ひらひら白一枚
残飯処理の案山子が見つけた「答え」を、剣を持った鳩は「間違いだ」と嗤った。
偶然それを見たヒトガタの呟いた「本当のこと」は蚊帳の外で、ふたりは勝手に言葉を交わしている。
ヒトガタは悲しみ、大いに悲しみ、言った。
「何故私の言葉は伝わらないんだ」
例え見上げる空の色が同じでも、雲の上から声は届かない。
ソラから投げる投網には今日もクラゲばかりがかかっている。
艶々して、透けてて、何だかかわいい。
何もないよりはましだが、正直そろそろ飽きてきた。
いつまでこんな生活をすればいいのだろう。今日も案山子はもめている。
鳩は段々と数を増している。案山子は爪で裂かれてボロ雑巾。
ヒトガタは案山子を守ろうと地に降りて、「本当のこと」を、聞こえる距離で言った。
しかし、誰も「本当のこと」に耳を貸さない。糾弾の対象はヒトガタへと変わり、中身のなくなった案山子も共にヒトガタを非難した。
嗚呼、地に降りた神に価値などない。
後書き
「神」「神」って言う割には誰も「神」の言葉聞いてないよね。
でもやっぱ「神」が自分で説明しなきゃならない状態になったら「神」じゃないよね。創作って難しい。
09/01/19
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