お題 027. 【薬】 (新婚悟チチ)
人通り賑わう街。
今日は珍しく、チチは悟空と一緒に買い物に来ていた。
いつも修行に赴き、街に来る事すらない悟空であったが、何の心境の変化があったのか知らないが、
買い物に連れてってやると言ったのが今日の朝。
思わず目を丸くするチチと、きょとんとした悟空の瞳がかち合って。
『一体どうしただ?何かあっただか?』
『どうもしねぇぞ』
そんな会話が交わされたのだった。
最初の内は珍しさに雨でも降るのではないのかと思ったチチだったが、
こうして街に来てみればそんな事は片隅から消え去っていた。
何より愛しの旦那さまと一緒に買い物に来れた事が嬉しい。
顔も自然とほころび、思わず鼻歌も飛び出しそうな勢いだった。
「悟空さと一緒に買い物に来れておら嬉しいだよ」
臆面もなく言うチチに、当の悟空はなんて事ない反応。
それもいつもの事。
『オラも』なんて言ってくれない事は解るようになっていた、ふたりの関係。
チチはそれでも構わなかった。
ただこうして一緒に居れる事が幸せだと思えたからだ。
「しっかしいつ来ても人が多いよなぁ」
滅多に来ないくせにそんな言葉を吐いた。
真っ直ぐ歩く事さえ困難で、油断していると人と肩がぶつかったりしてしまう。
そんな気遣いさえ、悟空にしたら面倒くさい事この上ない。
それでも、今朝チチの買い物に付き合うと言ったのは、悟空なりの心境の変化だった。
ふたりでパオズ山に居を構えてから幾分か経ち、結婚生活というものも次第に解り始めていた。
朝起きればいい匂いが鼻を擽り、美味い料理を腹一杯食べる。
そうして修行に赴いて、家に帰ればまた再び美味い料理が待っている。
こんなにいい暮らしはないと思っていた悟空に、そんな事よりも心を支配し始めていたもの。
チチの存在。
いつしか持った事もない感情をチチに抱くようになった時、初めて悟空は人を愛しいと思う心を知った。
抱きしめると温かくて、自分とは比べ物にならない程華奢で柔らかな身体。
いつまでも抱きしめていたい、溺れていたい。
チチと肌を重ね始めてから、その想いはどんどん膨れ上がっていったように思う。
もっと色んなチチが見たくて、手探りのまま攻め立てたり。
恥じらいながら甘く高い声をあげるチチに、あっと言う間に興奮状態になってしまい、制御が利かなくなってしまう。
どんなに精神的にも肉体的にも鍛え上げたとて、それを抑制させる事は出来なかった。
そんな想いが少しずつ心の中に降り積もり、今日は何故かチチの側に居たいと思ったのだ。
今隣を何て事無く笑いながら歩いているチチが、夜の帳が降り一度自分の手にかかれば乱れていく。
そのギャップが脳裏を駆け巡り、朝からどうしてもいかがわしい想像をしてしまって仕方なかった。
もっと乱れるチチが見たい。
いつも恥ずかしくて大胆になりきれていないチチに、やきもきする事がないと言ったら嘘になる。
そんなチチを攻め立てるのもまた至福ではあったけれど、たまには大胆なチチも見てみたい。
・・・なんて考えながら今側に居る事など、チチは知る由もないだろう。
無邪気に腕を絡ませてきて、柔かいものを無意識に押し付けてくるのだから堪らない。
なんでこんなに欲望まみれなのか自分でも解らないまま、とにかく平静を装い街の中を歩いた。
「悟空さ、おらちょっとあそこが見てぇだ。少し此処で待っててけろ」
明らかに人賑わう場所を指差すチチ。
人ごみが苦手な悟空を気遣っての配慮だろう。
素直に頷き、側にあった花壇のような場所に腰を降ろした。
ぼぅとした眼差しでチチを見つめる。
此処に誰も居なかったならば、間違いなく押し倒している事だろう。
人ごみに紛れる事によって理性が働いている状況だ。
悟空は静かにひとつ、溜息を吐いた。
「お兄さん、折角彼女とデートなのに浮かない顔だね」
突然声をかけられ目線を向ければ、帽子を目深に被った初老の男性。
帽子のせいでその目を見る事は出来ない。
身なりもそんなに悪い訳ではなかったけれど、背中に大きな荷物を背負っていた。
「別に浮かないって訳じゃねぇけど・・・」
