どうすればいいんだ!?


は完全に服従の呪文に支配されている。

「クルーシオ!!」

は杖を上げ、何と信じられないことにあの禁じられた呪文の一つをやすやすと、ハリーが無防備なうちに

かけた。

激しい痛みが再び、彼を襲い、鋭利なナイフが全身を切り刻んだ。

頭の中が真っ白になり、彼は悶え苦しみこれまでにない悲鳴を上げ続けた。




「どう?苦しい?もう止めて欲しい?」

彼女は冷たいかん高い笑いを上げ、面白そうに地面をのた打ち回る彼を見ている。

・・・止めるんだ。こんなの君じゃない」

彼は擦れた息で呟いた。

「そうね・・ほんの一休みしましょうか。ハリー、痛かったでしょう。もう二度として欲しくないでしょう?」

彼女はさっと杖を下げ、つかつかと激しい痙攣で地面を転がっている彼の元へ歩み寄った。

は倒れている彼の上半身を起こすと、両腕をさっと彼の首に回して抱きしめた。

「古代の拷問方法ってすごく刺激的。」

彼女は甘く、彼の耳元で囁いた。

「止めろ・・・正気に戻るんだ」

彼は苦しい息の下から言った。

「正気に?正気じゃないのはハリーの方じゃないの?ほら、そんなに目が虚ろになって・・・」

はくすっと笑い、彼のほおに手をかけた。

「私を見て」

彼女は潤んだ瞳で彼を見つめた。

「そんな悲しそうな顔をしないで・・」

ははらはらとどうすることも出来ずに、涙をこぼしている彼に言った。

「残念ね。せっかくいい友達になれたのに」

彼女は彼の髪をい愛しそうに撫でながら言った。

「でも、ご主人様がどうしても始末するようにとおっしゃるの、ああ、とても残念だわ」

「んっ!」

ハリーの目が二倍に見開かれた。

先ほどまでもうろうとしていた意識は吹っ飛んだ。

彼の口は彼女の口で塞がれていた。

「ん、ん〜」

周囲ではデス・イーター達が冷やかし笑いをしたり、ピイピイ口笛を吹いたりしている。

彼女がそっと唇を離した。


甘く、長い、長い、ディープ・キスだった。

「さようなら、ハリーあなたほど最高の人はいなかったわ。」

「うわあああああああああああっ!!」

はにやりと笑うと、素早く彼の首に2本の牙を突き立てた。

「ああ、美味しかったわ。ご馳走様。」

彼女は満足そうに微笑むと、血の滴る口元をぺろりと舐めた。


デス・イーター達がいっせいに大笑いした。

「デス・イーター達よ!見たか?なかなか面白い余興であったろう。娘よ、よくやった。ルシウス、下がらせろ。

 最後は俺様が綺麗に締めくくってやろう!」

がすっと身を引き、ルシウス・マルフォイの元に嬉しそうに駆けていくとヴォルデモ―トは残酷な喜びに体を震わせ、

ハリーの元へと歩み寄った。

「小僧、どうだ?恋人に痛めつけられる気分は?天国のようであったろう?」

彼はにやりといやらしく笑った。

「さて、ハリー先ほどの呪文をもう一度味わいたいか?」


ハリーは答えなかった。僕はセドリックと同じように死ぬのか・・・。僕は死ぬんだ。しかも を救うこともできずに・・。

しかし、弄ばれてやるものか・・命乞いなどしない。

ああ、だけど、僕が死んだら彼女はどうなる?服従の呪文を打ち破ることが出来ず、ルシウス・マルフォイの命令に従い、

支配されるのか?それとも僕と同じように用無しとして殺されるのか?嫌だ、そんなの絶対に嫌だ!死んでなるものか!絶対に!

彼女を闇の陣営に引き渡してなるものか!!

「もう一度やって欲しいかどうかと聞いてるのだが?」

ヴォルデモートが静かに言った。

「答えろ!!インペリオ!!」

ヴォルデモートが杖を振り上げた。

「いやだと答えればいいのだ・・彼女にかけられた服従の呪文を解き、お前の元に返してやろう・・・さあ、嫌だと言え

 ・・嫌だ言いさえすればいいのだ・・・。」

(そうだ・・ここで嫌だと言えば、全てが丸く収まるんだ。もう嫌だ・・こんなところ・・割れるような頭と全身の痛み・・

 言おう・・言ってしまおう・・そして全てを終わらせよう)

