ハリー、ジョージはマグゴナガル先生の部屋で、厳しいお叱りを受けていた。

マダム・フーチに引っ立てられてこの部屋に入ったとき、教授の顔は真っ青でとても腹を立てていた。





「あんな恥さらしな行為は、言語道断です!一人に二人がかりで!!いったいどのように申し開きできますか!?」

マグゴナガルは怒りのあまり、机を拳でドン!と叩いた。

「あいつがーーーーマルフォイが挑発したんです!!」

ハリーが突っ張った。

「挑発した?」

マグゴナガルの顎がひくひくと震えた。

「ええ、挑発したかったでしょうよ!あの子は負けたばかりだったんですから。違いますか?しかし、いったい何を

 言ったというんです?二人がかりを正当化するようなーーーー」


「彼らの両親を侮辱したんです!」

その時、扉がバーンと開き、ハァハァと息を弾ませながら誰あろうー が立っていた。

?何故、ここに来たのです?あなたには関係ありません。さ、寮にお戻りなさい。」

マグゴナガルは怒りを一瞬忘れ、ちょっと驚いたようだったが声をやわらげて彼女の肩に手をかけようとした。

「いいえ!戻りません!」

彼女は肩にかけられた手を跳ね除け、キッとマグゴナガルを見つめた。

「スリザリンの連中はーー私、実況席からずっと見てたんですが、試合開始からグリフィンドールの選手に様々な嫌がらせを

 してたんです!酷い歌を合唱してーーウィーズリー家の人たちを侮辱しました。お聞きになりませんでしたか?