しどろもどろに答えると、その男性は不躾に悟空の隣に腰をかけた。
チチは相変わらず人ごみに揉まれながらも夢中で此方に気付く様子はない。
女って凄いな・・・などと隣に男性が居るにも関わらず頭の中でぼんやり考えていた。
「付き合って長いのかい?」
「付き合ってるって言うか・・・結婚して大体ニヶ月くれぇかな」
悟空の言葉に男性は大層驚いたようだった。
それもその筈、見た目はまだまだ少年と少女のあどけなさを残したふたりが、既に夫婦であったのだから。
男性は妙に感心したように頷いていた。
「あんな可愛い子がお嫁さんだなんてお兄さんもすみにおけないねぇ」
確かにチチは可愛いかった。
可愛いとか綺麗とか、そういう概念があまりない悟空だったけれど、
チチと一緒に暮らしていくにつれ、それがどんな感情かも解るようになっていた。
泣いたり起こったり、笑ったり・・・。
表情豊かなチチが面白くて、可愛いと思えるようになっていたのだ。
「そうだ、新婚さんなお兄さんにいいものがあるよ」
そう言って、その男性は背中に背負っていた荷物を降ろし始めた。
包みを広げ何やら探しているようだ。
悟空は訳が解らないまま、男性の行動を見つめるだけ。
徐に何かを手に取り、悟空へ差し出した。
「これ、ついさっき仕入れてきてみたんだけど使ってみるかい?」
そう言って手渡されたのは10センチぐらいの高さがある小瓶。
何かラベルが貼ってあったけれど、文字など書いておらず、ただ女性の姿だけが描かれているだけ。
思わず受け取ってみたものの、何がなんだか解らないのが正直な所だった。
「これ・・・なんだ?」
素で疑問をぶつける悟空に、男性は何処か含んだ笑いを浮かべながら言った。
「私はこの街のひっそりした裏通りで色んな薬を扱っている者なんだよ。もちろん全て合法にのっとった安全な薬だ。
加齢を押さえる薬とか、肌を艶やかにする薬とか、そういう物を扱っているんだ」
説明を受けながら、手に持った小瓶を見つめる。
という事は、これもチチにあげたら喜ぶ類の薬なのだろうか。
「じゃあこれ飲んだら肌が綺麗になんのか?」
「ん〜それは少し毛色が違うんだよ」
何故か男性の声のトーンが落ちた。
ますます解らないまま首を傾げると、男性はそっと耳打ちするように静かな声で言った。
「それはね、女性の気分を高める薬なんだ。いわゆる媚薬だね」
媚薬?と反芻すれば、男性はしっかり頷いた。
「簡単に言えば、それを女性に飲ませれば忽ち気分が高揚してくるんだ。
いつもより大胆になったりね・・・解るかな?ようは夜に使うものだよ」
男性の言わんとしている事が何となく解った。
どうやらこれをチチに飲ませればいつもより大胆になるという事・・・。
夜、と言えばひとつしかない。
「へぇ〜そんな薬があんのか」
しげしげとその小瓶を見つめる。
中身だって大して入っていないと思われるこの薬が、そんな効能があるなんて。
不思議で仕方なかった。
「それの逆もあるんだよ。男性が飲めば精力がついて女性を満足させられるってね。
でもお兄さんはまだ若いからそういうのは必要ないだろう?」
男性の言葉は悟空に届いている風ではなかった。
目の前の媚薬に興味津々に見つめ、口をぽかんと開け、それ所ではないらしい。
そんな悟空に男性は笑った。
「気に入ったみたいだね。それ今回仕入れたばかりだからお兄さんに特別にあげるよ。奥さんもとっても可愛いしサービスだ」
ただでくれるというフレーズはちゃんと耳に届いたらしい。
悟空は男性の方を向くや、サンキューと無邪気に笑った。
「じゃあしっかり頑張るんだよ」
男性は大きなお世話なような言葉を投げかけ、そのまま再び背中に荷物を背負ってその場を後にした。
小瓶とともに残された悟空の頭は最早それしかなかった。
ただでさえもっとチチの乱れる姿が見たいと思っていた矢先の出来事だ。
早く使ってみたいと思っても仕方がない。
どう頑張っても日が落ちるまで我慢出来そうにない。
「悟空さ〜お待たせ」
人ごみから抜け出たチチの両手には、沢山の荷物が抱えられていた。
