が煙球を派手に爆発させて目くらまししてくれたおかげで、
ジライヤは牛鬼のさらなる銃撃から逃れることが出来た。
「Are you alright?」
「Oh,It's OK. ダイジョウブ。弾がMeの手首カスッタダケ・・Thank You,」
「ナンカ、ハジメテ会った時からMeはYouに助けられっぱなしだね・・」
「そんなことないよ・・ジライヤだって、ほら、いろいろ私のこと守ってくれたし・・」
離れた公園のベンチまで逃れたジライヤは、危ないところで自分を逃がしてくれた
彼女に礼を述べていた。
ジライヤは途端に赤くなってぼそぼそとうつむき加減に呟くし、はで何だか微妙な雰囲気に
なってしまってまともに彼の目を見れなくなってしまった。
「、ジライヤ、いまどこ?また牛鬼が!サスケ達が必死で止めてるんだけど苦戦してるのよ!!」
そんな二人の甘酸っぱい雰囲気をぶち壊すかのように鶴姫の緊迫した声が印籠から
響き渡った。
「分かった、私達も今すぐ行くから待ってて!」
はポケットに印籠をねじこむと、ジライヤに頷いてみせ、さっそうとローラースケートを駆って駆け出した。
「うわっ!!」
そのころ、のどかな波止場では、工事用のパネルバリケードを飛び越えて攻撃しようとしたサスケ、サイゾウ、セイカイ
目掛けて牛鬼が猟銃を容赦なく乱射しまくっているところだった。
彼らは牛鬼の素早い弾をよけるのが精一杯で、次々と後ろへもんどりうって転んだ。
「牛鬼!!」
「む?」
とジライヤが必死にローラースケートを駆ってやってくる。
その声に牛鬼は銃口をサスケ達から離し、二人の帰国子女達のほうへ向けた。
そのまま牛鬼はゆっくりと銃口をサスケ達から離すと、まず、女忍であるに狙いをつけた。
だが、牛鬼の危険な猟銃から一瞬たりとも目を離さなかったは、銃口が火を吹く刹那、
さっと上体を崩して倒れこみ、アスファルトの上をごろごろと転がって向かってきた連射弾を避けた。
「てやっ!」
もうもうと火薬の匂いと煙が立ち込める中、急いでその場からずらかったを尻目に、
ジライヤは大きくアスファルトを蹴ってジャンプし、空中でひらりと舞うと
牛鬼の顔面に蹴りを入れて吹っ飛ばした。
「牛鬼、今日こそ勝負だ!」
ジライヤはびしっと指を掲げて驚いてひっくり返った敵目掛けて宣戦布告した。
「望むところだ、ここは男と男の決着といこう!」
牛鬼もさすがに妖怪ガンマンとしての素質を備えており、
ジライヤの心意気を認めて意気揚々と彼の戦意を受け止めたのだった。
渚から吹く海風が彼らの頬を優しく撫でた。
ジライヤの目が危険なほど険しい光を帯びた。
彼はげんこつを作っていた拳をゆっくりと広げ、ホルスターに差し込んだ
六連発銃に手をかけた。
それは牛鬼も同じだった。
のどかな波止場を沈黙と緊張が支配した。
どこからともなく渚からの風を受けたビール缶がカランとけたたましく音を立てて倒れた。
次の瞬間、ジライヤは目にも留まらぬ速さでホルスターから六連発銃を抜き、牛鬼目掛けてぶっぱなした。
牛鬼も負けじと六連発銃をぶっ放したのだが、ジライヤの腕の方が数段上だった。
勝負はすでについていたのだ。
言うまでもなく、牛鬼の手をジライヤの銃弾がかすり、彼の六連発銃はむなしく
アスファルトの上に転がっていた。
その後、銃の勝負に敗れた牛鬼は傷だらけのサスケ達に倒されて
牛人間と化していた街の人々も元の人間らしい姿を取り戻すことが出来たのだった。
数週間後、横浜マリンタワーではなすすべもなく逃げ惑う人々の姿があった。
「やれ、やれ、一人残らず斬ってしまえ!」と命じるのはブルーの重装備が特徴的な
妖怪、のっぺらぼうだ。
配下のドロドロ達は逃げ惑う人々を嘲笑うかのように、次々と湾曲した剣を振り上げて
無差別にそこいらの老若男女を斬りつけていた。
「やめろ!!」
威勢のいい江戸っ子口調とともに駆けつけてきたのはサスケ達だ。
「来たな、忍びの衆。待っていたぞ!」
片足を引いて戦闘の構えを取るサスケ達にのっぺらぼうはガハハと高笑いして向かえた。
「俺は妖怪世界一の殺し屋。貴様ら覚悟は出来てるだろうな!!」
「しゃらくせえ!」
「てめえら、一人残らずやっちまえ!」
サスケの一言で皆、戦闘衣に早代わりし、打倒忍びの衆のスローガンを掲げるのっぺらぼうもドロドロと共に走り出した。
これまで何度もこんな台詞を叩きつけて攻撃してくる相手に対して忍びの衆は決して慈悲をかけない。
今回も徹底的に叩きのめしてやるつもりだった。