 あれだけ、実況の声が聞こえにくくなるぐらい彼らは大声で歌ってたんですよ。それだけでも私は罰せられるべきだと

 思いますけど!」

彼女は腰に手を当てて、マグゴナガルを睨みつけた。


これは痛かったーーーマグゴナガルは思わぬ盲点を突かれて、一瞬黙り込んだ。が、すぐに体制を立て直すとーーマグゴナガルは 、ジョージ、ハリーに

を順々に見下ろすと機関銃のごとく、いっせいにまくしたてた。


。たとえ事前にそのようなことがあっても、先ほどの行為を正当化することは出来ません。この二人はフーチ先生に仕切っていただかずに、二人がかりで

 一人の生徒に暴行しました。どのような理由があろうとこのような卑怯なあさましい行為はーーーー!」

「エヘン、エヘン!」

部屋にいた全員がサッと後を振り返った。

ドローレス・アンブリッジが戸口に立っていた。

「マグゴナガル教授、お手伝いしてよろしいですか??」

アンブリッジが毒を含んだ甘い、甘い声で言った。

「手伝いを?」

「どういう意味です?」

マグゴナガルは不可解な顔で聞き返した。

「あらまあ、先生にもう少し、権威をつけて差し上げたら、お喜びになるとお思いましたのよ。」

アンブリッジはホホホーーと妙に気取った笑い方をした。

「何か誤解なさってるようですわ」

マグゴナガルはアンブリッジに背を向けた。

「さあ、二人ともよくお聞きなさい。マルフォイがどんなに挑発しようと、また、あなたがたの家族全員を侮辱しようと関係ありません。

 二人の行動は言語道断です。それぞれ一週間の罰則を与えます。ポッター。そんな目で見てもダメですよ!あなたは

 それに値することをしたのですから。 。そんな悲しい顔をするんじゃありません。さ、今度こそ寮に

 お帰り・・・」


「エヘン、エヘン!」

きまり悪い咳払いが部屋に響いた。


「何か?御用ですか?」


マグゴナガルは努めて怒りを抑えて、聞き返した。


「私、この二人は罰則以上に値すると思いますの。」

アンブリッジの胸糞悪い笑みが顔全体に広がった。

「残念ですがーー」

マグゴナガルが相当苦しい笑顔で言った。

「この二人は私の寮生でございます。ですから、ドローレス、私がどう思うかが重要なのです」

「さて、さて、ミネルバ」

アンブリッジがニタニタ笑った。

マグゴナガルは明らかに危険を察知したのか、 の肩をグイと掴むと問答無用で扉の前まで引っ張って言った。

「これ以上、関係ないあなたがここにいては面倒です。分かりますね?あの先生が来たからには

 何も関係ないあなたまで何や、かんやと理由をつけられ巻き添えを食らうことになります。さ、寮に帰るんです。今すぐに!!」


マグゴナガルはアンブリッジに背を向け、彼女の耳元ではっきりと(アンブリッジには聞こえないぐらいの声で)警告した。



「ところで、彼女は何故、この部屋に居ましたの?」


ほうらーー思ったとおりだ! ががっくりと肩を落とし、この部屋を出て行った後、すぐにアンブリッジは何事も見逃さない目で聞いてきた。


マグゴナガル、ジョージ、ハリーは一斉に表情が凍りついた。

「彼女は私に用があって、たまたまこの部屋に居合わせただけです。用が済んだので今、帰しましたの。」

マグゴナガルは素早く落ち着き払って、答えた。

「あら、まあ、そうでしたの。私はーー彼女がまた何かトラブルをねーー起こしたと思いましてねーー」

アンブリッジはチッと舌打ちし、美味しそうな獲物を取り逃したがまがえるそっくりの表情をした。

ハリー、ジョージは「危なかった」と自分の危険な状況をそっちのけで、安堵の息をもらした。







「禁止!?」

夜遅い談話室で、グリフィンドールの面々は膝を突き合わせて暖炉の周りに集まっていた。

アンジェリーナが悲鳴に近い声を上げた。

「禁止。シーカーもビーターもいないーーどうすればーーー」


「あの婆のせいなのね?」

が怒りを押し殺した声で聞いた。

「ああ、僕と、ジョージ、それに関係ないフレッドまでクィディッチ終身禁止になった。」

「教育令第二十五号とかなんとかさ。高等尋問官は生徒の特権を剥奪する権利をお持ちなんだとよ。」

彼女の隣に力なく座っていたハリー、ジョージがむっつりとこれ以上ない、不機嫌な顔で説明してくれた。


「絶対、不公平よ!」

アリシアが抗議の声を上げた。

「クラッブは?ブラッジャーを試合終了後にぶち込んだわよね?アンブリッジはあいつを禁止にしたの?」


「ううん」

ジニーが情けなさそうに言った。

「書き取りの罰則だけよ。マルフォイがそのことを夕食のとき、笑ってたわ。」


「私、寝るわ。もう死にたい。ほんとに死にたいわ。全部悪い夢だったらいいのに!!」

アンジェリーナは絶望のあまり、髪をかきむしり寮の階段を駆け上っていった。

アリシア、ケィティがその後に続き、フレッド、ジョージ、ジニーがしんがりで談話室から姿を消した。


ハリー、 、ハーマイオニーだけが談話室に取り残された。


「何であの時、僕たちのとこに来たんだ?」


だいぶん怒りが収まってから、ハリーが聞いた。


「え、だって、心配だったからーー。」


は決まり悪そうに答えた。


「そうか。君はーー余計なことに首を突っ込むんだな。」

ハリーは何かしら今度は別の怒りが湧き上がってきた。

「あんな惨めな姿、見てもらいたくなかったよ。おまけに君があの部屋を出て行った後、アンブリッジが何て言ったと思う?

