カスピアン、、スーザンの協力の下、ルーシーは

アスランを呼びにいくのを阻止しようとするテルマール人の追っ手から逃れて

無事に森の奥へと馬を進めることが出来た。

一方、三人が全速力で馬を駆って御前試合の会場へと戻る間、

試合は白熱したものとなっていた。

ピーターがミラースの長剣の下をかいくぐり、彼の肩に長剣を叩き付けると

ナルニアの住人達はわっと歓声を上げた。

しかし、怒ったミラースは円形の盾でピーターの顔面を殴りつけ、

彼が被っていた銀の兜を吹っ飛ばしてしまう。

エドマンドの顔が青ざめ、ナルニアの住人達のほんの僅かな笑顔も引きつる。

それでもピーターは首元に向かってきたミラースの長剣の一振りを上体を反らして避け、

そこに出来た僅かなの隙を狙うと片膝をついた状態から敵の左膝を

すっと切り裂いた。

ミラースはその鋭い痛みに呻き、初めてその顔に怯えと驚愕の色が浮かんだ。

その後、ピーターは手負いの獣のごときミラースに何度も追い詰められたが、

何とか寝転がって彼のしつこい攻撃をかわした。


その後、双方の合意で三分の休憩が与えられ、ピーターは脱臼した肩の痛みに顔を

しかめながらナルニアの陣地へと戻った。

そこへ折りしもタイミングよく、栗毛の馬にカスピアンとともに相乗りしたスーザン、

やや遅れて白馬に跨ったが戻ってきた。

「ルーシーは大丈夫なのか?」

開口一番、ピーターは幼き妹の安否を気遣って言った。

「何とか追っ手を振り切ったわ。彼らのおかげよ」

スーザンはわずかに息をはずませながらカスピアンとその隣にやってきた

の方を顎でしゃくってみせた。

「君も行ったのか?」

「ええ、危険だとは分かっていたけど敵の不穏な動きが気になって・・」

カスピアンに心からの礼を言ってから、ピーターはこの状況で

どさくさに紛れて早馬を飛ばした女王を驚愕した面持ちで眺めた。

「とりあえず妹を助けてくれてありがとう」

「でも、君はここにいないと。万が一のことが・・

 それに向こうに気付かれると大きな困難を招く」

ピーターはふらふらとに寄りかかる振りをしながら、彼女の耳元で

一国の女王が短い間だけとはいえ、御前試合をほっぽリだして

危険な行動に走ったことを注意した。


は傷ついたピーターを支える振りをしながら、

素早い視線を敵陣営に飛ばしたが、向こうはこちらの動向に

気付いた様子もなく、ミラースが若造にやられた腹いせに

グローゼル将軍に当り散らしているところだった。

「スーザン、お前は離れてろ。ここでは何が起こるか分からない」

ピーターは疲労していたが、妹の安全を気遣うのだけは忘れていなかった。

「やつらは信用できないし危険だ」

ピーターはカスピアンを見上げ、それから女王へと視線を戻して言った。

スーザンは黙って兄を抱きしめたが、兄は肩に彼女の身体が当たっただけで

酷く顔をしかめた。

「ごめんなさい。痛かったのね」

「大丈夫だ。何ともない」

スーザンがすっと抱擁を解き、が脱臼した彼の肩の辺りを

気の毒そうに眺めやった。


「兄さん、笑顔を見せたほうがいい。民が不安がってる」

冷静沈着なエドマンドはナルニア側をじっと見つめていたが、静かに呟いた。

それもそうかと思ったピーターはすぐにの肩に手を回して引き寄せると、

空いたほうの手で長剣を高く掲げて飛びっきりの笑顔を見せた。

女王と国をどこまでも守り抜く先王の強固な意思に

ナルニアの住民達は感激したが、カスピアン、エドマンドは予想だにしなかった

彼の行動にあっけに取られて立ちすくんでいたし、スーザンはやってられないわと

言いたげに肩をすくめると駆け出した。























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