悟空は貰った小瓶を大事にポケットに仕舞うと、勢いよく立ち上がった。
「チチッ、帰ろうぜ!」
突然の言葉にチチは思い切り驚いた声をあげた。
まだ来たばかりだというにもう帰ってしまうのか。
チチとしてはまだまだこれから悟空と一緒に色んな所を見て回りたかったのに・・・。
「も、もう帰るだか・・・?まだ来たばっかりだべ」
チチの言い分はもっともだ。
買い物予定の半分も終わらせていない。
それが何となく悟空にも解ったから、困ったように頭の後ろをかいた。
「ん〜そうだよな〜でも・・・んっ!じゃあ急いで買って帰ろうぜ!」
どうやら帰るのは変えられないらしい。
完全に呆れてしまったチチは、溜息混じりに言った。
「そんなに帰りたかったら悟空さだけ先に帰っていいだよ。おらひとりで買い物してくから」
ひとりで帰った所でどうしようもないのだ。
チチが居なくては試す事も出来ない。
いつもならこんな我侭を言ったりする事もないのに。
どうしても一刻も早く家に帰ってこの薬を試してみたかった。
「どうしてもチチと一緒に帰りてぇんだ。買い物ならまた今度ゆっくり付き合うから!な?!」
いつになく押しの強い悟空に疑問を抱きながら、結局は惚れた弱みか、チチは一緒に帰る事を了承してしまった。
途端嬉しそうに笑った悟空は、チチの手から荷物をひったくり、次は何処に行くのか促し始めた。
そんな悟空に呆れながらも仕方ないと困ったように笑いながら、肩を並べて歩き始めた。
「結構沢山買ったな〜!」
悟空の両手には抱えきれない程の荷物で一杯であった。
ほとんどが食材である。
それをゆっくりとテーブルの上に置いていった。
「悟空さが一緒だったからつい色々買っちまっただよ」
テーブルに置かれた荷物をひとつずつキッチンへと運ぶ。
悟空も真似をするように、その作業を手伝った。
「今日は何だかいつもの悟空さじゃねぇみたいだべ」
「そっか?」
そう言って笑うチチに、何故か照れを感じて鼻の頭をかいた。
それもこれも、チチにあんな事やこんな事をしたいからだなんて、口が裂けても言える訳がない。
正直に言ったら、顔を真っ赤にして怒鳴ってくるだろう。
そんなチチもまた、可愛いと思ってしまうのだが。
ポケットに手を入れ、あの小瓶を握り締める。
なるべく自然に手渡さなければ・・・。
そう思えば思うほど、緊張してしまうのだから不思議だ。
「なぁ、チチ」
呼べば、食材を冷蔵庫に入れながら相槌を打つチチ。
幸いな事に、顔を見られる心配はなさそうだ。
一呼吸置いて、ずっと頭の中で考えていた言葉を口にした。
「これさ、おめぇが買い物してる間になんかのキャンペーンだとか言って貰ったんだ」
そう言うや、動かしていた手を休めて悟空の方に振り返った。
手には例の小瓶。
「なんだべそれ?」
「新しく発売するヤツみてぇなんだけど、お肌にいいんだってさ。オラそういうの興味ねぇからチチが飲めよ」
スムーズに言えた事に、内心ホッと胸を撫で下ろした。
どうやらチチも全く疑っていなさそうだ。
この方法を思いついたのも、ブルマがよく美容がどうのこうのと言っていたおかげだ。
「へぇ〜ただで貰ったのけ?それはラッキーだっただな。ありがたく飲んでみるだよ」
「なぁ」
間髪入れず言葉を続ける。
上目遣いに自分を見つめる瞳を見つめ返すのすら、何となく気恥ずかしい。
それでも、言わなければならないのだ。
「どうせだったら今直ぐ飲んでみろよ。どんなもんか結果が早くみてぇだろ?」
手渡しても今直ぐ飲んでみなければ全く意味がない。
どれほどの即効性があるのか解らないけれど、早く乱れるチチが見たくて仕方ない。
その反面、なんでこんなに執着しているのだろうと、冷静になっている自分がいたりもしているのだが。
「でも、こういうのは夜の方がいいんじゃねぇのか?」
「別にいつ飲んでも構わねぇだろ。どんな味かオラも知りたいし」
正直味なんかはどうでもよかった。
ただどんな風にチチが変化していくのか、早く見たかっただけだ。
悟空の猛烈な後押しもあり、興味があったチチはこくりと頷いた。
