「それよりどうして私が結婚したことを知ったの?」

「私、結婚のことは誰にも(ハリー、ロン、ハーマイオニー、ルーナなどごくごく親しい者には

 手紙で簡単にルーピンとの結婚のことを書き送った)話してないのよ」


「お前の右手の薬指にしているものはなにかね?」


「ああ、これ・・なんだ、それで分かったのね・・」

彼女はどうして指輪を外してこなかったのだろうと腹立だしくなって、

ピジョンブラッド色の非常に珍しいルビーの結婚指輪を隠そうとした。


「フン、今更外せるものでもないだろう?どうせそんな高価な指輪、あの男に買える金などない。

 お前の家の家宝だろう?」


彼女の手の動きを見透かすかのように、スネイプは言った。

「それにしてもお前はたいしたものだな・・護衛も連れずたった一人でここへ乗り込んでくるとは・・

いや、本当に大物なのは、元生徒で、伯爵家の娘と資産目当てに結婚したルーピンかな?」

そこまでいってのけると彼は口の端を曲げて笑った。


「それでどうするの?このことを早速「例のお偉いあの人」に報告する気?」

は腕組みして突き刺すような視線をスネイプに送った。


「もう我輩の所業がばれてしまったからには教えてやる。我輩は闇の帝王にポッターやお前達身辺のことを報告する義務があるのだ。

 むろん、お前とルーピンとの結婚のこともな」


彼はその視線を跳ね返すかのように威圧的な態度で話してきた。


「さあ、コーヒーを飲み終えたら帰るのだ。あまり遅いと義理の親と花婿が勘付く」

「ここへ来るまでにおおかた友達に会いに行くなどと言って、出てきたのだろう?」

「そうでなければ、あの二人がすっと出してくれるはずがない」

スネイプは彼女の心を読んだかのように喋った。


は飲みかけのコーヒーを、ゆっくりと飲むと受け皿に戻した。

そしてやおら口を開いた。


「これだけは覚えておいて。あなたが最後まで例のあの人につく気なら、私も最後まで騎士団と共に一歩も引かないから。

 あなたは必ず報いを受ける。今までやったことのね。そうなるように私は闘ってみせる」


これでもう彼と会うことはないだろう。ミナ伯母の頼みの綱を完全に断ち切ったのだ。

はスネイプに最後の一瞥を与え、そのままホテルを出て行った。


「好きにするがいい・・お前が選んだ道だ」

スネイプは彼女の後姿を見送りながら、精一杯虚勢を張っていた表情を持ち崩し、

寂しそうにぽつんと呟いた。




一人帰宅したは何とか笑顔を取り繕ってシチューを食べてから、

自室にこもって、問題の結婚祝いのプレゼントを開け始めた。

むしゃくしゃしながら青色のリボンを乱暴に解くと、黄色の細長い箱が転がり出た。

彼女はその上に載っていた純白のカードを手にとって、むさぼるように読み始めた。



ミス・、いや、ミセス・ルーピンへ

お前達の結婚を手放しで祝う気にはなれないが、一つ忠告する。

今後、ポッターとともに移動することがあれば、細心の注意を持って行動しろ。

さもなければ、お前の予想を上回る死人が出ることになる。

我々はどこでもお前達を見張っている。



追伸

十七歳になれば、ポッターもお前も例の守りの術が解けるのは知っているだろうな?


親愛なるSより

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