影
「絶対にめくれると思う」
そう言いながらあいつは地面を引っ掻く。
がりがり。
がりがり。
削れる音。
その音が耳障りで、俺は耳を塞いだ。
「 」
何かを言いながらあいつは地面を引っ掻く。
がりがり。
がりがり。
指が削れる。
その赤が目障りで、俺は目を閉じた。
何も聞こえない。
何も見えない。
どのくらい時間が過ぎたのか、わからない。
あの物好きはそろそろ飽きただろうか、と気になり、目を開けようとした。
開かなかった。
目が、無くなっていた。
俺は、影になっていた。
後書き
こういうお話の後、どうなるのか考えると楽しいです。
楽しいけど、基本的に丸投げ。なのはきっと楽しさを分かち合うためだと思います。決して面倒だとかじゃなくて。
10/03/09
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