美しい夏の晴れた日。

喪服に身を包んだホグワーツ生と教師、魔法省高官、その他一般の参列者が

見守る中でダンブルドアの葬儀は行われた。

、ハリー、ロン、ハーマイオニーの四人は泣きながら川辺に立っていた。

ダンブルドアの遺体が生前、最も愛した、そして忠実な不死鳥によって

作られた白い大理石の棺に入れられてしまうと

ハリー、は深い喪失を感じて、芝生に座り込んだ。

結局、ダンブルドアと二人が必死の思いで手に入れた分霊箱のロケットは偽物だった。

ロケットの中に折りたたまれた紙がしいてあり、何者かが彼らが来る前に

持ち去ったと書いてあったのだ。


「私達、何の為に分霊箱を取りに行ったんでしょうね?」

「引き換えに得たのはダンブルドアの死とスネイプの裏切りという、事実だけだった・・。」

は皮肉っぽく微笑んで言った。

、そのことだけど話があるんだ」ハリーは真剣な顔で彼女に向き合った。

「君をもう、放してあげようと思う。僕とは付き合う必要ないんだ。一緒にいなくていい」

「えっ?」彼の突然投げ込まれた言葉に、彼女は酷く狼狽していた。

「僕にはやることが出来たし、ルーピンとの間で何があったか、記憶を失っている君にずっと隠していた。

 彼のところに戻って欲しくなくて・・聞かれてもはぐらかしていた。

 その間、ずっと自分自身を責めた。これでいいんだ、いや、よくないんじゃないかと。なのにロンに真実を話すべきだと諭されても

 傲然と無視した。僕のところに引き止めておきたい一心で。

 でも、もう放すよ。誰が何と言おうとルーピンの側にいるんだ。今度こそ絶対に放さないで。

 あの人は君のことを本気で好きなんだ。この間、彼が病棟で一睡もせずに君に付き合ってるのを見て

 叶わないと悟った。僕は最初から負けていたんだ。あの人はずっと君に対して本気だった。

 嘘偽りはみじんもなかった」


「本当だったら怒って、つかみかかっているところよ。私が記憶が戻る前、どれだけルーピンのことをあなたに尋ねたと思う?」

はちょっと怒ったように言ったが、だが、すぐに飛びっきりの笑顔を見せた。

「でも、もういいの。私達のこと認めてくれるのね?」

「もちろんだよ」

「ありがとう。分かってくれて本当にありがとう!」


は迷わず、ハリーの右頬に感謝の気持ちを込めて軽くキスした。

ハリーはとりあえず、彼女が新しい第一歩を踏み出し、これまでの失った時間を取り返すことに

今までの胸のつかえが降りたことを感じていた。



「それで・・ようやく真実を話したのか?」

「これがの為の最善の方法だよ」

「あなたならそう決断すると思った。それで、あなたやはこれからどうするつもりなの?」

はルーピンとフェリシティーさんと三人で暮らすんだってさ。」

ロンは意外な成り行きにヒューと口笛を吹いた。ハーマイオニーは当然のことだと思ったが。

が伯母やルーピンともにホグワーツを去った後、三人は湖の土手の上で話しこんでいたのだ。

「僕は学校が再会されても戻らない。ダーズリーのとこへ一度帰って、ゴドリックの谷に向かうんだ。両親の墓に挨拶したい。

 それから残りの分霊箱を探す」

ハリーは決然とした顔で告げた。

「僕達、一緒に行くよ、ハリー」

ロンが即座に言った。

「え?」

「君の叔父さんと叔母さんの家にね」

「それから君と一緒にどこへでもついていく」

「だめだ―これは僕一人の仕事だ。危険な目に――」

ハリーは即座に反対した。

との傷心後、彼は心の底にさらに穴が開いたように感じ、なおさら一人で旅に出かけたかったのだ。


「私達がそうしたいなら、引き返す機会はあるって前に言ったわね?その機会は幾つもあったわ。だけど

 ここまできて私達はその機会を放り投げて、あなたに付くことを誓ったわ」

ハーマイオニーが静かに言った。

「そうだ。何があろうと置き去りにするなよ」

ロンも力説した。

もきっと同じことを言うだろうな」

ハリーは苦笑して、二人のがんとした勇気に賞賛を送った。

「おいおい・・その前にルーピンと忙しいんじゃないのか?は無理だろう?」

ロンがあきれ返ったように言った。

「どうして?」

ハリーはぽかんとしていた。

「婚約か、はたまた結婚でもしたら、これまでのように自由に行動できなくなるでしょ」

ハーマイオニーはたしなめた。

「あ・・そうか」

彼は恥ずかしそうに頭をかきながら呟いた。

婚約や結婚なんて、あたりまえのことがまだ存在してるなんて信じられなかった。

傷心のショックが大きく、見えていなかったのだ。


「それにゴドリック云々の前に、まず、ビルとフラーの結婚式に来いよ。そうすりゃまたに会えるだろ。」

「ああ・・そりゃ見逃せないな」


ロンの素晴らしい提案に、ハリーは無理に笑顔を作って言った。






「いろいろと回り道したけど・・いよいよだね」

帰宅の路の真紅のスポーツカーで、ルーピンはに寄りかかりながら呟いた。

「一緒に暮らすなんて何か変な感じ」

「どんな風に見えると思う?」

は彼の顔を覗き込んで、嬉しそうに言った。

「きっと全てが上手く行くよ。怖い姑もいるしね」

ルーピンはにっこりと微笑んで、洒落たジョークを飛ばした。

「こらっ、リーマス、余計なことを言うものじゃないわ」

運転席からフェリシティーが怒った。

「まったく・・そのプレゼントは誰からのでしょうね?」

彼女はぶつくさと言ったが、目は暖かそうに笑っていた。

「分かってる。親愛なる伯母様からですよね?」

二人は後部座席からシンプルなカップルリングを掲げて見せた。

それは、帰途途中にフェリシティーが、姪の幸せを願って、ロンドンの「ハロッズ」で買い求めたものだった。


偉大なるダンブルドアは逝き、一つの時代は終わったが、それは残された彼らの新しい旅立ちの始まりでもあった。




 

 

 

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