ハリーの脳はすべての思考を停止させ、夢見ごごちの幸せな状態へと化した。


「さあ、言え・・彼女が待っているぞ」

ヴォルデモートが囁くように言った。

「さあ」

「言わないぞ」

「何を言う。彼女がどうなってもいいのか」

「答えるものか」

「言わない。言わないぞ」

「早く言え!!」

「言わないぞ!!」

突然の大声にハリーは完全に夢想から覚めた。


「い、言わないだと?この愚か者めが!よろしい、お前にもう一度痛い薬をやろう!」

ヴォルデモートが杖を上げた。

「そうはいかないわよ!!」

「何ぃ?」

「エクスペリアームズ!!」

ルシウス・マルフォイの隣りにいた は杖を振り上げ、大声で叫んだ。

見事な音がして、ヴォルデモートの体が宙に吹っ飛んだ。

「逃げて!!」

は大声で恐々とこちらの様子を伺っているハリーに叫んだ。

「小娘が!」

ルシウス・マルフォイが彼女に掴みかかった。

「燃えよ!!」

はその前に杖を振り上げ、彼の前に黒い炎を放った。

「くそっ、待て!」

彼女は一瞬の隙をついて、辺りに引き続き黒い炎を素早く放ち、デス・イーターの輪を崩してハリーの元へ駆け寄った。


「大丈夫?ああ、こんなに血を流して・・・」 が申し訳なさそうに言った。

!?よかった!君、正気に戻ったんだね!!」ハリーの顔が喜びに輝いた。

バリバリバリッ!!

「キャアッ!」

二人がとっさに隠れた大きな墓石の上部が割れた。

「小娘め!!ようもやりおったな!覚悟は出来ているのだろうな!」

ヴォルデモートの怒り狂った声がだんだんと近づいてきた。

「出て来い!かくれんぼじゃないんだぞ!俺様から逃れられるものか。二人共、俺様に従わぬのだな?

 ならば死あるのみ。出て来い!ハリー、 遊ぼうじゃないか。あっという間だ。楽にしてやる」






「どうせ死ぬのなら、派手にやりあって死にたいわね」

は不敵な笑みを浮かべた。

「そうだね、やろうか・・いっせいにやろう。どんな呪文でもいい。

 あいつにとことん逆らって派手に死のう」


彼も笑った。


二人は杖をしっかりと握り締めた。

ヴォルデモートの顔が墓石から覗き込む前に、二人は立ち上がった。

「エクスペリア――――ムズ!!」

「アバダ ケダブラ!!」

二人が叫ぶと同時に、ヴォルデモートも叫んだ。

三つの呪文が空中で、激しくぶつかり合い緑、赤、黄色の閃光が走った。

はその衝撃で後ろに吹っ飛ばされ、地面に叩きつけられた。


ハリーとヴォルデモートの杖が振動し始めた。

二人の体は宙を浮かび上がった。

お互いの杖から金色に輝く糸が噴出し、それが二つの杖を固く結び付けている。

二人は必死で杖から手を離そうとしているが、まるで接着剤で完全に粘着してしまったみたいに離れない。

ハリーとヴォルデモートの二人は空中にふわふわと浮き上がっていった。



「ご主人様、ご主人様〜〜〜!!」

デス・イーター達が口々に叫び、滑るように飛んでいく二人の跡を追っかけた。

二人は から遠く離れた墓地のはずれに到着した。

「行かなきゃ・・ハリー待ってて」

彼女は顔についた土を払いのけ、渾身の力をこめて立ち上がろうとした。

だが、出来なかった。彼女はあまりにも多くの体力を消耗していた。それにさっきの衝撃で頭を強く地面に打ち付けていた。

「ゴメン・・なんかぼんやりとしてきた。嫌な友達よね。肝心な時にあなたの側に行くことが出来ないなんて・・」

彼女はフッと寂しそうに笑った。

「でも、大丈夫。私がいなくてもきっとあい・・つには・・・勝て・・」

そこで彼女の意識は途切れた。

さわさと風にゆれるイチイノ木だけが、彼女を黙って見下ろしていた。


















誰かが自分の名前を呼んでいる。


優しく、甘い、とろけるような声。


「誰?」

「僕だよ」

「リ、リーマス??」

彼女は目をぱちくりさせた。

医務室のベッドで彼女は清潔なシーツに包まれて横たわっていた。

「ああ、本当にびっくりしたよ!無事でよかった!! 。君が死んでしまったのかと思った!

 頼むよ!もう、危ないことはしないでくれ!!私は二度と君を失いたくない!!前言っただろう?

