「さぁ、この袈裟に乗るのだ」

井宿が肩にかけていた大きな袈裟を広げて、床に置いた。

「では行くのだ」

井宿が袈裟を錫杖で突っつくと、そこから白く輝く空間が広がり

袈裟の上に足を踏み入れた三人を吸い込んでいった。


着いた先は倶東国の宮殿の中庭だった。

しかし、井宿の読みが甘かったのか四人は団子状に重なって

木の上に現れてしまった。


「どーして井宿、もう少しましな場所にこれなかったの?」

「わーっ、わーっ、暴れんなや!!」

「二人とも静かに!って、翼宿、どこ触ってるんだ!?」


次の瞬間翼宿、美朱、の三人はもんどりうって

緑の草むらの上に落下してしまった。


「痛ーっ!こら、おのれのせいで落ちたやんぞ!」


しばらくして、草むらから起き上がった翼宿は落下前にの強烈なひじ討ちを食らったため、

かんかんに怒って食ってかかった。

「うるさいっ、もう一度はったおされたいのか?」

は拳を振り上げて、まっかっかになって気炎をあげた。

「なんやねん、俺が何したいうんじゃ!!」

身に覚えのない翼宿はギャンギャン喚きたてた。

「うるさいっ、自分の胸に聞いてみろ!」

彼女が怒るわけは落下する前にあった。

その時、「落ちる、落ちる!」と酷く取り乱した翼宿に

しがみつかれ、その際、胸を後ろからつかまれてしまったのであった。


(胸、触られた・・よりにもよってこの男に!)


「こらーっ、聞いとんのか、おのれはっ!」


「翼宿、落ち着いて!」


「騒ぐと気づかれるのだっ!」


ショックで呆然と座り込むの背後から、さんざん文句を喚きたてる翼宿

を美朱と井宿は必死で押さえた。



「やはり、この二人の組み合わせはダメだったのだ・・」

井宿がまずそうに、ぼそりと呟いた。



その後、ちゃっかりと四人についてきた軫宿の猫によって

鬼宿との約束の場所、あじさいが咲き乱れる大木の下へと導かれた四人は

そこでしばし彼が現れるのを待つことにした。

















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