗を流しながら、ギラギラの太陽に目を細めつつ天を仰いだ。
「ふぁ〜あっつー」
時間にして丁度昼下がり。
光線を全く弱める気配のない太陽に、ちょっとだけ恨めしい気持ちが芽生える。
暑いのは嫌いじゃない。
むしろ四季折々を肌で感じながら、色んなワクワクが待っている気だってしてる。
けれど、さすがにこうも連日照らされると頭もクラクラしてしまい、修行に身が入らない気がするのだ。
チチからは熱射病に気をつけるように言われ、水分も小まめに取るようにと大きめの水筒を持たされていた。
中にはキンキンに冷えた特製のスポーツドリンクが入っていて、これがまた美味い。
調子に乗って飲んでいたら、あっという間になくなってしまった。
「あー空になっちまった…」
逆さにしても、ほんのちょっとの水滴しか出てこない。
今日のノルマは大体こなしたような気がするし、こうも暑いとさすがに連日遅くまでというのも身体に悪い気がする。
そういや、と昨日の家でのやりとりを思い出した。
『なんだコレ?』
『カキ氷機って言ってな、氷を削る機械だべ』
生まれてこの方見た事のなかった悟空は、興味津々。
そんな様子にチチはくすりと笑った。
『毎日暑いだ、カキ氷でも作って食べようと思ったんだべ』
『へぇ〜コレで作るんか』
いくら悟空でもカキ氷の存在ぐらいは知っていた。
シャクシャクと冷たい氷に、色とりどりのシロップがかかった夏特有の食べ物。
想像したら、途端に口の中に涎が溜まっていく。
『チチぃ!早く食おうぜっ』
『悪ぃんだけんど、今氷を作ってるだ。まだ食べれないだよ』
明日には食べれるからと宥められ、ちょっとばかしオアズケをくった形。
思い出した途端、脳内にはキラキラ、シャクシャクのカキ氷で一杯になってしまった。
食べればあっと言う間に身体の火照りさえ取れそうな気さえする。
そうなったら悟空の行動は早い。
カキ氷を食べる為に早々に修行を切り上げ、家へと向かったのだった。
「まぁったく!こういう時は帰ってくるのが早ぇんだから」
ちょっとだけ文句を言いつつ笑っているチチに、悟空も釣られてへへ、と子供っぽく笑った。
目の前にセッティングされたカキ氷機を見つめ、いつでも準備万端。
「悟空さー、シロップは何にするべ?」
「オラなんでもいいぞ!」
そうだろうと思った、とチチは呆れながら笑い、シロップが入った瓶を二つ抱えてやってきた。
ラベルにはそれぞれ緑色と赤色で何かが書かれている。
さらにはご丁寧にコンデンスミルク付だ。
「じゃあおらのオススメで作ってやるだよ」
「おぉ!楽しみだな〜」
孫家のカキ氷機は、手動で削るタイプ。
氷をセッティングしいざハンドルを回すと、下に用意された器にサラサラと氷が盛られていく。
それを見つめる悟空は、まるで子供のようだ。
一旦止め形を整えた後再び削り、そうして徐々に山を作っていく。
悟空のカキ氷は、それは大きな山だ。
そこに緑色のシロップがかかり、ミルクがとろりとかけられていく様に思わず喉が鳴った。
「はい、悟空さ。出来ただよ」
かき氷が出来上がるのを今か今かと待っていた悟空の前に差し出されたのは、メロンミルクカキ氷。
「うひゃぁ〜っ、うまそうだなぁ!」
「急いで食べると頭痛くなるからゆっくり食べるだぞ」
チチの忠告が聞こえているのかいないのか、悟空は嬉しそうにメロンミルクのかき氷を頬張った。
シャクッ、ひやり。
口一杯に広がる甘みと冷たさに、くぅ〜っと思わず唸った。
「あーひゃっこい!でもうめぇ!!」
パクパクと調子よく食べていく悟空の一方、チチはイチゴミルクのカキ氷。
同じようにしゃくっと一口頬張れば、口の中が一気にひんやりする。
「ん〜やっぱり美味しいだぁ」
サラサラと積もった氷の口溶けと、それを彩るシロップとミルクが絶妙のバランスだ。
孫家にはクーラーはない。
