つり橋下の冷たい川岸では大爆発を起こしたサスケを追って、戦闘衣の変化を解いた

五人組のくノ一がざっざっざっと細かい砂利を踏みしめてやってきた。

アヤメは飛び石をつたって、そこに挟むように打ち捨てられているサスケの遺体をそうっと

ひっくりかえしてみた。

「これは・・変わり身の術!」

サクラがサスケの遺体だと思っていたものが、わら人形に真っ赤な戦闘衣を着せた

ダミーだと分かって絶句した。

くノ一達はちっと舌打ちした。しかし、しゃがみこんでいたランがめまぐるしく頭を回転させ、

少し離れたところの飛び石に転々と赤い血痕がついているのに気づいた。

「まだ遠くに行っていないはず。探すのよ!」

アヤメが他のくノ一達に促した。

その頃、ミラの執拗な攻撃によって気を失ったと思われていたは最後の力を振り絞って、

戦闘衣からいつも持ち歩いている薄桃色の天の羽衣を取り出して、それを自らにかぶせて

瞬間移動をはかって脱出していた。



は今、くノ一達が殺気立って走り去った川岸からずいぶん離れた岸辺の浅瀬に

静かに身を横たえていた。

川の水はひんやりと冷たくて気持ちよかった。

(こんなにも平和な風景のひとこまなのに、私は一歩も動けずにただただ澄み渡る青空を眺めている)

(鶴姫、サイゾウ、ジライヤ、セイカイ、サスケ・・私、もうだめかもしれない・・・・・・。)

誰かが細かい砂利をふみしめながら近づいてくる。

全身を蝕む痛みゆえの幻覚だろうか?誰?



なんだな!おい・・しっかりしろ!大丈夫か?」

サスケは負傷した足をひきずりながら歩いていたが、偶然、岸辺の浅瀬で川の水面に片手を突っ込んだまま

横たわっている彼女を発見したのだった。

「サスケ?サ・・サスケなの・・ね?」

彼は、朦朧とした意識の中で危なかっしげに頭を動かすを抱き起こした。

「そうだ、俺だよ!良かった、お前、無事だったんだな!」

サスケは目に一杯涙を浮かべ、息がとまるかと思われるぐらい彼女を抱きしめて囁いた。

「み、水・・お水を・・ちょうだ・・」

の意識がまた遠のきそうになったので、それを察したサスケは

「水だな!」とひんやりと冷たい川に両手を突っ込んで、彼女の口に少しずつ注ぎ込んでやった。

「美味しい・・」

は頭の中が急に冴え渡るのを感じて微笑んだ。

そして、ゆっくりと起き上がると、川の水面まではっていき、自ら

両手一杯に新鮮な水をすくってごくごくと飲み干した。

サスケは改めて彼女を見つめた。

つい先ほどまで綺麗だった暗緑色の忍び装束は、乗馬鞭と忍刀のしつこい攻撃に

よってあちこち破け、そこから幾つも血がにじみ出ていた。

さらに両足には紫色や黄色の痣が出来ており、それがとても痛々しかった。

「すまない・・ジライヤにお前を連れて逃げろと言われたのに、俺はほっぽって自分だけ・・」

サスケはの肩をつかんで必死に詫びた。

「許してくれ・・こんなぼろぼろになったお前を見捨てて・・俺は何てことを!」

彼はきょとんとしているの顔を覗き込んだ。ここにもだ。彼女の綺麗な顔にも血がこびりついている。

サスケは何か声にならない叫びを上げながら、の肩を揺すぶった。

は何が何だか分からないような表情でぼーっとサスケを見つめていた。

彼は再び顔を上げて彼女の顔を見るのが怖かった。

もし、まともに彼女の顔を見たら・・抱きしめてしまいそうだったから。


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