「悟空さが其処まで言うならそうだな、じゃあ今飲んでみるだよ」
その前に食材を全部しまってから、と止めていた手を動かし始めた。
それすら悟空にはもどかしくて仕方なかったけれど、此処はじっと我慢だ。
全ての食材を仕舞い終わった後も、急かす事はしない。
此処でそうすればいくらなんだって、チチも何かあると勘繰るだろう。
「へぇ〜匂いは悪くねぇだな」
蓋を空けると、薬特有の嫌な匂いはしなかった。
どちらかというとフローラルな香りで悪くない。
まずは一口、流し込む。
その様子を悟空はただ黙って見ていた。
「うん、味も悪くねぇだよ。少しトロトロしてるだな〜コラーゲンか何かだべか」
そう言いながら、ゆっくりと一瓶を飲み干していく。
ゆっくりとチチの喉が動くさまを見ながら、反応を待った。
「どうだ?なんか変わった事あるか?」
逸る気持ちを抑えられず思わず聞くと、チチは困ったように笑った。
「やんだ〜飲んでそんなに直ぐ効果なんか出ねぇべ」
カラカラと笑われ、悟空はなんとなく拍子抜けしてしまった。
よく考えてみればそんなに直ぐ反応など出る訳がない。
なのにチチを急かしてまで帰って来てしまった自分が恥ずかしくなってしまった。
「そう・・・だよな・・・うん、そんな直ぐ反応は出ねぇよなぁ・・・」
「そうだべ。しかもこういうのは一瓶だけじゃ解らねぇ事もあるだよ。でも飲んだ感じは効きそうだべ」
飲み干した瓶をキッチン脇のゴミ箱に捨てると、悟空の方を向き直った。
「ところで悟空さは今日はもう修行に行かねぇだか?」
飲んだ媚薬は直ぐに効きそうになかったけれど、何となく修行に行く気も起きなかった。
それにいつ効果が出るか解らないのだから、此処は大人しくしているに限る。
「なんかちっと疲れちまったから今日はのんびりしてっぞ」
「ふふ、慣れない事するからだべ。じゃあソファさでも座ってのんびりしててけろ」
からかうように笑うチチに、何だか気恥ずかしくて頭をかく。
まさか飲んだ薬の効果を待っているとは言えなかった。
騙しているのだから悪いような気もするけれど、好奇心の方が勝っていてどうしようもない。
「おらは残ってる家事さするから。後でおやつにしような」
そう言って家の奥へと消えていくチチの後姿を見送った。
一体どう変貌するのか全く予想もつかない。
第一本当に効くのかすら怪しい。
まぁその場合は残念ではあるけれど、そもそもただで貰ったものだ、文句は言えない。
家に居る為に吐いた嘘だったけれど、時間をもてあます事もあり、チチに言われたようにソファに座るとごろんと横になった。
けたたましい食器が割れる音に、悟空の意識は覚醒した。
気付けばいつの間にか眠っていたらしい。
本当に疲れていたのかも知れないと思いながら、今の音はなんだったのかと辺りを見渡した。
リビングから続くキッチンで、床にへたばっているチチの姿が目に入った。
周りにはおやつだったのだろう、揚げ菓子と先程の音の主であろう、食器の破片が散らばっていた。
「チチッどうした?!大丈夫か?!」
ソファから慌てて降り、チチに近付くと、背中越しに浅く早く呼吸をしている事に気付く。
もしかして具合でも悪くなったのかもしれないと、悟空はますます慌ててしまった。
「ご・・・くう・・・さぁ・・・ハァ・・・」
吐く言葉も苦しそうだ。
横に回りチチの顔を確認すると、目は潤み頬は紅潮している。
その雰囲気は一見すると具合が悪そうに見えた。
「具合悪ぃのか・・・?」
そう言ってチチの肩に手を触れた時だった。
軽く触っただけなのに過剰にびくりと反応したのだ。
思わず触れていた手を引っ込める。
「チチ・・・?」
明らかに様子のおかしいチチの名前を恐る恐る呼ぶと、ゆっくりと此方を見た。
「おら・・・何だか急に身体っ、が・・・熱くなって・・・息もあがっ・・・」
悟空は思わず喉をごくりと鳴らした。
苦しそうに呟くチチの表情が妙に色っぽかったからだ。
心なしか、その声も艶っぽい。
その時、悟空はあの薬の事を思い出した。
・・・もしかして効き始めた?
