守ってあげたい 番外編 〜羊の気持ち〜ジロー編
その子は、俺がよく寝ているスポットに突然現れた。
綺麗な黒髪に華奢な体を持っていて、多分10人に聞いたら10人とも綺麗だと答えるような嫌味の無い容姿をしていて。
その子がとても悲しげにポロリと涙を零した。
何も興味の持て無いことには一切の感心を払わない、と言われているものぐさな俺が。
「何々?何泣いてるのー」
とそう問いかけていた。
自分を見て笑って欲しい。いや、笑い顔が見たいとそう思ったんだ。
話してみると、とてもさっぱりした性格の子で尚更気に入っている自分が居た。
ねぇ…。俺にもっと笑って微笑んだ顔を見せて。
だから、ごく自然に。
「じゃあ、俺を特別な人にしてよ」
そう言っていた。その唐突な問いへの答えは勿論NOだったけど。
これで諦めるつもりは無かった。
だって、こんなに一目で欲しいと思った子なんて初めてだったんだ。
あれ?これってもしかして一目惚れ?
だったら凄くない?
跡部やら、鳳やら、そして何やら忍足まで俺のあの子に気があるみたいだけど。
きっとあの子の涙を見たのは俺だけだと思うから。
ちょとリードかなぁ?
とはあれからあの裏庭の場所でよくで会う。
この間会ったときには、また泣いていた。
良く泣く俺の可愛い子だから、誰にも教えてやるつもりはない。
慰める為にその欲しい体を、ぎゅっと抱きしめてやると安心して寝てしまった。
俺もつい一緒に寝ちゃったんだけどね。
弱いも、怒るも、笑うも自分だけもものにしたくて堪らないのに。
一緒にいると安心しちゃって眠くなってしまう。
だから、二人で寝てしまうこともしばしばだ。
に告白して、この関係を変えたいとも思うけど。
今のこの関係もとても心地よくて、しばらくはこのままでもいいかなと思ってしまう。
いつかは俺に心の中でだけじゃなくって、『』と呼ばせてくれる日はくるかな?
まぁ、その日を夢見て俺はまた一緒になって寝てしまうんだけどね。
『、ダイスキ』
*本編から取り残されてる感のあるジローの心情です。
書ききれてない私が駄目なのですが、穏やかな羊は実はこんな事を考えていました。