守ってあげたい 番外編〜ちまちま星人と私〜
「おっおはよ〜。」
「………。」
朝から能天気な向日を見ていると、ワシャワシャと頭をかき混ぜて思う存分撫で回したくなる。
でもここは言うべき事は言わないといけない。
「おはよう”さん”って呼ばないのですか?向日さん」
「うわっ、が向日さんだなんでキモッ。つーか、岳人でいいぜ」
こいつは〜。先日私が言った事一ミリも覚えていません。
「私は、名前呼びするのって特別な人だけって限定しているの。だから、向日の事は名字呼び捨てで呼ぶってこの間言ったわよね?」
ジローに言ったように、先日ファミレスで跡部にたらふくご馳走になった時に同じような話をしたはずだった。
「あー。聞いたような気がする」
「で、私が言った事覚えてる?」
「何だっけ〜?」
これが、跡部あたりならとっくに叱り飛ばしているか完全無視とかする所だけど。
小動物的ながっくんを見ていると、別の意味の忍耐切れそうになる。
うーこのもの覚えの悪いところもある意味、萌えなのだが…。
はっいかんいかん、ここで切れるとこの間の二の前だしと思いなおして理性を取り戻す。
出来るだけ、憮然とした顔を作って。
「だから私の事も、名字呼び捨てで呼んでって言ったの覚えて無いの?」
「んー。聞いたような気がする」
「なら、分かったわよね?」
「えー。ヤダ、オレはオレの呼びたいように呼ぶし。にはオレのこと岳人って呼んで欲しいから」
だ、駄々っ子だ。
「………。」
駄々っ子も萌え…。じゃなくって、いかんいかんちまちま生物を見ていると理性が・・・。
「だって、ってオレより背小せぇから。妹みたいじゃん」
い、妹ですか?
脳内では、「お兄ちゃんダイスキ」「の為なら、いっぱい飛べるぜ」と妄想が膨らみそうになりました。
妹萌えって、じゃなくって。
「というか、向日の方が弟みたいだと思うんだけど」
「…………。」
しばし、お互い見詰め合ってしまった。
「何楽しそうな話してるんや?」
昇降口でこんなやりとりをしていたせいか忍足が話しかけてきた。
「聞いてくれよー侑士」
とがっくんが今までのいきさつを、要領が悪いながらも話している。
うーん、話している姿も必死で可愛いのですが…。欲しいなぁ持って帰れないかなぁっと、つらつら考えていたのですが。
「ほー呼び方ねぇ。お互い好きなように呼ぶんがええんちゃうか?」
「だろーだろー。そう思うだろー」
「なぁ…。””もそう思えへんか?」
食えない微笑みを浮かべて、忍足はそう言って下さいました。
というか、私の意志は関係ない訳ね。もう反論する気力が萎えてしまったのですが。
「もう、好きにすればいいわ。でも、本当に名前で呼んで欲しいのは一人だけだから」
そう言うとさっさとその場を離れる事にした。
そんな私の後姿を、二人がどんな顔で見ていたのかなんて知らない。