 もう君を離さない、絶対に離さないって!!」

ルーピンの目から涙が一滴、二滴と零れ落ちた。

彼は声を荒げ、ガバッと横たわっている を抱き起こし、胸にかき抱いた。

「リーマス・・ゴメンなさい。心配ばっかりかけて」

は再び触れることの出来たそのぬくもりに安心し、両腕を首に回し、嬉しそうに顔を彼の胸にうずめた。

「すみませんが、ルーピン先生。この患者さんには今、安眠が必要です。

 頭を強く打った上、急激に体力を消耗してますので・・」

カーテンを引く音がしてマダム・ポンフリーが急に入ってきた。

「そうですか・・では私はお邪魔ですね・・分かりました。」

彼は一瞬、非常に残念そうな顔をしたが、マダム・ポンフリーがドキッとするほどの微笑みを浮かべると、すごすごとカーテンを開けようとした。

「またお会いできて嬉しいですよ。先生」

マダムは出る直前に、にっこりと笑みを返した。




「リーマス」

「ミナ!」

医務室のドアのところで の伯母が心配そうな面持ちで立っていた。



は? は大丈夫なの??」彼女は早口でまくしたてた。


「頭を強く打ってるけど、命に別状はないよ。ポンフリー先生が今は安眠が必要だと言うから長居は出来なかったけど」


「そう・・よかった!ああぁ・・ほんとうに無事でよかった!!」

ミナは安堵の吐息をもらし、嬉しさの余りルーピンに抱きついてそのままぐるぐる回りだした。





一ヵ月後、ハリー、 、ハーマイオニ―、ロンの四人はまるで何事もなかったかのように湖のほとりの青々とした芝生に

ゴロンと寝転がっていた。


「今思い出しても一番びっくりしたことは・・やっぱりルーピン先生が医務室に来たことだな!!」

ロンがにやにや笑って、 を見た。

ハーマイオニ―は「いいわねえ〜羨ましいわ〜」と言う顔で、ハリーは複雑な思いで彼女を見つめた。


「もう!今になってそのことを持ち出さないでよ〜〜〜〜」

は、恥ずかしくてバッと芝生の上に顔をふせてしまった。

「でもね〜もっとすごかったのは、医務室でダンブルドア先生がシリウスとスネイプに握手しなさいと言った時。」

ハーマイオニ―が側にちょこちょことやってきたチャトランを撫でながら言った。

「あっ、それそれ!ほんっとうにあの時は怖かったわ〜〜二人共殺してやる〜〜〜という目つきで手を握ってたものね」

が、フンフンと鼻を鳴らしスミレの花を食べようとしているクルックシャンクスを引き離しながら言った。

このように四人で、まあまあ支障のない話が出来るようになったのは今日が初めてだった。

ハーマイオニ―、ロンはハリー、 を気遣ってあれこれホグワーツ外で起こったことについて詮索しようとしなかった。


ダンブルドアが生徒に二人をそっとしておくように言ったおかげで、大多数の生徒はハリー、 に廊下で出会うと

目を合わせないようにして通り過ぎた。

ハリー、 はロン、ハーマイオニ―といる時が一番落ち着いた。

あの時の詳しいことは四人の間では暗黙の了解が成り立っている。


そうこうしているうちに学期末のパーティが行われた。

広間はいつもの華やかな飾り付けで覆われてはおらず、ところどころに黒の垂れ幕がかかっていた。

セドリックの喪に服しているのだ。

幾人かの生徒の胸元や、腕にロザリオが輝いている。


はちらりとハッフルパフ寮のテーブルに目をやった。

このテーブルが一番打ちひしがれている。皆青ざめた血の気のない顔で座っている。


レイブンクロー席でチョウ・チャンがロザリオをぎゅっと握り締めたまま静かに泣いていた。



「今年も終わりがやってきた」

ダンブルドアが静かに言った。

「我々は一人の立派な生徒、セドリック・ディゴリ―を失ったことを悼もう。」

「では、黙祷」

ダンブルドアの言葉に全員が手を組み合わせ、目を閉じ、死者への祈りを捧げた。


長く重い、重い沈黙だった。

ハッフルパフ寮やレイブンクロー寮のところどころからすすり泣きが聞こえてきた。


それからダンブルドアは静かな声で、セドリックが素晴らしい模範生であったこと、彼がヴォルデモート卿に殺されたこと、

ヴォルデモート卿が再び復活したことなどを語った。


「セドリックの死に関連して、二人の人物の名前を挙げねばならない」

ダンブルドアが最後にこう言った。

「もちろん、ハリー・ポッター& のことじゃ。自らの命を賭けて、二人はヴォルデモート卿と真っ向から対峙した。

 これほどの勇気を示した者はそう多くはない。そういう勇気をこの二人は見せてくれた。

 ワシはハリー・ポッター、 を讃えよう!!」

ダンブルドアは二人の方を向くと、ゴブレットを高々と上げた。

すぐに大多数の生徒がそれに続き、ハリー、 の名を呼び、いっせいにゴブレットを上げた。


