「押さないで!一年生が先頭です・・」

「ついておいでなさい」

10月30日、通常より、授業は三十分早く終了し全校生徒は玄関ホールに集合した。

各寮の寮監が生徒達を整列させた。

「ミス、ミス・パチル!髪についている馬鹿げた飾りを取りなさい!」

「ロナルド、ロン・ウィ―ズリ―、帽子が曲がっていますよ!」

マグゴナガルは生徒達の服装に気を使い、注意を飛ばしていた。



「寒い、寒いよ〜〜」

がマントを体にしっかりと巻きつけながらうめいた。

「今6時だ」

ロンが時計を見た。

「何で来ると思う?箒かな?」

ハリーが夕闇を眺めながら言った。

「違うわね・・遠くから来るんだから馬車でしょう。」

ハーマイオニ―だ。

「そう、何で来てもいいから早く来て!凍えそうだわ〜」

が歯をがちがち言わせた。




「ホッホー!諸君、ボンバートン、ダームストラングの一団が近づいてくるぞい!」

ダンブルドアの声が先生方のいる最前列から聞こえてきた。

上空から、巨大なネイビーブルーの馬車が何頭もの馬に引かれてこちらに飛んできた。

いっぽう、同時に湖からはゴボゴボゴボ、ザー――ッ、ザーッという音と共に湖の中心が渦巻き、中から巨大な帆船が現れた。



馬車はドー――ンと言う音を立てて、地上に着陸し、帆船は錨を浅瀬に下ろし、岸辺にタラップをドスッと置いた。



「お二方、ようこそ、ホグワーツへ」


ダンブルドアが馬車と船から降り立った、ボーバートン、ダームストラングの校長に挨拶した。

「ダンブリ―・ドー―ル、おかわりーありませーんか?」ボーバートンの校長、マダ―ム・マクシームだ。

「おかげさまで上々じゃ」

「これはこれはダンブルドア、しばらくだ。元気かね」続いて、ダームストラングの校長、イゴール・カルカロフが朗らかに挨拶をした。

「元気一杯じゃよ、カルカロフ校長」
















「見たかい?まさか、まさかとは思ってたんだけどさぁ・・・ダームストラングの生徒の中に、ビクトール、

 あのビクトール・クラムがいたんだぜ!ああ、羽ペン、羽ペンないかなぁ・・」


ボーバートン、ダームストラング生と共に、大広間へ向かう途中、ロンやリー・ジョーダンはダームストラング生の中にいた

クラムを見つけて、サインをもらおうとはしゃいでいた。


「ねえ、羽ペンないかしら―――ない!?あー、せっかくクラムが来てるのにぃ〜〜〜〜」


「ね、ね、あの人、クラム、私の帽子に口紅でサインしてくれないかしら?」


その横では、何人かの6年生の女子がキャアキャア言いながら、夢中でポケットを探っていた。


「まったく、もう」

ハーマイオニ―と が六年生の女子を追い越しながら、溜息をついた。


「ハリー、ハリー、羽ペン持ってないか?」

「ない、寮に置いてきた。」

ロンの熱狂振りはとどまることを知らなかった。

彼は、大広間に到着するとダームストラング生がどこに座ろうとしているのか、キョロキョロ目を動かしていた。

ボーバートン生はすでにレイブンクロー席に納まっていた。

皆、顔にスカーフやショールを巻きつけている。


「ハーマイオニ―、 、そこ、席開けて〜あーあ、遅かったか〜〜〜〜〜〜」

ロンが悔しそうに言った。


ダームストラング生はスリザリンのテーブルについていた。




「こんばんは、諸君、そして、客人の皆様、ホグワーツへのおいでを心から歓迎いたしますぞ。本校での滞在が、

 快適で楽しいものになることを、ワシは希望し、また、確信しておる」

ダンブルドアが全生徒が大広間に集まるのを確認して、歓迎の言葉を述べた。


「三校対抗試合はこの宴が終わると、正式に開始される!それでは、多いに飲み、食い、くつろいで下され!!」

テーブルの目の前の皿にいつものように、ご馳走が出現した。

しかも今回は幾つか、外国料理と分かるものも出された。



「ブイヤベースよ!」

とハーマイオニ―の二人が大喜びで、貝類のシチューをたっぷりと皿に装っていた。

「ああ、あそこにユグノー風タルトがある!久しぶりだわ。これにお目にかかるのは」

