お題 018. 【ホテル】 (新婚悟チチ)










「おめでとうございま〜す!」

カラランと鐘が鳴り響くと同時に大きな声が飛んだ。
そう叫んだ男は目の前の少女に満面の笑みを振り撒き、微笑みを向けられた少女はただ呆気らかんとしたまま立ち尽くしていた。

「一等の“最新ホテル一泊ペア宿泊券”が当たりましたっ!」

それまで呆けていた少女は突然目を見開き男に詰め寄った。

「ホッホントけ?!」
「はい!間違いなく一等ですよ〜!!」

その言葉でやっと少女は満面の笑みを浮かべた。





天気のいい昼下がり。
チチはいつものように食材の買い出しに来ていた。
普通の人の何倍も食べる愛しい旦那様、悟空の為に今日も腕を奮う為だ。
食材を吟味して買い物を続けて居ると行く先々で何枚か券を渡された。
どうやら感謝祭か何かで福引が催されており、いろんな商品が当たるらしい。

『一等は最新ホテル一泊ペア宿泊券だよ』

買い物した先の店員がそう教えてくれた。
最新ホテル一泊なんてチチにとっては夢のまた夢だ。
普段パオズ山で暮らしているから都会なんかこうして買い物に来る時だけだし、悟空は全く働かず修行ばかりでそんな贅沢も言えない。
それでもまだ18歳のチチは悟空と泊まれたら素敵だろうな…と考えるのは自然な事だ。
大好きな人と素敵なホテルに泊まってみたい。
心は既に最新ホテルだ。

沢山買い物をしたチチは合計20枚もの福引券を手にしていた。
これだけあればもしかしたら当たるかもしれない。
そんな考えで福引に挑んだのだがそうは上手く行かないのが世の中の常で。
引けども引けども当たるのは参加賞のティッシュとたまに6等の500ゼニーの商品券。

『これホントに一等入ってるだか?!』
『入ってますよ〜。頑張って引いて下さい』

つい疑ってしまいたくなるぐらいはずしにはずしまくって、いつの間にか18回目のチャレンジになっていた。

『え〜い出るだ!!』

カラン、と回した福引機から飛び出したのは金色の玉。
途端に冒頭の鐘が鳴り響いたのだ。
目録を貰ったチチは嬉しくていつ行こう、何を着て行こうと心は既に最新ホテルだった。





「“最新ホテル”?其処で何すんだ?何か食うのか??」

肝心の悟空の反応などこんなものだ。
ある程度予想していたチチはそれでも浮かれながら悟空に説明した。

「食べるんじゃねぇだ、泊まるだよ」

しかし、悟空にとってその泊まるという行為事態が理解出来ていなかった。

「なんで家があんのにわざわざ泊まりに行かなきゃなんねんだ?」

その問掛けにチチは言葉を詰まらせてしまった。
今まで野宿など平気でしてきた悟空にとったらホテルにわざわざ泊まりに行く観念はないだろう。
それでも同じ年頃の女の子達と一緒でチチだって素敵な所に泊まりたい。

「たまには自分家以外に泊まるのもいいだよ。夜景とか見たりしてきっと綺麗だべ」
「オラ此処が一番落ち着くし夜景なら筋斗雲に乗れば見れっぞ」

此処が一番落ち着くと言われたのは嬉しい。
しかし今はその喜びに浸るわけにはいかない。
こんなホテルに泊まれる機会なんかこの先滅多にないに違いないのだから何としてでも悟空を説得しなくては。

「悟空さ…ちっとも働いてくれねぇべ」

チチの一言に悟空はビクッと肩を震わせた。
なんだかんだと働かずに修行ばかりしている事を少なからず悪いとは思っているらしい。

「なのにおらは毎日ご飯作って送り出してるのにおらのお願いは聞いてくれないだか」

思いきり困った顏をしている。
あと一押しだ。

「だったらおらもうご飯つくらねぇだ」

悟空は即泊まりに行く事を了承した。










そのホテルは都でも一番の高さを誇り、全室から街の夜景が見れるのが売りのまだ出来て間もないお洒落な雰囲気のホテルだった。
チチは当たってよかったと心から思った。
通された部屋はホテルの上階で景色も街全てを見渡せるような大きな窓でセミスイートタイプ。
部屋もシックで落ち着いており何より広く、アメニティも可愛いものばかりで女性客をよく考えているのが解る。
そしてバスルームはユニットバスではなく、ジェットバス付きだ。
チチはウキウキして堪らなかった。
こんな素敵なホテルに悟空と泊まれるなんて夢みたいだ。

「なぁ〜チチ、腹減ったぞ」

全くムードもへったくれもない悟空に呆れてしまうもそれが悟空なのだから仕方ない。

「ちゃんとお弁当作ってきただよ」

本当はホテルの素敵なレストランで夜景を見ながらと思っていたのだが相手は悟空だ、物凄く食べる事は目に見えている。
お金がいくらあったって足りないのは明白だ。
チチはホイポイカプセルに入れて次の日の朝食まで準備万端だった。