次の日、帰省の列車が停車しているホグズミード駅で四人は大勢の生徒をかきわけてこちらに近づいてくるフラー・デラクールを


見つけた。

「アリー(ハリー)、 、まーたあいましょね〜」


フラーが二人に片手を差し出しながら言った。


フラーはハリーが第二の課題で自分の妹を助けてから、すっかり今までの冷たい態度が緩和していた。


に関しては自分より年下なのに、あの試合で他の代表選手に負けず劣らず、はるかに高い得点を取ったことに感服しているようだった。


「さよーなら、アリー、 、とーっても楽しかったで〜す。あなたがたに会えておんとによかった!」

フラーは手をひらひらと振ると、二人ににっこりと微笑み、ホームの向こうへと駆けていった。

「さて、あれ?ハーマイオニ―は?」

フラーの足音が完全に聞こえなくなった後で、 、ハリーはブスッとした顔で列車によりかかっているロンを発見した。

「お取り込み中さ」

ロンは駅のベンチを指差した。

どうやらクラムはハーマイオニ―に別れを言っているようだった。

「早くしろよ!列車が出てしまうぞ!!」

彼はようやくこちらに戻ってきたハーマイオニ―に大声で言った。

その後、一緒に戻ってきたクラムに 、ハリーは手を差し出して握手した。

クラムはロンとともに汽車に乗り込むハーマイオニ―を横目で、名残惜しそうに見つめていた。




やがて列車は発車し、ハリーはキングズクロスに着くまでの間、三人や途中参加した双子とともに爆発スナップをして楽しんだ。

「あ〜負けた〜〜〜!!」

がくやしそうにカードを座席に投げ出しながら言った。

「フレッド、ジョージは流石強いわ〜〜」

彼女はちょっとふくれながら、でも楽しそうに言った。




「まあまあ、そうふくれなさるな。我らが姫の荷物を持って差し上げよう!」

フレッド&ジョージがそういって の荷物を抱え上げて降りようとした時、ハリーが後ろから肩を叩いた。

「なんだい?」

「これ受け取ってよ」

ハリーがトランクを開けて対抗試合の優勝賞金を双子に差し出した。

「え、ハリー、何言ってるの??」

双子の後に続いて下車しようとした がきょとんとして言った。

「イカレたのか?」

ジョージがけげんそうに言った。

「イカレてなんかいないよ。正気さ」

ハリーは言った。

「じゃあ、どうしてこれをフレッド&ジョージに?あなたがせっかくGETした賞金でしょう?」


がわけがわからないわという顔で言った。


「君達が受け取るんだよ。前言ってた悪戯専門店を開きたいんだろう?」

ハリーはにやりと笑った。

「ああっ!そうか!それは名案!」

もだいぶん前に寮で双子が、悪戯専門店の宣伝をやっていたのを思い出してにやりとした。


「やっぱりイカレてるぜ!」

フレッドが嬉しそうに言った。

「ほんとにいいのか?これ、ゆうに一千ガリオンはあるぜ」

ジョージが両手で袋の重みを測りながら言った。

「ああ、もちろんさ。さあ、受け取れ!今の僕らに最も必要なのは笑いなんだ。そして、その笑いを作り出せるのは君たちしかいない!!」


ハリーはきっぱりと言った。

「こりゃ、もうかったぜ。ありがたい天の助けだ。カナリア・クリームが幾つ作れるだろうな?」

双子は喜びの余り、小躍りしていた。


「いい事したね。」

小躍りする双子を横目で見ながら、 は微笑んだ。

「特に君には心から笑って欲しい。本当だよ!」

彼は照れくさそうに言った。

「お〜いお二人さん。早く降りろよ〜」

、伯母様が呼んでらっしゃるわよ〜〜」

とっくに下車してホームからその様子を伺っていたロン、ハーマイオニ―が声をかけた。










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石を投げられそうな結末ですが、四巻ドリームは終了致しました。すいません。ほんっとにカットシーンの多い結末です。

皆様のおかげでなんとハリポタドリームは四巻まで
書くことが出来、大変嬉しく思っています。

こんな文章で終了してしまいましたが、引き続き5巻にお付き合いくださいませ。


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少しだけ5巻の内容を・・・。

がめでたくブラック家(不死鳥の騎士団本部)へとやってきます。ハリー、シリウスは彼女と一緒に暮らせると知って願ったりかなったり。

また、シリウスはそこでミナが連れてきた自分の妹(オリキャラ)と会うことに・・・。そこでひょんなことから明かされる彼女の出生とブラック家が

ひた隠しにしてきた決して人には言えない秘密とは?


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