が舌なめずりして、ナッツと砂糖漬けの果物の上に、泡立てた生クリームを、たっぷりとかけてあるデザートに手を伸ばした。

彼女達はロンとハリーに、ブイヤベース、ユグノー風タルト、ラタトウィユ、若鶏のブレッドソースなどのフランス料理を

是非是非、食べるようにと勧めた。

ハリーはダーズリ―家で何度も飢え死にしそうになった苦い経験のせいか、女の子達二人から勧められる物をどんどん食べていた。

ロンはブイヤベース以外は少しずつ皿に盛って食べたものの、やはり普段食べなれている料理の方がいいのか、ステーキアンドキドニー・パイや

ブラック・プディング(豚の血で作られたソーセージ)を沢山食べていた。


四人があれやこれやと料理をつまんでいる時、レイブンクロー席からボーバートンの女子学生が近づいてきて、四人に声をかけた。

「あのーーー、ブイヤベース食べな―いのですか?」

その女子学生はシルバー・ブロンドの髪を腰まで垂らし、大きなディープブルーの瞳、真っ白の綺麗な歯並びをしていた。

途端にロンがポカンと口を開けて、まっかっかになった。どうやら彼好みの美少女だったらしい。

「どうぞ」

ハリーがブイヤベースの皿を美少女の方へ押しやった。

「もう食べ終わりまーーしたでーすか?」

美少女がロンに聞いた。

「ええ・・お、お、美味しかった・・です。」

ロンが窒息しそうな声で答えた。

「メルシィ(ありがとう)」

美少女は少し微笑み、ハリーからブイヤベースの皿を受け取りフランス語で礼を言うと、すたすたとレイブンクロー席に戻っていった。


ロンは穴の開くほど、まだ美少女を見つめつづけていた。

ハリーと はその様子がおかしくて、おかしくてクスクスと忍び笑いをしてしまった。

(ハーマイオニ―はむっつりと押し黙っていたが)

「あ、あ、あ、あん人、あん人、ヴイ―ラだ!」

ロンは二人の笑い声でハッと我に返り、擦れた声でハリーに言った。

「いいえ、違います!!」

むっつりとしていたハーマイオニ―が突っ込んだ。

「あなたみたいに間抜顔でポカンと口を開けて、見とれている人は他には誰もいません!」

しかし、 とハリーは見たのだ。

ヴィーラ美少女が大広間を横切る間、沢山の男子生徒が振り向いたし、何人かは恍惚状態と化していた。

「あれは、あれは普通の女の子じゃない!!」

ロンは体を横倒しにして、レイブンクロー席を覗き込んだ。

「ホグワーツにあんな女の子はいないよ!!」

彼は力説した。

「ホグワーツでもちゃんとした女の子はいるよ!」

ハリーは反射的にロンに切り返した。

ロン、ハーマイオニ―の隣りに が座っていた。

彼は年齢を重ねると共に、ますます綺麗になっていく彼女をぼーーっと見つめた。


その後、金の皿がピカピカになり、全校生徒の胃袋が幸福で満たされた時、ダンブルドアが立ち上がり、トライ・ウィザード・トーナメントの

細細とした説明をし始めた。


校長はトライ・ウィザード・トーナメントの審査員の紹介、試合形式、および、ルールについて延々としゃべった。


「さて、最後に代表選手を選出する、公正なる選者、炎のゴブレットの登場じゃ。ミスター・フィルチ

 箱をここに」

すると校長の前に管理人が、やたら宝石の付いた箱を持ってきた。


校長は杖で軽く箱をたたいた。蓋がゆっくりと開き、中から大きな純金のゴブレット(外側には親指の爪ほどもあるルビーが

はめ込まれていた)が現れた。


彼はゴブレットを取り出し、箱の上に置き全校生徒がよく見えるようにした。


ゴブレットの縁からはボオッと青白い炎が踊り出た。


「代表選手に名乗りを上げたい者は、羊皮紙に名前と所属校名をはっきりと書き、このゴブレットの中に入れねばならぬ!!

 立候補の志のある者は、これから二十四時間以内にその名を提出するよう。明日、ハロウィーンの夜にゴブレットは

 、各校を代表するのに最もふさわしいと判断した三人の名前を読み上げるであろう。」


「ただし、年齢に満たない生徒がゴブレットに名前を入れることのないよう、その周囲にワシが年齢線を

 引くことにする。十七歳に満たない者は、何人もその線を越えることは出来ぬ!!

