「それで彼・・本当に分霊箱を破壊出来たのかどうかしら」

ハーマイオニーが厨房のトレッセルテーブルに肘をついて考え込みながら言った。

四人がふいに押し黙った。

厨房の納戸から何かの気配を感じたのだ。

四人は互いに目配せし、そうっと椅子から立ち上がって納戸に近づいた。

次の瞬間、ハリーは醜い屋敷しもべ妖精の首根っこをむんずと

つかんでいた。

クリーチャー。

彼にとって忘れられない負の存在だった。シリウス兄妹を死に追いやった原因を作った奴のことを。

「シリウスだけでなく僕らまでスパイしようとしてたのか?」

ハリーは切り裂くような声で言い放った。

「とんでもごぜえません。クリーチャーは・・」

「そうよ・・彼なら本物のロケットのありかを知ってるかも」

ハーマイオニーがふっと呟いた。

「これに見覚えはあるな?」

ハリーはテーブルに置かれていた偽のロケットを掴むとよく見えるように

クリーチャーの前に突き出した。

しもべ妖精は口をつぐんだが、ハリーの何事も許さぬ目つきに圧倒されて

しぶしぶ口を開いた。

「確かにそれはレギュラス坊ちゃまのロケットで・・」

「そうだ。でも二つあったな?」

「僕が言ってるのはもう一つの方。本物のロケットの方だ」

「クリーチャーはもう一つのありかなど知りません」

「ちょっとでも見たことは?この家の中で」

ハーマイオニーが興奮したように尋ねた。

「穢れた血め、気安く口を!」

クリーチャーは忌々しげにハーマイオニーを睨みつけて罵った。

かっとなったロンが側にあった銅製の小型鍋をつかんだが、ハーマイオニーが

すかさず制止した。

「このずうずうしい嘘つき!この期に及んでまだそんなことを!」

怒った猫みたいに立ち上がったは、さっと杖を剣のように引き抜いてクリーチャーに突きつけた。

「バンパイア、血を裏切る者め!」

だが、それにもめげずにクリーチャーはかんかんに怒っている

とロンを罵った。

「クリーチャー、彼女の質問に答えろ」

ハリーはご主人様の権限を最大限に利用して詰め寄った。

「はい、この家に確かにございました」

これには強力な主従関係で縛られたクリーチャーも逆らえない。

いささかムッとしながらもぼそぼそと呟いた。

「思い出すだけでも忌まわしいものです」

「レギュラス様に破壊せよと命じられましたが、ロケットはどうやっても破壊できませんでした」


「そうか・・で、今、本物はどこにあるんだ?」

「探したけどこの家にはなかった」

ハリーは一番知りたかった答えを引き出そうと慎重に尋ねた。

「この家にはもうねえですよ」

「なんせあいつが夜中に家中家捜しして持っていってしめえました」

クリーチャーは恨めしげに床を見つめて愚痴った。

「あいつ?あいつとは誰のことを言ってるんだ?」

ハリーはいぶかしんで言った。

「薄汚いコソドロ・・」

「マンダンガス・フレッチャーです」

クリーチャーはしばらくの間黙っていたが、レギュラス様の大事なロケットを取り返して欲しかったのだろう。

素直に真実を明かした。

「すぐにあいつを探すんだ」

ハリーはにべもなく告げた。

クリーチャーは了解とばかりに深々と礼をすると、ばしっという音とともに消えた。


その頃、新学期を迎えるホグワーツ特急内では異変が起こっていた。

急に黒い煙とともに現れたデスイーター達が汽車を停めさせ、ハリーやがひょっこりと乗りこんでいないか

しらみつぶしに調べ始めたのだ。

一方、魔法省でも逃亡中のハリーとの首に法外な懸賞金がかけられ、日刊預言者新聞の記事のトップ面には

二人の写真が並べられ、お尋ね者NO.1の文字がデカデカと光っていた。

ダイアゴン横丁やノクターン横丁などの街頭には昼でも夜でもおかまいなしに「人さらい」の集団が出没し、

罪もない人々を身元調査の為に引っ立てていくのが見受けられた。



「違うわ。もっと優しく弾いてみて・・」

ハーマイオニーが微笑を浮かべ、ピアノと睨めっこしているロンの手を押しとどめている。

ハーマイオニーが奏でる「エリーゼの為に」の心地よいメロディーがソファで寛ぐ

ハリーとの耳にも届いた。

は何だか寂しそうにルーピンから貰ったツインスターのペンダントを弄んでいた。

(リーマス・・フェリシティー伯母さんからここにいるとは聞いてるだろうけど)

(あの手紙、結局渡せずにこんな形で出てきちゃったけど・・)

(でも、今はむしょうに会いたいの・・たった一分でもいい、この館に来てくれれば・・)

(どうして来てくれないの?もしかしてこの館の出入りをデスイーターの残党に見張られてるの?)

そうやってペンダントを弄んでいると計り知れない悲しみが押し寄せてきた。

(私達、本当に結婚したんだよね?)

(こんなバカな娘、世界中のどこ探してもいないよね?愛してる人を置き去りにして友達といつ終わるか分からない

 旅に出る方を選ぶなんて・・)

はハリーの切なそうな視線などものともせずに今度はルーピンにはめてもらった

ピジョンブラッドのルビーの結婚指輪を眺めやった。











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