「いっただきま〜す!」

テーブルに並べ終わると同時に悟空は物凄い勢いで食べ始める。
これもいつもの事。
それを横目にチチは窓の外に目を向ける。
外は薄暗くなりポツリポツリと明かりが付き始めていた。
こうして夜景を見ながら部屋でご飯を食べるのも悪くないなぁと悟空に気付かれないよう笑った後、手作りの焼売を頬張った。





「おら風呂の準備してくるな」

ご飯も食べ終りまったりとした時間を過ごし、チチは密かに楽しみにしてたお風呂に入ろうとバスルームに向かった。
勢いよくお湯を流し込み、ふと浴槽の脇に何か置いてあるのが目に入った。

「なんだべ?」

よく見るとジェットバスで泡を立たせる入浴剤だった。
チチは昔テレビで泡のお風呂に入っているシーンを見て憧れた事を思いだし目を輝かせた。
どんどん溜るお湯にチチはその入浴剤を入れジェットバスのスイッチを入れた。
するとあっと言う間に湯船は泡が立ち上がる。

「うわぁ〜!」

ふわふわの泡を手に取り息で吹いてやると散り散りに再び湯船に落ちる。
初めての経験にチチは早く入りたくなり着替る為に脱衣所に向かおうと振り返り…。

「なんだ〜?その風呂」
「ごっ悟空さ!ビックリするでねぇかっ」

気付けばいつの間にか悟空がバスルームに来ていた。
どうやら目の前の泡風呂に興味があるらしい。

「それが風呂なんか?お湯とか入ってんのか?」
「一応入ってるだよ。おらが出たらチャントお湯入れ直すからな」

悟空はこんなお風呂は嫌だろうと思っての発言だったのだが、悟空はその泡をジッと見たまま動かない。

「悟空さ?おら入りてぇから出てってくれるだか?」

チチの言葉にやっとその場から後にしたが、一体何か気になる事でもあったのだろうか。
不思議に思いながらもあまり気にする事はないだろうとそのまま支度をした。




ジェットバスを入れると泡はたえまなく立ち上がりふわふわの感触が心地いい。
こんなお風呂に入れるなんて福引様々だと一息吐いた後―――。

「チチぃ。オラも入るぞ」

突然ドアをガラリと開けて全裸の悟空が入ってきた時のチチの驚きようはそれは凄かった。

「ごっ悟空さ?!!」

突然の事に声が裏返る。
いきなりドアを開けたかと思ったら入るなどと誰が想像出来ただろうか。

「なっなして入るだ?!後からチャントしたお湯を張るって言ったべ?」
「オラもその泡みてぇなヤツに入ってみてぇんだ」

だったらおらが上がった後に―――と言う前に悟空はさっさと湯船に入り込んでしまった。
あっと言う間の出来事にチチは言葉が出ない。

「へぇ〜ホントに泡なんだなぁ」

興味深く泡を触るように手に取ったりしてる悟空に仕方がないと溜め息を吐いた。
悟空にもこんな一面があるんだなぁと泡まみれになっている姿に笑いがこみあげる。
幸い泡で体は見えないのだ、そんなに恥ずかしがる事もないだろうと安心して体の力を抜いた直後だった。

「?!」

ふとチチの乳房に何かが触れたかと思うと鷲掴みにされた。

「悟空さっ。何するだ!!」

泡の下で目に見えないのをいい事に悟空はチチの乳房に手を伸ばしていた。

「いや〜見えねぇからさ、この辺かなぁと思って」

悪びれる様子もなく親指で頂を刺激する。
その顔は子供が悪戯する時のように無邪気でいてどこか悪巧みを含んだ笑顔だ。

「やん…っやめるだ!」

やめさせようと抵抗するも悟空はチチとの距離を詰める。
それから逃れるように後ろに下がったチチだったが、いくら広い湯船でも果てはあって。
あっという間にチチの背には湯船の壁がぶつかった。

「だって見えねぇからつまんねぇんだもん」

そう言ったかと思うと両脇を抱えチチの体を湯船から抱き上げ縁に腰をおろさせた。

「なっ何するだ!下ろしてけろっ」

急に悟空の目の前に体をさらされ慌てて抵抗するもしっかり支えられて身動きが取れない。
丁度悟空の顔の辺りにチチの乳房がくる格好となり羞恥心が一気に増す。

「まだ見えねぇな」

胸にまとわり付いていた泡で何とか隠れていたが、それを悟空は息を吹きかけ払っていく。
それがほのかに擽ったい。

「やだ…悟空さ…」

息だけで感じてしまう。
恥ずかしいのにされるがまま徐々にその乳房を晒していく。
片方の泡を吹き飛ばし露わにした後、もう片方の泡も吹き飛ばし始める。
悟空の前にいつも見慣れたピンクの可愛らしいそれが見える。