家の中では申し訳程度に扇風機が回されているだけ。
外では蝉がこれでもかと鳴き、カンカンと照り続ける太陽と生温い風。
そんな中食べるカキ氷だからこその美味しさなのかもしれない。
「やっぱ夏はカキ氷だよな〜」
さっきまでの暑さが嘘のように、口の中がキンキンに冷えていく。
汗を流しながら冷たいカキ氷を食べる、これこそが夏という季節の醍醐味だ。
パクパクとリズム良くカキ氷を頬張っていく悟空に、チチはくすりと声を上げた。
「ふふ。悟空さ、口ん中が緑になってるだよ」
悟空が口を開いた事で、舌が緑に染まっているのが見えたのだ。
ん?と声を上げても悟空は自分のものは見れない。
その代わりと言ってはなんだが、思わず正面に座っているチチの口元を見つめた。
「カキ氷シロップって色付くもんなぁ〜。でも緑はちょっと気味悪いべ」
くすくすと笑い続けるチチは、何も言わない悟空を気にする事無くカキ氷を食べ続けていく。
ちらりと覗いた舌に、釘付けになってるのも気付かずに。
そう言うチチだって、普段でも赤い唇がさらにほんのり色付き赤みが増している。
ちょっと覗いた舌だって、妙に赤々しく染まっていて…何だか妙にその赤が目に焼きついた。
「?悟空さ、どうしただ?」
じぃっと此方を見たまま動かない悟空に、小首を傾げる。
その仕草がまた可愛くて、カキ氷所ではなくなっていく。
「ん〜…なんか美味そうだとだと思ってさ」
「食べていいだよ」
チチはかき氷の事だと思った。
悟空が食べているメロンミルクを食べたいと思っていたのもあり、丁度いいと思ったのだ。
「こっちも中々美味しいだよ」
台詞が何故か妙に艶かしく聞こえるのは、既に悟空の脳内でカキ氷ではなくなっているからか。
カキ氷で涼んだ身体は、いつしか再び熱を帯びていく。
ずいっと悟空の前にイチゴミルクカキ氷が差し出されるが、興味はそれではない。
「おぅ、じゃあいただきま〜す」
そう言って悟空が掴んだのはチチが差し出したカキ氷、ではなく…。
「ご、悟空さ?!」
掴んだのはチチの腕。
あっと言う間に引き寄せられ唇を奪われた。
「ん…っ」
難無く舌を侵入させた悟空は、チチの口内を味わうように蠢かせる。
お互いの舌がほんのり冷たく感じたのも束の間、あっと言う間に熱を帯びた。
イチゴシロップの甘い味が口内に広がり、もっと感じたくてさらに深く口付けていく。
「甘ぇ」
名残惜しそうに口を離せば、つつっと糸が引く。
目の前のチチは、まるでイチゴシロップのように真っ赤になっていた。
「…全くっ。カキ氷じゃねぇのけ」
恥ずかしそうに漏れた口元の唾液を拭いながら、恨めしそうに悟空を睨んだ。
「オラ、かき氷だなんて言ってねぇぞ」
ケロッと宣う悟空に何も言えなくなる。
確かにカキ氷が食べたいとは言わなかったけれど、普通はそうだと思うのが当たり前。
時に何を考えているのか解らない、突拍子もない行動に出る悟空に、チチはいつだって振り回されるのだ。
「もう…溶けちまうだよ。さっさと食べるだ」
悟空のカキ氷を食べたかったという考えは一気に消え去り、俯き加減で自分のカキ氷を平らげていく。
しかし、悟空の行動はそれだけでは済むはずもなく…。
「なっ?!何するだっ」
口に運ぼうとしたスプーンを持つ腕を拘束され、ぐいっと引っ張られる。
カキ氷はあっという間に悟空の口に放り込まれたかと思うと、手からスプーンを奪われた。
簡単であっと言う間の出来事。
呆けているチチを他所に、今度は身体が前のめりになる程腕を引かれた。
「んぅ…っ!」
再び甘みが口の中に広がる。
しかし、その糖度は先程とは比べるべくもないぐらい甘ったるい。
冷たい舌が歯列をなぞり、絡まり、熱を植えつけていく。
「…何って、チチを食うんじゃねぇか」
目の前の悟空は、いつもと変わらない飄々とした表情。
なのに、目は射抜くように、それが冗談ではないと伝えているようだった。
