緑葉が朝日の光を受けてきらめく頃、りんは倒れた
一本の古木に腰掛けて殺生丸と姫の帰りを待っていた。
「殺生丸様とお姉様遅いね〜やっぱりりんも一緒に行けば良かった・・」
りんは至極つまらなそうに呟いた。
「馬鹿者。殺生丸様とあの半妖・・いや、は毒の気配のあるところに
行かれたのだ。お前なんぞがついて行ったら猛毒を吸ってころりとやられておるわ」
すかさず邪見がいつものごとく叱りの手を入れた。
「でも、お姉様も半分妖怪だけど、半分人間なんだよね?そんな危ないとこに行って大丈夫なの?」
長い間待たされて退屈しきっていたりんは、なかなか鋭く別の方向から邪見を攻めた。
「ああん?あの半妖の小娘か・・いや、は確かに完全な妖怪ではないが、長い間氷山という
深い、しかも毒気を持つ妖怪が多い山の中で暮らしてきたのだ。あの娘はそれだけ毒に体が
慣れている。安心せい。そんな簡単にくたばりゃせんだろう」
邪見は姫のことを邪魔な闖入者と思ってはいたが、その戦闘能力に関しては
ある程度評価していのだった。
「そっか〜邪見様、何でも知ってるんだね〜りん、今までお姉様のこと嫌いなんだと思ってたけど」
「やっぱりとっても心配してたんだね〜」
今まで密かに抱えていた胸のつっかえが取れたので、りんはお花のような笑顔で、緑のしわくちゃ頭を見下ろした。
「ば、馬鹿者、だ、誰があんな半妖ふぜいの小娘なんか・・あ、いてっ!」
「そう、そんなに私のこと心配してくれてたのね〜半妖が余計だけど・・」
いらんことを口走った邪見は、背後から気配を消して近づいてきた姫に矛の持ち手で頭をこづかれてしまった。
一方、姫を先に帰らせ、一人奈落の気配を探っていた殺生丸は森の中を移動する琥珀の
姿を捉えていた。