「…やっと見えたぞ」

そう言うやチチのツンと主張している頂を口に含んだ。
待ち焦がれていたように、何の迷いもなく。

「んあ…!」

壁に背中を押し付けられ体の中心に悟空の体が入り込む。
息を吹きかけられて感じていた頂は悟空の舌によってさらに刺激を与えられる。
白い肌はお湯によってほんのりピンクがかり視覚的にも悟空を煽る。

「ふぁ…」

悟空はまるで子供のように乳房を吸っては舐り味わっていく。
時に上目遣いでチチの表情を覗き見、感じてるチチを見て満足げな表情を浮かべては再び目の前の乳房に集中する。
泡が付いていた事など気にする様子もなく、丸みを帯びている部分にまで舌を這わせた。

バスルームに立ち込める湯気がまるでミストサウナのように体に纏わり付き、チチの思考を停止させた。
こんな明るい場所で裸を見られて恥ずかしいのに意識はどんどんぼやけて快感だけが体を支配し始める。
悟空は掌で泡を掬ったかと思うとチチの一番感じる部分に擦り付けた。

「ひぁ…っ」

首を反らし声を上げるチチの首筋に吸い付く。
白にピンクがかった肌に薄い紅い華が次々と咲き乱れていく。

「ヌルヌルして何処までも手が入ってくぞ」

上目使いでチチを挑発すると涙目で見つめ返す。
その表情が堪らなく激情を駆り立てる。
自分のした行為によってどんどん変貌していくチチを見るのが悟空は好きだった。

「ほぅら、な?」

本当だと証明するように沿わせていたチチの中心を撫で奥へと滑らせてやると再び高い声を上げた。
その声も悟空の行為をエスカレートさせるもののひとつ。

「あぁ…悟空さ…っ」

肩を掴む手に力が篭り足の力が抜けていく。
直接触られているのに泡を隔てている事によって、ふわふわとした感触にヌメリが加わりなんとも言えない刺激を感じて声をあげてしまう。
悟空はその泡を上部の突起に擦り付け、優しく撫で上げた。

「あっ!悟空さっダメェ…ふぁ…ん」

言葉とは裏腹に甘い声で啼き、その部分を晒すように足を広げ背中が浮く。
それに気付いた悟空はからかうようにチチの耳元で囁いた。

「ダメって割にはオラに押し付けてくんだな」

その言葉にチチは泣きそうな顔で悟空に懇願する。

「やんだ…言わねぇでけろ…」

本当は恥ずかしいのだ、こんな明るい所で攻め立てられる事は。
自分の感じてる顔も、ありとあらゆる部分も、全て悟空の前に晒されてしまう。
それでもこの快楽の前には意識はそうでも体がその快楽を求めて動いてしまう。
このような体になったのは何故だろう。
自分はこんな筈じゃなかったのに……。

「チチは此処が感じるんだもんな」

初めての夜を迎えてから幾度となく抱いた体だ。
悟空にとったらチチの何処が感じるのか今は手に取るように解る。

突起部分を時に優しく、時に強く擦り上げ刺激する。
泡は滑りもよくおもしろいようにチチのその部分を往復させた。

「あっ…あぁ…悟空…さぁ…」

チチの声が追い詰められたように発せられる。
首を左右に強く振り、必死に何かをこらえるように繋ぎとめていた。
悟空はそれを解っていながら攻め立てる手を緩めない。
チチの限界が近い事を悟っていたからだ。

「チチ…我慢しなくていいぞ」

その声に導かれるようにチチの声は一層高く悟空の耳を擽った。
お腹の奥の方から何かが芽生えたかと思うとそれは徐々にチチの中で大きくなり突き破られる感覚に陥る。
今目の前で自分を攻め立てている悟空の存在さえ解らないぐらい意識が一瞬遠のいた。

「あ…あぁ…っ!」

強いうねりに体を攫われチチは快楽の頂点に達した。
逸らして晒していた首筋は先程よりもピンク色を増し、力の抜けた体は支えを求めるように悟空の体にしなだれかかった。

「チチ…気持ちよかったんか?」

こくりと静かに頷くチチに悟空は満足そうに口付けをした。
意地悪く聞く悟空にチチは何の反論も出来ない。
体は今も力が入らず目の焦点は合わないままだ。

「オラ、この泡風呂好きだぞ」
「…馬鹿」

満面の笑みで笑う悟空の胸に顔を埋めた。
徐々に意識が戻ってくるとあまりの熱さにまだ夢に浮かれているようだった。

「おらのぼせちまったみてぇだ…クラクラするだよ」
「大丈夫。オラがベッドまで運んでやっから」

だからオラも気持ちよくしてくれな?

耳元で囁き耳たぶを甘噛みする。
こうなってしまったら拒否する事など出来ない。
此処からまた再び悟空の手でめくるめく世界へと連れて行かれるのだ。

真っ赤になりながらチチは再び静かに頷いた。





夜はまだ始まったばかり…。










題して「お風呂(泡)プレイ」
もちろんこの後はベッドに行って・・・ゲフゲフッ!

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