その夜、ビーバー夫妻の小屋を白い魔女の密命を受けた狼達が

襲撃した。


間一髪、ビーバー夫妻の手引きで小屋の地下通路を通って

地上へと脱出した達は、途中で出くわした賢明な狐の

機転によって難を逃れたのだった。



狼達が行ってしまうと、はさっきまで上っていた

木からするすると降りてきてタムナスを匿った為、魔女の怒りを

買い、石にされたアナグマ達の呪いを解いてやることにした。


「本当に私の友人をお助け頂けるのですか!?」

「やってみましょう」


ビーバーが興奮と驚きで隠せないでいる横で、

ルビーやガーネット、アメジストなどが散りばめられた純金の笏杖を

取り出すとアナグマ達めがけて振った。


魔法は成功し、見事、石化していたアナグマ達は自由になった。


ルーシーは「すご〜い、すご〜い!」とひどく感激し、スーザンは「嘘でしょ、そんな!魔法が・・存在するなんて!」

とショックを受け、このところ、何かと突っかかってくるエドマンドのことで悩んでいたピーターの顔には、久しぶりに青年らしい笑みが浮かんだ。


「おお、動ける、動けるぞ!」

「お前・・よかった、よかった!」


アナグマ達は自由になった手足をぱたぱたさせて

ビーバー氏と再会の喜びを分かち合った。




さて、狼どもの気をそらせる為に怪我をした賢き狐はビーバー夫人に

薬草を塗りこんでもらい、何とか動けるまでに回復していた。



「ご親切にどうも。でもゆっくりしてる暇はない」


ビーバー夫人に礼を述べると賢き狐はゆっくりと立ち上がった。


「女王陛下、そして様、またお会いできて光栄です」


そして彼はここで優雅に前足を折り、二人の女王と一人の女神に心からの敬意を表した。


「実を申しますとアスランの命令で兵を集めてるんです」


「一緒に魔女と戦ってくださればこれほど頼もしいことはないです」


狐は太鼓判を押すように彼女たちに言った。


「なんで?私達、魔女と戦う気はさらさらないのよ」


何事も現実的なスーザンが反駁した。


「これは予言です、ピーター王。避けられぬことなのです」

「あなたなしで戦いは成りたたない」

困った狐とビーバー氏は熱心に、薪を囲んで向かいに座っている長男を言い含めた。


「僕は・・弟を助けたいだけだ」

スーザンの射るような視線、の懇願するような視線に出くわすと

ピーターはまたどぎまぎして言葉が迷子になりそうだった。




の力が戻りつつあるナル二アではすでに雪解けが始まっていた。


その残雪で覆われた山を登っていくぺペンシー兄妹、ビーバー夫妻、


は美しいオレンジ色の朝焼けを目撃した。



「アスランは石舞台の近くにいらっしゃいます」


「凍った川を渡るんです」


「もう100年もの間、凍ったままなのですよ」


「山は既に私の影響で雪解けが始まっているけど、河もそうなのかしら?

 そうだとしたら大河は氾濫するだろうし・・渡りにくいんじゃないかしら・・」


「きっとうまくいくさ。行こう」


不安を隠せないを元気付けたのは誰あろう、先ほどまでどぎまぎしていた

ピーターだった。


「もう、ピーターったら急に調子がいいんだから・・」


スーザンは呆れるやら苦笑するやらで、げんきんな兄を見やった。















「皆さん、急いで下さい!日が暮れてしまうとまずいですよ!」



氷河の上を歩き続けていいかげんにうんざりしてきた頃、ビーバーはキンキン声を張り上げて言った。



「もう一度同じ事を言ったら、あいつを毛皮の帽子にしてやるんだ」


ピーターが疲れてきたルーシーを背中に負ぶいながら、冗談めかして言った。


スーザンは笑ったが、は本気に受け取ったらしく


「ねえ、本当にあのビーバーの毛皮をはぐっていうの!?ねえ!」


とにやにやしているピーターの後を追いかけてしつこく尋ねる始末だった。



「早く歩いて下さいよ!」


「あの人達、だんだん威張り散らしてきたね・・」


ピーターの背中に顔をうずめながら、末っ子のルーシーまでがためいきをついた。


「ピーター王!間違ってもあの人達の毛皮を剥がないと約束して下さいね!」

「さあ・・ね?」

その可愛らしい声にピーターはくるりと振り返り、いたずらっぽく笑って答えた。

「さあって・・そんなことしたら、予言どころの話じゃなくなってしまいますからね!」


「やだもう・・冗談だってば!冗談よ・・ああ、おかしい・・」


さっきから笑いが止まらないスーザンは、ようやくここでピーターの大きな背中に

むかって喚いているをなだめる始末だった。



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