「お、おらは食い物じゃねぇだよ!」
これ以上は拙いと、チチの中で警鐘が鳴り響く。
頭がクラクラするのは、この茹だる様な暑さのせいか、それとも悟空に与えられた熱のせいか。
厚い胸板をぐいっと押しながら身体を離し、思わず立ち上がった。
「食べねぇなら片付けるだぞ」
行動を無視するように、チチは手早く器を取ろうとしたのだが、悟空が止まる筈もなく―――。
「ひぁっ!」
「チチの此処もピンクじゃねぇか。イチゴと変わんねぇだろ」
突然の快感に、思わず声をあげてしまった。
服の上から乳房の高い部分を寸分違わず、ぐりぐりと無遠慮に指を沿わされたのだ。
何をするんだと力一杯抵抗しようとする先、悟空の腕がチチの全てを捕らえた。
「なぁ〜いいだろ?」
「い、いいって…何言ってるだよ!おおお、おら、これから夕飯の支度しなくちゃなんねぇし」
「夕飯の支度に差し支えねぇ程度にすっからさ」
「!馬鹿ぁっ!!そぉっ、そういう問題じゃねぇだっ!!!!」
わぁわぁ喚いても、悟空の抱きしめる腕が緩む気配はない。
困り果てながらも、ツンとした汗の匂いがチチの鼻腔をついた。
「ご、悟空さ?シャワー浴びてきたらどうだべ。きっとサッパリして気持ちいいだぞ」
「後でいい」
「や、おらもホラ、汗臭いだ…悟空さも気になるべ?」
「オラは別に気になんねぇぞ。それに結局また汗かいちまうんだ、面倒くせぇじゃねぇか」
そう言って首筋に顔を埋めて、すぅっと匂いを確かめる。
それがチチにとって羞恥であっても、悟空はなんら気にならなかった。
確かに汗臭くはあったけれど、嫌な匂いじゃない。
どこか自然なチチの匂いを感じたからかもしれない。
何を言っても通じない、困り果てたのはチチ。
暖簾に腕押し、糠に釘。
打つ手はないのか、懸命に頭を巡らせながらどもった。
「で、でも…その…」
いい加減焦らされては我慢の限界。
火照った身体の行き着く先など決まっているのに。
口の達者さならチチのが一枚も二枚も上だが、行動力で言ったら断然悟空だ。
「ひゃあっ!」
ひょい、と簡単に肩に担がれ、連れてこられたのはふたりの寝室。
此処まできたら、される事などひとつしかない。
ひとつしかないベッドが、何故か夜見るよりもいやらしく感じた。
「ご、悟空さ、だから…っ…!!」
煩い口は塞ぐに限る。
蹂躙しながら、舌を吸出し絡めれば、忽ち抵抗の言葉は消え去る。
喉を鳴らし、鼻から漏れる吐息にも似た甘い声にそそられる。
注意を引き付けておいて、手は弄るように柔らかな膨らみへと向かっていく。
さらりと沿わせた後ぐっと包み込むようにすれば、チチの身体がぴくんと反応した。
柔らかさを堪能するように埋めていた親指を徐々に移動し、辿り着くは頂。
「ん!」
短く強い声が、塞いだチチの口から漏れる。
上から突く様にした後、ぐりっと強く押し付けるようにしてやると、身体が捩れた。
服の上からでも解る程主張しだした頃、その頂の側面部分に親指の腹を押し付け弾いた。
「あぁんっ」
口を離した途端上がる嬌声に、思わず口の端が上がった。
此処までくれば抵抗など気にならない。
弱々しく腕を掴み引き離そうとしているけれど、何の抑止力になるというのか。
「やんだ…だめ…悟空…さぁ…」
潤む瞳、火照る赤い頬。
汗で貼り付き始めている前髪が、とても色っぽく扇情的に映った。
「意地張るなって。キモチイイんだろ?」
散々弄っていた乳首を、親指と人差し指でくりっと摘んでやれば、顔を仰け反らせ再び甘い声を上げる。
刺激してなかったもう片方も、今か今かと刺激を待ち焦がれるように立ち上がっていた。
手際よくチャイナ服の留め金を外し肌蹴させると、ブラは付けていなかった。
変わりに薄地の綿の白いキャミソールに包まれた乳房。
ふたつの丘陵の中央はツンと乳首が立ち、汗で薄っすらと透けて見えたものだから堪らない。