途端、悟空の中で欲情がむくりと沸き上がる。
「なんかよっくわかんねっ・・・けど・・・」
そう言いながら突然悟空に圧し掛かるように身体を預けてきた。
何の準備も出来ていなかった悟空は、受け止めるだけで精一杯で、 チチを抱きしめたまま後ろに倒れこんだ。
自分を見下ろしているチチの息が上がっているのが解る。
妖艶な表情を浮かべたその表情は、これからの展開を否応なしに期待させた。
「悟・・・空・・・さぁ・・・」
何かを求めるように名を呼ぶと、勢いよくチチの顔が近付いてきた。
積極的に柔らかな唇が悟空の唇を塞ぐと、迷わず口内に舌が進入した。
いつだって自分から舌を絡める事などないチチが自らしてくるなんて。
薄目を開けてその行動を見ながら、薬の凄さを妙に実感した。
「ん・・・・っはっ・・・うぅん・・・」
悟空の舌を求めてやまないまま、くぐもった声を漏らす。
執拗な舌の動きに翻弄されそうになりながら、悟空はチチがしたいようにさせた。
チチが主導権を握る事など滅多にある事ではないのだから。
「っはぁ・・・っ」
一旦口を離せば、お互いの舌を繋ぐように唾液の糸が引く。
目はますます潤み、とろんとしたまま悟空を見つめている。
チチの口元からどちらのともつかない唾液が流れているさまは、それだけで悟空を煽る。
しかし此処はじっと我慢。
自ら動かずとも、チチが求めてくるという絶対的な自信があった。
「おら・・・なんかおかしいんだべ・・・すっごく悟空さに触れてもらいてぇだ・・・」
首の辺りまで覆っているチャイナ風服の喉元に手をやり、肌蹴させ始めた。
いつも恥ずかしがって、服を脱ぐのですら抵抗するチチが・・・。
馬乗りになったまま目の前で、その肢体を徐々に曝け出していく。
それがどれほどの興奮を沸きあがらせるだろうか。
一切の躊躇もなく、全てのボタンを外すと隙間から乳房がチラリと垣間見えた。
チチは下着を身に着けていなかった。
思わず唾を呑み込む。
「悟空さ・・・触ってくれるけ・・・?」
そんな問いかけなど無用だった。
早くそのふたつの膨らみを見たくてしょうがない。
この手で触れて、今以上に善がらせたくて堪らない。
悟空は静かな声で頷いた。
チチはゆっくりと肩から上着を滑らせた。
そうすれば目の前には待ち焦がれていた、乳房。
下から眺めるそれはまた普段とは違う感じで、ふるりと揺れる様子を堪能出来た。
片手で両乳房を抱えれば、さらに肉厚感と弾力感が増す。
それは誘っている以外何物でもない。
「悟空・・・さ・・・お願い・・・」
もう限界。
悟空は待ち焦がれたとばかりに、両の手でチチの乳房を下から持ち上げるように揉みあげた。
途端、チチの声から甘い喘ぎ声が漏れた。
「あは・・・っ」
恥じらいもなく、快感に顔を歪めるチチを堪能しながら、まずはじっくりと乳房の柔かさを味わう。
掌に吸い付くような質感と、揉む事で感じる弾力とを楽しみにながら、指を埋めていく。
触っても居ないのに既に硬く尖った薄紅色の突起は、焦らすように一切触れない。
「やん・・・悟空さ・・・触ってけろ・・・」
「触るって何処をだ?」
解っていながらワザと煽る。
いつもは口にしないような言葉を次から次に言うチチに、興奮は高まるばかりで。
普段のチチからは想像できない豹変振りに、つい悟空ものってしまう。
言わないような言葉を言わせたくてしょうがない。
「イジワル言わねぇで・・・いつもはチャント触ってくれるべ・・・?」
「チチがチャント言ってくれねぇと解んねぇよ」
とぼけると、途端にチチは身悶え顔を歪ませた。
