長い長い一日が終わろうとしていた。

今、ヒュウガの魂は天に召された。

銀河の森では暗闇の中、長老、銀河の戦士、氷の精、村人達が見守る中、

うずたかく横木がつまれたかがり火が燃えていた。

皆、一心に一人、手の届かないところへ旅立った彼の魂が安らかで

あらんことを祈った。

ゴウキはおいおい声をあげて男泣きに泣いているし、ヒカルは心の中にむらむらと

憎しみが湧いてくるのを隠せないでいた。

サヤと氷の精は剣に取りすがって泣いていた。

特に氷の精の心は血の涙を流していた。

(早く彼女を!)

(これと一緒に引き上げろ!)

彼女の頭の中にはヒュウガのあの穏やかな最後の微笑が焼きついていた。

「ごめんなさい・・本当にごめんなさい・・」

氷柱の剣に取りすがってくずおれたをサヤは黙って抱きしめてやった。



「氷の精は必要以上に自分を追い詰めておる・・」

「ヒュウガが死んだのは自分一人が勇み足を踏んだせいだとな・・」

「お前達、ヒュウガが最後に救った残された彼女をどうか支えてやって欲しい」


月光の差し込む湖のほとりでこれからのことについて話していた五人の若者に

長老は語りかけた。


「長老・・それは分かってます」

「私、ヒュウガが死んだのは彼女のせいじゃないってことを」

「僕が兄さんの立場でも同じことをしてた」

「それに彼女は海賊の親玉に殺されそうになっていた兄を助けてくれた」

「雄たけび山に腕輪を取りにいけるよう、あの親玉に一人で立ち向かってくれた」

「氷の精に罪はないぜ。ヒュウガの命を奪ったのは海賊の奴らだ」

「長老。彼女のことは俺達に任せてください」

サヤ、リョウマ、ヒカル、ハヤテの頼もしい言葉に長老は深く頷いた。


翌朝、銀河の森から遠く離れた市街地では封印が解けた宇宙海賊達が派手に暴れまわっていた。

木の実の精の知らせで、六人の若者はエゾマツの木に立てかけていた星獣剣を取ると、

残雪を蹴散らして駆け出した。

そして、銀河の森にも大いなる危機がせまっていた。

宇宙海賊の一人、女操縦士は大勢の水兵を引き連れ、一人、銀河の森への山道を歩いていた。

「ここか・・銀河の森は・・上手く人目につかぬよう隠れたものだな」

「だが、所詮、子供だましだ・・」

長い銀髪を垂らし、巻貝をあしらった露出の高い衣装と、緋のマントをまとった女海賊はにやりとした。

そして、ベルトから長剣を抜くと銀河の森を覆い隠す結界を容赦なく叩ききった。

シェリンダという女海賊の指揮の下、水兵達は土足で平和な森を歩き回った。

「海賊だ!」

「何でここまで!?」

「結界が破られたんだ」

「あの中によほど頭の切れる奴がいるらしいわね」

市街地へ向かおうとしていたリョウマ、サヤ、ハヤテ、は木の間から見え隠れする

海賊達にぎょっとして叫んだ。

一方、村では長老の指揮の下、男衆や女衆が剣や弓を手に手に戦いに備えていた。

「長老、大丈夫ですか!?」

「お前達、何をしておる!!街へ行けと言ったではないか!」

六人の若者達が祭壇跡に駆けつけた時は、早速、村の衆と水兵達との小競り合いが始まっていた。

長老は氷の精と戦士達を叱り付けたが、ヒカルの「このまま放っていけと?」の言葉に

星獣剣や氷柱の剣を手に手に走り出した。

シェリンダは村人を虫けらのごとく抹殺し、長老や銀河の戦士達のところまで

悠々とやってくると黒いバフンウニのような物を投げ捨てた。

それはただのウニではなく、銀河の森の聖なるエネルギーを吸い取る化け物だった。

長老オーギも黙って見ていない。

六人の若者達に市街地を救うように言い残し、不思議な手鏡を取り出した。

手鏡から発せられた光は森全体をどんどん石化させていく。

長老は五人の若者達に「重要なのは森を守ることではない。聖なる獣達も必ず現れよう。宇宙海賊を必ず倒せ」

と言い残した。

そして、木の実の精に自らの首にかけていた涙型のペンダントを渡した。

。ヒュウガの意思を無駄にするでないぞ。あの者達と一緒に行くのじゃ」

「でも・・お師匠様!!あなたは私を育ててくれた親も同然じゃありませんか!?置いていくわけには!!」

「お前に教えることはもうない・・行け・・」

長老は一人最後まで自分の側に残った氷の精の手を堅く握り締めると、突然、彼女を強く突き飛ばした。

空中に浮かんでいた木の実の精は、涙を一杯目にためた氷の精を引っぱって、この場から連れ去った。

「早く早く!!」

木の実の精に導かれ、エゾマツの林の奥に向かうとサヤが手招きしているのが見えた。

長老の持ち馬だった白馬の手綱を握り締め、いつでも駆け出させるようにしてくれている。

氷の精は全速力で走っていくと、白馬のたてがみをつかんで背中によじ登った。

「行くぞ!」

リョウマの一声で皆、馬のわき腹を軽くかかとで蹴って走り出させた。




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