逸る気持ちのまま、ぐっと首下までたくし上げれば、お待ちかねのものが眼下に広がった。
「やっぱりな…赤ぇじゃねぇか。しかもすげぇ立ってる」
「やんだぁ…」
涙交じりの声でいやいやとばかりに首を横に振る。
隠したいのに、両腕は悟空に拘束されていてそれもままならない。
「かき氷よりこっちの方がうまそうだ」
「あっ…ん…!」
ゆっくりと近づいてくる悟空の顔をどうする事も出来ず、ただ敏感な場所に熱を与えられひくついた。
腕は押さえつけられたまま、ちゅっと音がする程に吸われ、舌でなぞられる。
暑いのに、何故か身体にはぞくぞくとしたいいようのない感覚が走り抜けていく。
じんわりと浮かんでくる汗さえも逃さないとばかりに舌を這わせれば、甘い声が頭上から降り注いだ。
だからこそ、行為は止まらない。
「あん、ん…あぁっ、あ、んうぅ…」
脳内には麻薬のように快感だけが広がる。
駄目だとか、汗臭いとか、夕飯の支度とか…全ては白い思考に呑み込まれていった。
これ以上の抵抗はないだろうと踏んだ悟空は、掴んでいた手を離した。
案の定、チチはぴくりとも動かなかった。
ただ肩で息をし、汗なのか悟空の唾液なのか解らない艶やかに光るものを肌に認めながら、ぼんやりした視線を泳がせている。
赤い、と言えば。
今まで散々弄った場所もだが、とある場所もそうではないか。
興味は忽ち移り行き、味わう為の行動を開始する。
汗すら気にならず、こめかみの辺りをつつっと流れていくままにし、意識はそこに集中する。
ぐっ、とショーツの端を掴んだ途端、今まで動きを失くしていたチチが手をはためかせるように伸ばしてきた。
「だ…め…」
か弱い声、力ない手。
それに気付かないふりをして、悟空はぐっとショーツを下に下ろした。
「チチ、足の力抜け」
汗でやんわりとなった茂みが見えた辺りで、ショーツは動きを止めた。
なけなしの最後の力を振り絞るように、チチが内股に力を入れたのだ。
ふるふると首を横にふりながら、それでも此処まで来て悟空が止めてくれるなどと思ってはいない。
それでもただでさえ汗を流していない、チチにとっては不浄だと思っている部位をこのまま晒す事など出来なかった。
「だって…汗、くさい…から…」
「大丈夫だって言ってんだろ?」
自分の半分しかないのではないかと思う太腿に、優しくキスをする。
徐々に場所を移動し、付け根の部分へ行けば、忽ち足が震えだす。
あと一息、ぺろりと舌で付け根をなぞる様に舐め上げれば、甘く柔らかな喘ぎ声が漏れた。
「は…ぁん…」
「大丈夫だから…な?」
核心部分の近くに顔を近づけたから、甘い蜜の匂いがして堪らない。
早く味わいたくて、身体がうずうずして待ちきれない。
これ以上抵抗を続けるなら、力づくでショーツを破ってでも脱がそうと思っていたけれど。
チチは最後の力を手放した。
さっきまでの抵抗が嘘のように、ショーツはするりと細く白い足から脱がされた。
銀の糸が引いたのを見て、かなり濡れているのが解る。
一刻も早く…急くままに取り去れば、待ってましたとばかりに内股に手を沿え足を開かせる。
チチは羞恥のあまり、瞳に涙を浮かべた。
「恥ずかしい…だよぉ…」
これ以上抵抗しても無意味で。
まるで現実から逃れるように目をきつく瞑り、顔を両手で覆う。
「やっぱりだ…」
ごくり、と喉を鳴らす。
行為に及ぶのは夜が多く、明かりすら点けさせてくれないチチの身体をじっくり見れる機会が限られていた。
その少ない記憶の中残っていた熟れきっていない赤い蜜口が、今目の前で蜜を滴らせている。
ぐちょぐちょないやらしさが、赤味を増長させるようにてらてらと光り余計に隠微な印象を与えてくるのだ。
「ここ、赤ぇぞ」
「やんだぁ…っ」
つぷり、と指が簡単に呑み込まれていく。
くくっと動かせば、ぐちゅぐちゅとした水音が安易に耳に届いた。