触って欲しくて仕方ないらしい。
悟空の手首から甲の辺りを掴み引き剥がすと、頂へと導いた。
「ココだべ・・・この尖ってるトコロ・・・」
悟空の想像以上の事をするチチに、思わずにやけそうになるのを必死に堪える。
嬉しくて仕方ないのだ。
ずっとこんなチチを見たいと思っていた。
恥らっているチチを自分の手で快楽に堕とし、乱れさせるのもいいけれど、
たまにこうしてチチが積極的にみだらになるのもいい。
チチが望むならと、悟空は遠慮なくチチの主張している突起を親指と人差し指で挟み抓った。
「あぁん!っはぁ・・・キモチ・・・イ・・・」
首を仰け反らせて悶える姿を、ずっと下から見続ける。
本当はいつも気持ちいいと思ってるのかもしれないと思うと、満足感を得た。
人差し指で弾くと、ますます声を高くあげ身悶えさせた。
「なぁチチ・・・指だけじゃ足りねぇだろ?」
切れる事無く喘ぎ声をあげているチチに問いつめる。
悟空の口元は自然に上がっていた。
本当は自分がその突起を口に含みたいのに、全てをチチの欲望にすり替える。
「舐めてやっからおっぱいをオラの顔に近付けろよ」
そう言って攻め立てていた手を止めれば、物欲しそうに悟空を見下ろす。
求めてやまないその表情が色っぽくて・・・悟空はそれだけで我慢が利かなそうになるのを必死に堪える。
チチは、両の手で自分の乳房を脇側から支え持ち上げると、そのままゆっくり悟空の方へと身体を倒した。
「・・・ふたついっぺんがいいのか?」
こくんと頷くチチに、もっと寄せるように促すと、キュッと中央に乳房を寄せた。
まずは片方をぺろり、と舐め上げれば、チチの身体は忽ち震えた。
反応を見つつ、今度はもう片方を舐め上げる。
ゆっくりと交互に舌を這わせていたのを、徐々に動きを早めていく。
忽ちチチの表情は歪み、再び嬌声が漏れ始めた。
「ふぅん・・・!うぅ・・・もっとぉ・・・」
「チチはえっちだなぁ」
煽りながら片方の突起を口に含みきゅうぅと吸い付く。
途端に乳房を寄せていた手を離し、悟空を挟むように床に手を付いた。
「あぁ!悟空さぁ・・・っ!いぃ・・・んぅ」
ちゅくりとワザと大きく音を立てしゃぶれば、もっととばかりに押し付けてきて。
気付いているのかいないのか、もどかしそうに下半身を動かしている。
身体に申し訳程度に巻きついている腰帯をするりと解いてやると、自然と下の衣服が擦り下がった。
覗いた隙間から、今度は太腿から尻にかけて手を這わせた。
「チチ・・・こっちも触って欲しいんだろ?」
自分の上で乱れ狂い、綺麗に整えていた髪を振り乱し、快楽を貪る姿は最早ただの『女』。
持ち上げるように促すと、自然と腰が上がる。
最後に纏わり付いていた衣服を取り去れば、ショーツ一枚だけが残った。
衣服一枚隔てた秘部と悟空の肌との密着した部位に感じる、何か。
それに気付いた悟空はいやらしい笑みを浮かべた。
後ろから溝にそって指を沿わすように侵入させれば、何かは確信に変わる。
「はぁん!」
「すっげ濡れてっぞ・・・」
媚薬によって快感が増したチチの内から、いつも以上の蜜液が流れ零れていた。
それはいつしかショーツを染みさせ、収まりきらないものは密やかに隙間から滴り始めていた。
ぬるり、とした感触が悟空の指に纏わり付く。
攻め立てればいつだってチチの蜜を感じる事が出来たけれど、こんなに凄いのは初めてだった。
「んんぅ!はぁっ・・・あぁ・・・・」
布越しに刺激してやれば、さらにそれは底を知らないように溢れ続ける。