 最後に軽軽しく名乗りを上げぬことじゃ。炎のゴブレットがいったん代表選手と選んだ者は、最後まで試合を勝ち抜く

 義務がある。なお、ゴブレットは玄関ホールに設置しておく。よいな。」


ダンブルドアはそこまで述べると、最後にお休みの挨拶をし、大広間から煙と共に消えた。


「年齢線か!でも老け薬でごまかしてみせるぜ」

ハリー、 、ロン、ハーマイオニ―の脇をいそいそと通り抜けながらフレッド&ジョージが意気揚揚と言った。


「あの二人、まだ言ってるわ。上手くいきっこないのにぃ」

ハーマイオニ―が に言った。

「そうよね・・あの二人を応援してあげたいんだけど・・ダンブルドアはそんなに甘くないと思うわ」

と残念そうに が言った。

「なあ、クラムはどこに泊まるんだろう・・・」

ロンがハリーに興奮して聞いた。

「さあ、船に戻るんじゃないの」

ハリーは人込みをかきわけて、自分達の方に近づいてくるダームストラング生を見つけて言った。

「ビクトール、気分はどうだ。風邪はこじらしてはならんよ。厨房からワインでも持ってこさせようか?え?」

イゴール・カルカロフ校長が、クラムを毛皮のコートで包みながら心配そうに尋ねていた。

クラムは黙って横に首を振った。

ロンは背伸びして、クラムを見ようとしていた。

ちょうど四人とダームストラング生、カルカロフ校長が同時に大広間のドアのとこに着いた。

四人は道を開け、「お先にどうぞ」とダームストラング生、カルカロフ校長に言った。

「Thanks」

カルカロフが礼をいい、たまたまハリーとその横に並んでいた に目がいった。

とたんに校長は二人を見て、凍りついた。

彼は とハリーをまじまじと見つめた。

校長の後ろのダームストラング生もガヤガヤと騒ぎ出し、二人を見た。

ダームストラング生の何人かはハリーの額をおおっぴらに指差したり、また何人かは を見てぽーーっとのぼせていた。

「早く退け、後ろがつまっているぞ!」

その声でハーマイオニ―、ロンは二人の手を掴み、大広間の外へと連れ出した。





「たくっ、私達を何だと思ってるのかしら?動物園みたいにじろじろと眺めたりして!

 気分悪いったらありゃしない!」


グリフィンドール寮は向かう階段の途中、注目されるのが大嫌いな がプンプン怒って言った。

ハリーも何だか不愉快な思いをしたらしく、むっつりと押し黙っていた。

「しっかし、ダームストラング生の を見たときの顔を見たか?皆ぼーーっとのぼせちゃってさ」

ロンが面白そうに言った。

「ええ、どっかの誰かさんがヴィーラを見たときのようにね・・」

ハーマイオニ―がからかった。


翌日の土曜日――――――――

「やったぜ、老け薬を飲んできたんだ!!」

三人が玄関ホールに向かう途中、後ろから、双子につつかれた。

「ほんとうに?じゃあ、やるのね?」

が期待と不安に胸を躍らせて聞いた。

「ああ、姫。んじゃ行ってくるよ。賞金1千ガリオンが当たったら、姫と俺らで山分けだ。」

双子は嬉しそうにいうと、交互に の髪にキスしていき、ゴブレットの方へ向かった。




数分後、「わあっ!」ドー―ン!!


「言ったはずじゃ」

フレッドとジョージはゴブレットの前に設置された年齢線に見事にはじき返されていた。

側にはダンブルドア校長と他の名前を入れに来た生徒達がいて、皆大爆笑していた。

「あっはっはっは〜〜〜」

双子はお互いの顔を見て、笑い転げた。

何と二人の顔には年齢線を不正に越えた罰として、立派な長い白髭が生えていた。


「二人共医務室に行くがよい」

ダンブルドアがホッホッホッと笑いながら、二人に命じた。

周囲の大爆笑の中、双子はにやにやと笑って、医務室に向かった。


「ほら御覧なさい。校長を欺くことなんて出来ないのよ!」

一部始終を目撃したハーマイオニ―が に得意そうに言った。



それから各寮では誰が、ゴブレットに名前を入れたかの話題で持ちきりだった。

「ハッフルパフではディゴリ―がゴブレットに名前を入れたってさぁ」

シェーマスがロンに苦々しく言った。

「グリフィンドールは?誰が名前を入れたの?」

ハーマイオニ―がディーンに聞いた。

「アンジェリーナ、先週で17歳になったんだってさ」

「うわあ、私グリフィンドールから立候補してくれて嬉しいわ。」

ハーマイオニ―が言った。

「ああ、かわいこちゃんのディゴリ―より彼女のほうがいいや、なぁ、 。」


ロンが言った。


「そ、そうね・・」

彼女はあいまいに返事をした。

実を言うと、彼女は素朴で優しい人間が多いハッフルパフ寮をグリフィンドール寮と同じぐらい好きだった。

彼らはいつもグリフィンドール、スリザリンの影に隠れ、華やかな大舞台に立つことが少ないので。今回、寮から立候補者

が出たことに関して は拍手を送りたい気分だったのだ。











 



 

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