女誠国の王女である女隊長のはからいで、女王に謁見することが

出来た達は、今、歓迎の宴を受けているところだった。

翼宿は東欧風の民族衣装をまとった美しい女人に、酒を注がれていたが、

やや落ち着かず、カチンコチンに固まっていた。

美朱は相変わらず大食い巫女の名称に恥じぬ食べっぷりを

発揮して鬼宿の分までバクバクと宮廷料理を平らげていた。

「ねえ、ちゃん、ここ女ばっかりねぇ!男一人もいないのかしら?

 まるで紅南国の後宮みたい・・」

「ん〜・・ちょっと違和感あるといえばそうよね・・」

柳宿とはぽつりぽつりと皿の上の料理をつつきながら

不思議そうに話し合っていた。


「あのー、さっき連れてった男の人はどこにいるんですか?」

「ああ、それなら地下牢に・・」

少し離れた席からは美朱と女誠国の王女の話し声が聞こえてきた。


「美朱が今きいてたけど、よかった、軫宿、どうやら無事みたいよ」

早速は、次から次へと瑠璃杯になみなみと注がれた酒を飲む翼宿を突っついて報告した。

「さようか・・けど、今は、飲んどらなしらふでこんな女臭いとこおれるかってんねん・・」

翼宿はやさぐれて言い放った。


「私も一応、女なのですけど・・」

その言葉にムッとしたは途端にぷいっと横を向いて、もくもくと料理をつつき始めた。

「いや、お前やのうて周りや、周りっ!!知らん女にこんだけ囲まれてると気分悪いねんっ!」

言ってはいけないことを言ってしまった翼宿は焦って、取り消す始末だった。



「お部屋の用意が整いました」と侍女の声がかかり、見事な晩餐をたいらげた

七星士達はろうそくを捧げ持つ侍女達のあとについて広い廊下を歩いていた。


「今夜は疲れてるし皆ゆっくり休むのだ。大丈夫、軫宿はオイラが助けるのだ・・」

井宿がひそひそと周囲に聞こえないぐらいの声で伝えた。


「三部屋しかないので二人ずつお使い下さいな」

見目麗しい侍女達が、翼宿とと張宿、鬼宿と美朱、柳宿と井宿というふうに

勝手に部屋割りを決めてしまい、優しく彼らを部屋に押し込んでしまった。


美朱と鬼宿は当然のことながら慌てふためき、も柳宿や美朱に

「お願い、部屋かえて〜!!」と懇願し、人をなんだと思ってるんだと怒った

翼宿に引っぱっていかれる始末だった。



「全く、俺のことそんなに信用出来んのか、お前は・・」

パタンと格子戸を閉めると翼宿はぶつぶつと呟いた。


「柳宿や星宿様は絶対そんなことしないもの!!でも、山賊って何考えてるかわからないし、

 この前はあなたのお仲間に身体ベタベタ触られたのよ!!そんなのでどーやって信用しろと?」


は真っ赤になって、ここぞとばかりに前の身の毛のよだつ出来事を持ち出して突っ込んでやった。


「お前に嫌な思いさせた仲間のことは俺が謝る!せやけど、なんで皇帝はんをここで引き合いに出すねん!!お前、ちょっと皇妃になってくれって

 申し込まれたからに・・」

翼宿はちくりと嫉妬の矢を胸に受けて叫んだ。


「あの晩、立ち聞きしてたのね!?」

はかっと胸が熱くなって叫んだ。


「いや、側を偶然通りかかったら聞こえてしもて・・」


「分かってる。星宿様は美朱を忘れようと、それと、国や大臣達のために、私に結婚を申し込んだのよ」


「お前・・皇帝はんのこと、まさか・・本気で好きだったんか・・」


翼宿はがくりとよろけそうになる体を、黒くるみ材のベッドの柱につかまって支えた。


「本当に好きだったら、皇妃になっててここにはいなかった。私はまだ婁宿を忘れられないし、

 陛下もまだ美朱を忘れられない。そんな二人が結婚して上手く行くと思うの?」


はちょっぴり嘘をついた。彼女は、婁宿とどこか似た雰囲気を持つ星宿にほのかな恋心を抱いていた時期があり、本気で皇妃に

なろうかと一人悩んでいたのだった。


「私は自分の命を犠牲にしてまで愛したあの人以外、幸せにしてあげられる自信がない」


「だから、星宿様には丁寧にお断りしたの」














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