 彼女は何でこの部屋にいたのか?何かトラブルを起こしたのかだって。僕やジョージ、マグゴナガルの顔がどれだけ

 凍りついたか分かるか?マグゴナガルが一応、その場を取り繕ったから良かったものの。

 これは僕たちとマルフォイの問題だ。君には関係ない。口を突っ込まないでもらいたかったよ。かえって迷惑だ。」

彼はこれまでにない、きつい口調で彼女に突っかかった。

「ハリー、言い過ぎよ!謝りなさいよ。 はわざわざ心配してーー」

ハーマイオニーが怒って食ってかかった。

「いいのよ。でしゃばった私が全部悪いんだから。余計に状況を悪くしたんだものね。ほんとにゴメンなさい。

 ロンを探してくるわ。この寒さなのに外にいたら死んじゃうもの。」


は目に涙を浮かべ、スッと彼に向かって頭を下げると、足早に談話室から姿を消してしまった。


「あなたが理不尽なことでイライラしてるのは分かるわ。だからといって にあたるのはよくないわ!彼女、あなたのことあんなに心配してくれたのに!」

彼女が出て行って数分の沈黙の後、ハーマイオニーは静かにハリーに向かって言った。

「分かってる、分かってるよ。だけど、なぜか腹が立ったんだ。チクショウ!今日は僕、どうかしてるよ。

 あんな酷い事を言ってしまうなんて!!」

ハリーはイライラが募って、拳でテーブルをドン!と叩くと、ドサッと肘掛け椅子に座り込んだ。




は泣きながらあてどもなく、廊下をとぼとぼと歩いていた。

(彼はーーよっぽど打ちのめされているのだ・・・私が良かれと思ってやったことは彼にーー新たな悩みの種を与えただけだったんだわ。そうよね。あんな状況じゃ誰でも

友達に惨めな姿を見られたくないわよね)

(ああ、気の毒なハリー、ジョージ、フレッド。終身クィディッチ禁止だなんてーーーどうしたらいいの??これからの実況では彼らの名前をよぶことさえ出来ないのよ!!ああ、あの

 忌々しいガマガエルさえ、いなけりゃーー)

は悔しくて、悔しくて、地団駄を踏んだ。


彼女はいつの間にか、誰もいない中庭の暗い隅へと出ていた。



「ルーピン先生!!戻ってきてよ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!今、この学校に必要なのは

 先生なんだから〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」


はその場にうずくまり、大声で夜空の星に向かって空しく叫んだ。


(誰かに聞かれたってかまうもんか!どうせ先生はこの学校に戻れないんだから)


彼女は半ばヤケクソになって考えた。


そうしてうずくまり、両腕を抱き寄せその中に頭を突っ込んでいるとーーー

「やあーーー」

後から腕が伸びてきて彼女の肩に力なく置かれた。

「ロン?」

聞き覚えのある声に驚いて振り返ると、クィディッチのユニフォームを着たままの彼が照れくさそうに立っていた。

「ど、今までどこにいたのよ!」

は目にいっぱい涙を浮かべて、彼の両腕を掴んだ。

「あ・・・うん・・・ちょっと歩いてた。」

彼は鼻の頭をポリポリと掻きながら言った。

「今までずっと!?こんな寒い中を??」

はかん高い声で叫んだ。

「うん・・皆に会わせる顔がなくてさ」

彼は静かに彼女が掴んでいた両腕を振りほどくと、言った。

「でも、もう戻らなきゃ。戻ってくれるわよね?ハーマイオニー、ハリーがどんなに心配してるか!」

は早口でまくしたてた。

「ああ、ちゃんと戻るよ。ところで、 は何でこんなとこで一人でいるんだい?ハーマイオニー達と一緒にいるんじゃ・・・」

「ああぁ・・・ロン!」

彼女はがっくりとその場にくずおれた。

「もう嫌!嫌なの!こんなの!全部アイツのせいで何もかも駄目になっていくわ!友達も、家族も、先生もーーそれからきっとDAもそうだわ!
 
 アイツに潰されてしまうんだわ!!嫌よこんなの!そのうち私まで何やかんやと理由をつけられて実況を辞めさせるわ!

 それぐらいーアイツには朝飯前よ!!」

「何言ってるんだ?アイツって?まさかーーあの女がハリーや兄貴達に何かしたのか??」

言葉の途中でハッとしたロンは、彼女の肩を揺さぶって、詰問した。

「ええ、そうよ、そう、あの女がーー高等尋問官何とか令を行使して、彼らの特権を取り上げたの。暴力的な兆候が見られるから、クィディッチ終身禁止ですって!!マグゴナガルに  呼  ばれて

 彼らがお叱りを受けているときにねーーあの女が現れてーーそう言ったの。私はあの時の状況を説明しようとマグゴナガルのとこへ

 行ったんだけど・・・」



そこまでまくしたてた後、 は恥も外聞もかなぐり捨てて、わあっと泣き崩れた。

・・・なんて事なんだ・・・」

目の前で突然泣き出した彼女に、そしてその予想もかけなかった事態に、ロンはおろおろとうろたえた。

(どうしたらいいのかわからない・・・・!泣きたいのはこの僕のほうなのに!!)