それがとても恥ずかしくて、チチはますます目を赤らめた。
「こうすっと、もっと見えるかな」
もう一本指を入れ左右に少しだけ広げると、赤味が強くなった。
「すげぇ…中からとろとろ出てくる…熱ぃし」
「やっ、やぁ…っ!あっ、あぁ」
蜜を押し戻すように今度は指をくっつけて、ぐっと奥へと挿入する。
薄かった色味が濃くなっていくにつれ、チチから発せられている“女の匂い”も強くなっていった。
くらくらと誘うような匂い…引き寄せられるような魔力を帯びているのではないかと思う程。
ふらふらと導かれるように、小さくぷくりとした突起を口に含んだ。
「あぁぁああああっ!」
びくん!とチチの身体が一際強く跳ねた。
散々弄られた所に、敏感なクリトリスを刺激されては我慢など出来ようか。
ちゅっと吸い上げれば、ころころとした形状に変化していく。
そうなれば、さらに刺激が強く感じられるようになっていき、ますます理性の箍が外れていくのだ。
「あ、あ、あ、…っあ、ああああ、あっ――――!」
嫌だった筈なのに。
片隅では抵抗の言葉を浮かべているのに、どの言葉もチチの口から漏れる事はなかった。
ただ短く息を吐くような声をあげ、与えられる快感に酔いしれるようぐっと身体を仰け反った後、力を失くしシーツへと沈んだ。
その様子を見届け、一旦身体を離す。
てらてらと口元を光らせるものを手の甲で拭い、興奮に逸る心臓の音を聞く。
シーツにはいつしかシミが出来、それが汗なのかチチの愛液なのかわからない。
ただ全身に流れる汗が、だらしなく口元を流れ行く唾液が、ほんのり赤く染まったチチの白い身体が。
全て火照りと共に悟空の脳内を支配していく。
「…カキ氷なんかよりも、赤い…」
ぽつりと呟いた言葉は、途切れつつあるチチの意識では聞こえなかった。
赤―――何故か惑わし興奮する色。
それは、チチ自身が悟空に見せていた、秘密の色。
ぽたり、とチチの身体に悟空の汗が滴り落ちる。
それに構う事無く、悟空は夢中でチチの内に自分の猛り狂った分身を挿入した。
「あぁあん!」
「くっ…!」
白く色づいていた意識に、再び火が灯される。
意識を引き戻されたチチは、ただ甘く高く啼き、悟空が果てるまでその快感を植えつけられるのみ…。
引き抜いた後、ぐっと押し返す時のぬちゅっとした感覚が堪らない。
ぞくぞくっと背中から脳天へと駆け抜けいくこの快感は、何度経験してもいいものだと思う。
顔や背中、ありとあらゆる所を流れていく汗を散らすように、身体を何度も強く打ち付ける。
そうすれば、先程よりもチチの熱が上がるように身体がほんのり赤く染まっていった。
「あぁあああんっ!」
「チチ…ぃ…っ!!」
たっぷりと注ぎ込めば、白い悟空の精がとろりと赤い蜜口から溢れ零れる。
その様がさらに艶かしくて、興奮が煽られそうになった。
『もう一回したい』
思わず口を吐いて出そうになったけれど、さすがにそれはチチの怒りを買うような気がして。
腹の虫もそろそろ動き出しそうな気配に、果てて涙を流したチチの目じりに優しくキスを落とし。
額に張り付いた前髪を優しく掬った。
ドッと暑さがぶり返してくる。
あんなに夢中になっていた時は感じられなかった気温が、一気に押し寄せてくるような感じだ。
火照った身体は急に冷を求める。
汗を流したいが、チチをひとりにするつもりもない。
そっと身体を抱えると、ゆっくりと風呂場へと向う。
べたくつ汗と、火照った身体の体温は、不思議と嫌だとは思わなかった。
腕に抱えられたチチの様子から、最早夕飯の支度が出来る程度だったのか自信はない。
ただ、口の中には何故か甘いカキ氷シロップの味と、身体に熱が広がった。
拍手にてアップしていた小説に加筆修正した作品です
夏を先取りしてみました(いつも季節感ギリギリなので…)
メロンミルクカキ氷は管理人のオススメです☆