レイブンクロー戦後、大勢の生徒が・とハリー・ポッターとのロマンスを
おおっぴらに噂した。
真夜中の中庭で、ハリーとが廊下のあちこちで熱烈なキスをしていた、
禁じられた森で、二人が二匹のツバメみたいに重なっていたなど話に根や葉がどっさりと
つき、当人達の耳に入る頃にはとんでもない話へと膨れあがっていた。
「二人はどこまで進んでるの?ロミルダ・ベインがあっちこっちに飛び回って変な噂を広めてるわ」
談話室で薬草学の宿題をしているとジニーがいぶかしげに聞いてきた。
「まったくもう――あの人の頭の中にはそれしかないのかしら?ところでジニー。あなたはディーンとはキスまで行ったのよね?」
はしょうがないなといいたげに、パタンと教科書を閉じた。
「うん、それからちょっと激しい喧嘩を一つして、別れちゃった」
ジニーは大して気にしてませんよといいたげに首をすくめた。
「ロンとラベンダーも別れたんでしょう?」
「ええ、まぁ。彼の方から別れ話を切り出したみたい」
が形の良い鼻をこすりながら言った。
「やっぱり。なーんか、彼女の猛烈な勢いに終始押され気味だったのね」
「ハーマイオニー、嬉しい?」
「やだ、別に――私は最初からあいつのことなんて心配してなかったわ」
とハリーは真っ赤になって照れている彼女を見て、こっそりと笑いをかみころした。
六月になるとうっとうしい雨が降り、寒くて、ほうぼうに水溜りとイギリス特有の粘々した泥が積もった。
談話室から人影がなくなったある夜――とハリーは暖炉の前の一緒に座って、燃え盛る火を見つめていた。
炉の前の真っ赤な暖かい絨毯の上に置いてあるクッションに、二人は腰掛けて体を寄せ合っていた。
「スラグホーン先生の記憶を回収するの手伝ってくれて、マジで助かったよ」
「君の伯母さんが先生のお気に入りの生徒だって知って、ちょっとびっくりしたけど」
はだいぶん前に、スラグホーンの記憶を回収するのを手伝い、ダンブルドアとの個人授業の話を
ハリーから又聞きしたばかりだった。
ヴォルデモートの生い立ち、彼が永遠の命を得る為に作ったホークラックス、憎き父とその家族を惨殺したこと、
孤児院で出会ったミナ・ブラドへの実らぬ恋・・ヘプジバ・スミス殺し、
ヴォルデモートに狙われたの家の宝剣の話などなど・・・目を疑うような話はいくつもあった。
「あなたのお母さんの話が聞けてラッキーだった。私のお母さんと親友だったなんて」
はこの手の話になるととても嬉しそうな顔をした。
「ヴォルデモートが捜し求めていたグリフィンドールの宝剣は、君の父方のお祖母さん(イルメリン・グリフィンドール夫人)がダンブルドア校長に
保管を頼んだとは知らなかったな。つまりは、バジリスクを刺したあの宝剣、君の家のものだったんだ。
今から考えるとすごい偶然だ」
ハリーはちょっと笑って言った。
「あやうくホークラックス(分霊箱)の一つにされそうになったわね。そんなの考えただけで嫌!
あれはフェリシティー伯母さん、後々、私が相続する財産の一つよ!誰が盗人たけだけしいあいつになんか
渡すもんですか!
ところでヴォルデモートが作った分霊箱って七つだったっけ?」
は血の気の失せるほど、ぎゅっと拳を握り締めた。
「スリザリンのロケット――あれはあいつの家のものだろ?それからハッフルパフのカップ、
あいつの家の指輪、日記、蛇、レイブンクローの品物、それからあいつ自身」
ハリーは指折り数えながら該当するものを並べ立てた。
「指輪と日記は破壊したでしょう?」
「あと五つも破壊しなきゃならないのか・・」
は頭を抱えた。