彼は心の中で悔し涙を流していた。


・・・」

しばらくして、ロンはそっと後から腕を伸ばして、彼女の首に両腕を巻きつけた。

「泣くなよ・・・君が泣くと僕まで泣きたくなるじゃないか。君は今、気持ちが動転してるんだ。

 落ち着け。落ち着けよ。そう悪いことばかりじゃない。DAがーあいつに反抗してるんだ。それにあの婆に誰かが密告しないかぎりDAはばれない。

 あの婆の専制体制も長くは続かないよ。それからーーどんな理由をつけたって君を実況の座から

 あいつはひきずりおろせない。」


ロンは彼女の長い、黒い髪に顔を埋め、一言、一言くぎるように言った。


「グスッ・・」


「ロン、泣いてるの?」


彼女は、彼女にもたれかかっている赤毛から鼻をすするような音が聞こえてきたので、いぶかしんで聞いた。


「馬鹿言うなよ。泣いてなんかいるもんか。」

ロンはぶっきらぼうに言うと、プイと横を向いてしまった。



は首に巻きつけられた両腕が心なしか、強く締められたような気がした。

「何の役にも立てなかったんだぜ・・・・こんなうどの大木いるかよ?」

彼は彼女に巻きつけた腕の力を少し緩めると、ぼそりと呟いた。


「もう少し、こうしていたい」

ロンは弱弱しく呟いた。

「え・・・」(何やってんのよ!) は顔がほてってくるのを感じた。彼の体温が指すような夜気を溶かしていく。

「もう少し、もう少し・・」

彼はぼそぼそと囁くと、彼女の肩に顔をうずめた。


「ロン・・・ちょっと・・・」

あまりにも落ち込んでいる彼に嫌だとは言えずに、彼女は黙って心ゆくまで彼に肩を貸してやった。




数十分後ーー


髪にいくらかの残雪をくっつけて帰ってきた二人はーーハーマイオニー、ハリーの「どこへ行ってたんだよ!(のよ)遅いじゃない(か)!」

の声で迎えられた。


。ゴメン。君にイライラしてつい八つ当たりしてしまって・・・」

開口一番、凍えて帰ってきた彼女にハリーは暖炉の中央の椅子に案内しながら言った。

「ロン、ここに座って。」


ハーマイオニーがもう一つ、椅子をひきずって暖炉の中央に据えて言った。

「いいよ。そのことは謝らなくていいから。」

はにっこりと微笑んで彼に言った。

「ゴメンな。僕、何の役にも立たなかった」

二人のやりとりを聞いていたロンが、むっくりと椅子から立ち上がって、心底申し訳なさそうに頭を下げた。

「やめろよ。君が悪いんじゃない。頭を上げろよ」

ハリーは慌てて言い、ロンの肩を掴んで頭を上げさせようとした。

「僕、どうすればいいんだ?もう辞めたいとこだけどーー君と兄貴達は、クィディッチ終身禁止になるしーーーあ、 から聞いたよ。

 ああーーどうしたらいいんだ!」

彼はがっくりと床にひざをつき、叫んだ、


「皆ー僕のせいだ!」


ロンは苦しそうにうめいた。


「僕が試合でーーあんなにひどくなければーー」

「それとは何の関係もないよーー」

「あの歌で上がってしまってーー」

「あの歌じゃ誰だってあがるさ!」

ハリー、ロンの押し問答はしばらく続いた。

「おい、いいかげんにやめてくれよ!!」

ハリーが数分後、ついに爆発した。

「もう十分に悪いことづくめなんだ!自分を責めるのはよせよ!収拾がつかなくなるじゃないか!!」


「最悪だわ・・・」

はがっくりと額に手をやり、うなだれ、ソファに深くもたれこんだ。


「ねえーーーあなた達、見てよ!ハグリッドがーー帰ってきたわ!!」

その時、一人争いの輪から離れて、粉雪のちらつく窓ををさっきから見やっていた、ハーマイオニーが歓声を上げた。














 
















 

Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!