「何をしておられるのです!?二人共、早くそいつを倒して下さい!!」

狼に首根っこをかまれ、ゆさぶられながらもビーバー氏は

長剣や笏杖の切っ先を狼に向けたままどうしようか決めかねている

ピーターとに向かって叫んだ。

「金輪際、ナルニアに近づくな。そうすれば命だけは助けてやる」

「妖精女王、お前も女王陛下の実の妹君だ。見逃してやろう。

 そのかわり、この者どもに手を貸すのはやめるんだ」


「言うとおりにして、ピーター、!じゃないと彼が持たないわ!」

スーザンが首の鋭い痛みに耐えながらも頑張っている

ビーバー氏を見て悲鳴に近い声をあげた。


「利口な娘だ」

狼はにんまりと彼女を見てほくそえんだ。


「言うことを聞いちゃだめだ!ピーター王、様、早くそいつを倒すんだ!!」

必死の思いでしゃべるビーバー氏を黙らせようと、さらに狼には

その牙を彼の皮膚に差し込んだ。


「早く倒せ!」


「すべてはお前たちがナルニアから手を引けば丸く収まる。

 女王の望みはそれだけだ」


狼の声はさっきよりずっと優しくなっていた。


「ねえ、サンタクロースに剣を貰ったからといって英雄気取り?

 そんなもの捨てなきゃ私達皆助からないわ!!」

スーザンが必死に、目の前の事態をなんとかしようと熱くなっている

ピーターをさとすように言った。

「だめだ、ピーター!ナルニアの為に!そいつを倒せ、今しかチャンスはない!」

ビーバー氏は懸命に粘り続けていた。


「どうするアダムの息子?俺たちは気が短いんだ。いつまでも待てんぞ」

狼はじりじりとピーターにせまり、戦闘の構えを取った。



その時だ。


ピーター同様、この場をなんとかしたかったが、魔法の笏杖を

背後の巨大つららめがけて放り投げた。



彼女の強い意志に答えるかのごとく、純金の笏杖はブーメランの

ごとくぐんぐん飛んで、巨大つららの中心に当たったかと思うとぴかっと光り、

中央部から全体めがけて次々と亀裂が入り始めた。


「僕につかまれ!」



どさどさと大きな音を立てて、つららともども積雪が落下しはじめたのを

見計らってピーターは思い切り、足元の分厚い氷を長剣で突き刺した。



支えを失ったつららはめきめきと大地を揺るがすような

音を立てて根元から遂に崩れ落ちた。



すべては冷たい海流に飲まれた。



はブーメランのようにこちらに戻ってきた笏杖を

しっかりつかむと、ピーターにしがみついた。



ビーバー夫妻はアドリアンブルーの冷たい海にざんぶと飛び込み、足場を失った狼たちは

きゃうんきゃうん甲高い悲鳴をあげて海中に沈んでいった。




ピーター達は盛大に波を被り、海中へと引きずり込まれた。




どのぐらい時が流れただろう。



ピーターは長剣の柄をしっかり握り締めて、皆は彼のコートや解け残った流氷に

しがみついて波間に浮き上がってきた。








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