強く刺激するように、布ごと秘裂に差し入れるように刺激すると、くちゅくちゅと言う水音が耳に届いた。
恥ずかしがりもせず、全身で快感を感じているチチを攻め立てるのはいつもと雰囲気が違う。
しかしだからこそ、攻めれば攻めるほど素直に反応するチチがもっとみたくて。
余計に力が入ってしまうのは、悟空はチチを追い立てる本能に火が点いている証拠。
「チチィ・・・もっと腰あげてみろよ」
言われたとおりに膝を付き、悟空の身体から離すように腰を上げた。
ショーツの脇を持って無遠慮に下げれば、悟空の目の前に濡れそぼった茂みと、ショーツと秘裂の間に引く銀の糸。
愛液は、溢れ止まる事を知らないように、ぽたりとまたひとつショーツにシミを落とした。
「やだ・・・悟空さ・・・見てねぇで触ってけろ・・・」
何処までも貪欲に求めてくるチチを、どう攻めようか。
焦らすのもいいし、気を失う程攻め立てるのもいい。
考えあぐねている間も、チチはしきりに悟空を求めやまない。
これだけ感じているのだ、一度イかせた方が楽になれるようにも思えた。
茂みをかきわけ、まずは中指一本を溝に沿って進めると、既に米粒程の突起は剥けて主張していた。
ただ触っただけなのに、溝の壁に添えられていたそれぞれ二本ずつの指には、しとどに蜜が絡まり伝い落ちていく。
それは内股を流れ、悟空の身体さえ濡らしていた。
チチは恍惚な表情を浮かべ、打ち震える。
どれほど此処に触れて欲しくて堪らなかったのだろう。
待ち焦がれたように悟空を掻き乱す声をあげた。
「ふぁっ・・・!いぃん!・・・あぁぁーーー!!」
我慢の限界だったチチは、あっという間に高みに昇りつめ果てた。
悟空の胸に身体を預けるように投げ出し、肩で息をしている。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
悟空は何も言わずチチの背中に手を回す。
よくよく考えれば此処はキッチンだ。
チチは寝室以外で身体を弄るのを極端に嫌がるのに。
少し離れた場所には割れた皿の破片と、揚げ菓子がそのままの状態で散らばったまま。
それすら忘れるほど、あの薬の効果は覿面という事か。
「チチ・・・もう満足か・・・?」
いつもだったら自分が我慢出来ずチチの内に己を思い切り侵入させているのだが、今日はそれをしない。
本当は今直ぐにでもチチの内で果てたいとは思って居たけれど。
そうそう見れない乱れたチチの姿をもう少し見ていたかった。
・・・チチから強請ってくるのを。
「んんぅ・・・もっと・・・足りないべ・・・」
縋りつき、首を横に振るチチがいじらしくて可愛い。
悟空はチチがそういう事を解っていてワザとそう言ったのだ。
チチ自ら自分を望んでくるだろうと・・・。
「此処・・・キッチンだぞ?」
「そんなの関係ねぇべ・・・悟空さぁ、早くぅ・・・!」
必死に懇願するチチの身体を抱き締めたまま、身体を反転させた。
今度は悟空がチチの上になる格好だ。
口を近付ければ、チチから求めるように唇が突き出される。
それをまるで呑み込むように塞ぎ、息苦しいほどに口内を蹂躙した。
「はぁ、はぁ・・・悟・・・くっ・・・・」
まどろんだ瞳とかち合う。
散々チチを攻め立て、我慢も限界だった己の果てを求める為に、片方の内股を掴むと無遠慮に開いた。
その間に割り込むように身体を捩じ込み、既に硬くそそり立っていた己を宛がい、蜜口を刺激してやる。
ぬるりとした感触がむき出しの先端部分に感じ、それだけで達してしまいそうになった。
今まで我慢していたのだからそれも仕方ない。
