ここは母なる自然から与えられた不思議な力、アースを持つ人々が暮らす銀河の森。
ここでは争いごともなく全てが豊かで平和だった。
そう、深海から恐ろしい侵略者達がやってくるまでは。
今日は、第133代目の神聖な森を守る戦士達に星獣剣が受け渡される大事な儀式の日だ。
朝早くから村人達は、神聖な儀式の準備におおわらわだったし、長老もなにやら感慨深げに澄み切った空を眺めていた。
「炎のたてがみ!」
積雪に覆われたエゾマツの森の奥ではリョウマと呼ばれる者が、両手を組み合わせて兄であるヒュウガに
火炎放射攻撃を繰り出していた。
兄は積雪に覆われた地面を転がって、その攻撃を二たび避け、
起き上がりざまに、弟に同じ火炎放射攻撃を繰り出した。
兄のスピードのすざまじさに弟はそれを避け損なって、地面にずっずっと
つんのめってこけた。
「大丈夫か?」
「平気平気。手加減なしに来てくれっていったのは俺なんだから」
ヒュウガは心配そうにしりもちをついた弟に手を差し伸べて尋ねた。
「やっぱり兄さんのアースはすごい。さすが、星獣剣の戦士に選ばれるってだけあるよ」
謙虚な弟は手放しで兄の腕を褒めちぎった。
「何をいうんだよ、リョウマ。お前のアースだって本当は・・」
ヒュウガはそう言いかけて、何気なくエゾマツの高い樹の上を見上げた。
針葉樹の木の枝には艶やかな長い黒髪を垂らし、スパンコールを散りばめたツララを思わせるような真っ白な衣装をまとった女の子が腰掛けていた。
そして、物珍しそうに兄弟の特訓風景を眺めていた。
「どうしたの、兄さん?あれ、あの子、この間の星獣剣の戦士選抜の時に来てた・・」
リョウマも兄の視線を追ってぴんときて言った。
「へぇ・・ずっと先から見てたのか」
ヒュウガは何を考えてるか分からない表情で呟いた。
「お〜い、何でそんなとこにいるんだよ?こっちへ降りてきなよ!」
人懐っこそうな笑顔を浮かべて、リョウマはエゾマツの高い樹の上に向かって
呼びかけた。
「な〜んだ、二人とも、あの子のこと知らないんだ?」
「こら、サヤ・・降りなさい」
突如、音を忍ばせてやってきて、ヒュウガに抱きついたピンクの服をまとった女の子は不思議そうに言った。
「あの子はね、長老のとこにいる氷の精でっていうの。人がいるところにあまり
姿を現さないんだけど、あの子を見かけた人はね、幸せになれるってジンクスがあるんだ」
「へえ・・そうなんだ。ところで、サヤ、あの子、お前と同じぐらいの歳なんじゃないか?」
「そこまでは知〜らない〜!あっ、そろそろ祭りが始まるよ。広場へ行こっ!」
「はいはい・・ともかくサヤは俺から降りなさい・・」
ヒュウガは苦笑いしながら自分にまとわりつく女の子を引き剥がした。
「あれ、いない・・」
そして、ヒュウガはもう一度、あの女の子が腰掛けていたエゾマツの枝に目をやったが、
樹の生い茂った葉の隙間から薄い日光が差し込むだけだった。
星獣剣の戦士達が森の奥からぞくぞくと集まってきたので、氷の精はいつの間にか姿を消してしまったのだった。
「どうした、何がいないんだ?」
ハヤテと呼ばれる若草色の服をまとった端正な顔立ちの男が尋ねた。
「いや、何でもない」
ヒュウガは何事もなかったかのように振舞おうとした。
「隠すなよ。サヤと同じぐらいの歳の氷の精のことだろ。実は俺も昨晩、湖のほとりで見た」
ハヤテは半ば得意そうに言った。
「あの子を見かけたら幸せになれるって話だろ?」
「俺、まだ見たことないんだ・・いいなぁ〜本当に幸せになれるんだよな?」
山吹色の服をまとった大食いのヒカル、群青色の服をまとった大柄なゴウキは羨ましそうにハヤテやヒュウガを
見つめて口々に呟いた。
「現れたと思ったらすぐ消えちゃうんだよな。木の実の精と同じで神出鬼没!」
ハヤテが物知り顔で言った。
「そうだ、兄さん!あの子、今日の儀式に来るんじゃない?大事な儀式だから村人も皆集まるし、
長老が連れて来ないはずないよ!」
「そうだな」
リョウマの楽天的な発言に、ヒュウガは今日の儀式を楽しみに待つことにした。
隠流忍サスケ役の役者さん繋がりでとうとうこれにも手を出してしまった管理人。
98年放送なのでご存知の方いらっしゃるかな〜?
ヒュウガ、ハヤテ寄りになる予定。そして何よりファンタジー要素満載(笑)
需要ありましたら忍者連載と一緒に更新していきます。