ハリーは今夜の惨劇を集まった見舞い客にようやく、詳しく語り始めた。

彼はまず、ダンブルドアとホグズミードに行く前に、DAのメンバーに金貨で連絡を取り、

マルフォイとスネイプを見張るように命じたことを語った。

それから、ホグズミードで先にフェリシティー婦人と合流していたと落ち合い、

海辺の洞窟に向かったこと、ダンブルドアが毒薬を飲み、瀕死の状態に陥ったが

の癒術で一命を取り留めたこと、闇の印が学校の空に打ち上げられたのを見かけたので

急いで駆けつけて、降り立った屋上でドラコ・マルフォイに出くわしたこと、

デスイーター達の乱入、去年、モンタギューが突っ込まれたキャビネットの秘密、

スネイプの登場で、ダンブルドアは一撃にて殺されたこと、彼はを連れて

逃走しようとしたので、もみあいになり、狼男に捕まって取り逃がしたこと、

フェリシティーとルーピンの乱入で、狼男が慌てて逃げ出したこと、

それから二人と一緒に、禁じられた森へスネイプとを探しにいったこと、

だが、途中の分かれ道で二人とはぐれてしまい、最終的にスネイプと決闘し、

やられてしまったこと、スネイプがヴォルデモートに魂を売り、彼女と自分の両親をしに追いやったことなどを、要点をかいつまんで見舞い客に分かるように話してやった。


「だからあれほど・・」

マグゴナガルはしゃくりあげた。

「私や教え子のフェリシティーが、何度もダンブルドアに申し上げたのに・・」

「スネイプは過去が過去ですから、簡単に信用してはならないと」

「どんな罠が隠されているか分からないと・・」

「マグゴナガル先生、大丈夫ですか?」

いつの間にか、髪も服も決闘でぐしゃぐしゃになったフェリシティーが病室に

入ってきて、くずれるように倒れそうになった、げっそりとふけた恩師を横から支えた。

「ええ・・ええ・・大丈夫よ。フェリシティー。魔法省のお役人に生き残ったデスイーター達を

 引き渡したのですね?」

「はい。死亡した者もおりますが、生き残った者達は全て・・」

「ご苦労だったわね。あなたが無事で何よりだわ」

マグゴナガルはそういって、教え子の労をねぎらった。

「それが私の仕事ですから。ですが、すみません・・肝心のスネイプとマルフォイを取り逃がして

 しまいました」

フェリシティーは戦いでちりぢりに縮れた黒髪の頭を下げて、くやしそうに進言した。


「私が絶対に捕まえるべきでした。あの裏切り者の男を!」

「ハリー、僕、しくじった」

ロンが沈んだ声で続けた。

「君の指示した通り、マルフォイとスネイプの計画を阻止しようとしたんだ。君に借りた

 忍びの地図を調べてさ。マルフォイの姿がどこにも見当たらなかったから、必要の部屋だと

 思った。そこにネビルとジニーと三人で見張りにいったんだ。だけど、マルフォイに

 出し抜かれた」

「一時間後、必要の部屋からあいつが出てきてさ、僕らをみたら、兄貴たちの店のインスタント煙幕を

 投げてずらかったんだ。それで、その間にあいつはデスイーター達を誘導して

 校内に入り込ませたんだ。あいつは、ノクターン横丁の商品の「輝きの手」を持ってたから

 あの煙幕の中を自由に動けたんだ。でも、僕らは見えないし、動けないから

 ルーモス呪文で暗がりを破ろうとした。だけど、出来なかったんだ。

 手探りで三人で明るい廊下に出たときは、連中を取り逃がした後だった・・」



「幸運なことに・・」

ルーピンが嗄れ声で言った。

「三人は、それからすぐに我々と合流できた。途中、天文台の搭へ向かっていたデスイーターを

 発見した。そこで戦いが始まり、連中は散らばって、我々は追いかけた。

 ギボンが一人抜け出して、搭の上に闇の印を打ち上げた。

 ハリー、、君達二人が目撃したのものだよ」


「ギボンは、そのまま階下に駆け戻った。そして、私をわずかにそれた死の呪いに

 当たった」

「私は――」

ハーマイオニーが涙でぐしょぐしょになった顔を上げて、話し始めた。

「その時、ルーナと一緒にスネイプの部屋の前にいたの。真夜中近くにフリットウィック先生が

 地下牢に走ってきて、デスイーターが侵入したって叫んでた。先生は酷く動揺していて

 私達に気づかなかったわ。それで、しばらくして部屋で大きな音がして

 スネイプが出てきたの。スネイプは―フリットウィックが気絶したから、私たちで面倒を見ろと言ったわ。

 自分でデスイーターとの戦いに加勢に行くからって」


「そしたら、そのすぐ後、の伯母さんがスネイプの部屋に駆け込んできて

 フリットウィック先生が気絶しているのに気づいて、スネイプはどこへ行ったのか?

 と聞かれたの。私達、何が何だか分からなくて、スネイプはデスイーターとの戦いに加わる為に

 出て行ったって答えたら、ここから絶対に出るなって警告されて、

 物凄い勢いで「スネイプ!」って叫びながら出て行かれたの」


「私、大きなミスをやったわ!動揺して伯母さんの言ってることが分からなかった!

 ああ・・でも、今なら分かるわ!!スネイプがフリットウィックを襲ったのよ。

 そのことに気づいて止めるべきだったわ!」

「ハーマイオニー、ルーナのせいじゃないわ」

恥ずかしくて顔を上げれなくなった、親友二人に、はなぐさめるように言った。

「あいつは邪魔をしたら、君たちを間違いなく殺していた。
 
 気づかなくて良かったんだ」

ルーピンがきっぱりと後に続いて言った。

「彼女の言う通り、私は、その刹那、スネイプが裏切ったことを感じたわ。

 必死に追いかけて、大階段を挟んで激しい攻防になったの。

 スネイプは逃げ足こそ速くなかったけど、息つく間もなく攻撃するので

 防ぐのに手一杯だった。私の炎の呪文が奴の炎の呪文と激しくぶつかって

 衝撃で、二人とももんどりうって、転げ落ちた時、私は落ちていくあいつのローブをつかんだ。

 だけど、後ろ足で顔面を蹴られて一瞬、意識が飛んだの。その間に、あいつは

 ふらふらと起き上がって、あいつは防壁の呪文か何かをかけて私を

 それ以上上がって来れないように阻止した」


フェリシティーは難しい顔で腕を組んで話し始めた。


「私が気づいて助けに行くまで、彼女は階段のところで倒れていた」

ルーピンは疲れたように言った。

「スネイプの防壁呪文は簡単に破れなかった。フェリシティーの声を頼りに

 あらゆる呪文を試してみて、やっとぶち破れた。

 それから彼女を起こして、二人で階段を駆け上がって、途中で邪魔したデスイーターらを

 殺して、屋上に出た。それから後はハリーの話したとおりだ」


「スネイプは私たちの知らない呪文を知っていたのでしょう。彼は闇の魔術の防衛術の教師で

 かなりの使い手でしたから・・」

マグゴナガルはぼんやりと呟いた。




 

 













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