「あぁん!悟空さぁ早く・・・っ」
早く内に入れて欲しくて仕方ないとばかりに強請る声をあげ、身体を捩る。
恥らういつものチチもいいけれど、こうして本能のまま求めるチチも堪らない。
纏わりつく蜜を引き連れ、遠慮せず思い切り一気に最奥まで突き立てた。
途端、チチの背中が仰け反り、悲鳴のような声を上げた。
「あぁーーーっ!!はぁっ、うぅん!・・・あっはっ・・・いい・・・っ!」
溢れ行き場をなくした蜜は、悟空を伝いキッチンの床にぽたり、ぽたりと次々落ちていく。
キュウキュウに締め付けてくる内はいつも以上だ。
あまりの刺激に悟空はあっという間に達しそうになる。
それを堪えるように一旦動きを止めると、チチの身体を横にずらし足を高く上げさせた。
チチの足を抱えるようにまた再び内を攻め立てる。
「はっ、はぁ・・・チチ・・・あんま、締め付けんなよ・・・くぅ・・・!」
「ひぁ!あぁんっ、んぅ・・・っ・・・あっ、あぁ!!」
じゅぷ、という水音と、ふたりの身体がぶつかりあう音がキッチンに響く。
チチの嬌声と、悟空の息遣いはどんどん荒く、大きくなっていった。
悟空は体制を変え、今度はチチをうつ伏せにさせた。
後ろから攻めるのだ。
腰を引き寄せ高くさせ、思い切り突く。
「んあぁっ!!」
思い切り顔を上げ背中を仰け反らし、一際高い声で啼いた。
黒く長い髪を振り乱し、善がり狂う。
限界が近かった悟空は我を忘れて、突いて突きまくる。
その度にますます愛液が増し、締め付けも強くなっていった。
「あぁっ!いい・・っの!・・・もっ・・・あっ、あぁっ、あぅ!・・・だめぇっ!」
先に果てたのはチチだった。
突っ張るように踏ん張っていた腕の力は忽ち抜け、床に上半身を投げ出した。
悟空は力の抜けたチチの身体を支え、思い切り一突き。
全身を電流が駆け巡るような感覚に襲われたと同時に、何もかもを吐き出した。
「くぁっ!・・・チチィ!!」
びくびくっと身体を震わせ全て注ぎ込んだ後、チチの背中に覆い被さった。
肩で息をし、呼吸を整える。
いつにもまして締め付けてきたチチの内は気持ちよすぎて、どうにかなってしまいそうだった。
あの初老の男性がくれた媚薬はこれでもかという程の効き目だった。
それは悟空の想像以上で。
まさかこんなにも大胆なチチが見れるなんて思ってもみなかった。
内心、この薬をくれたあの人物に感謝すらする程。
落ち着いてくる息と共に脳裏に浮かんでくるのは、今まで見た事もないチチのあられもない姿。
今までだって色んなチチを見てきたけれど、自ら求めてくる事などなくこんなにも欲望に正直な姿はきっと二度と見れはしないだろう。
・・・もう一度、あの男性に会えるだろうか?
そんな邪な事を考えない訳でもなかった。
「ん・・・悟空さぁ・・・」
「大丈夫か?」
ん、と小さく頷いたチチを確信し、身体を浮かすと自ら反転し悟空に腕を伸ばしてきた。
受け入れるようにチチに身体を埋めると、チチは耳元で囁いた。
「もっと・・・して欲しいだ・・・」
その言葉に一瞬目を丸くしたけれど、悟空は忽ち目を細め笑った。
幸いまだまだチチを攻め足りないぐらいだ。
悟空はチチの身体を抱え、立ち上がった。
「続きは寝室でしようぜ」
悟空の首にきつく抱きつくチチを大事に抱えたまま、家の一番奥の部屋へと消えて行った。
この後、薬の効力が切れたチチに散々問い詰められる事を、この時の悟空は知る由もなかった。
とっても大胆なチチが書きたかったのです・・・あうぅ;
今年の酷暑のせいです・・・多分