サスケもに遅れをとらぬよう、ドロドロのみぞおちに蹴りを入れてひっくり返し、

すかさずもう一人のドロドロの左腕を掴んで豪快に投げ飛ばし、向かってきた者も手首を

巧みにおさえて横っ面を張り飛ばした。

それから、印籠を取り出し、素早く戦闘衣へと変化した。

もドロドロの首根っこを両腕でつかむと向かってきた別の者目掛けて

放り投げて激突させた。

一方、悪がきどもを追っていた滅法足の速いジライヤはいち早く彼らに追いつき、

二人目掛けてジャンプをかけたが、悪がきたちはそんな彼を嘲笑うかのように

空駆ける靴でひょいひょいと空中に浮き上がってしまった。

ますます図に乗った悪がきどもは、ジライヤ達をさらに酷くはやし立てて

港のコンテナまで連れ込んだ。

一方、印籠で戦闘衣に変化したサスケとは連れ立って、埠頭のコンテナまで

走ったが、ここでもどこから沸いてきたのか大勢のドロドロに足止めを食らってしまう。

身軽なサスケは横とんぼ返りでドロドロの前に降り立ち、次々と彼らを斬りつけて行った。

も負けじと龍のように飛び、ドロドロの剣をひょいひょいと避けながら、

大きく弧を描いて忍刀を振るって切裂いていた。



この場を切裂くような笑いがしたので、二人は思わず戦いの手を止めて

積み上げた土管の上を見上げた。

そこにはワンレンの髪を垂らした黄色いミニスカの女が甲高い笑い声で

サスケとを見下ろしていた。

「誰だ、貴様!?」

忍刀を肩に担ぎ、威勢のいい江戸っ子口調でサスケは謎の女に吼えた。

女はまた笑うと、今度は派手なメイクの洋傘のお化けへと姿を変えた。

「私は洋傘の妖怪。ミュージック、スタート!」

青と白の模様のパラソルを頭にさした女妖怪は、くすくす笑うとあさっての方向を指差した。

そこには踊る靴をはかされ、軽快なダンスミュージックに合わせて無理やり踊らされている

三人の男忍と悪がき二人の姿があった。


「何やってんだ、お前ら?」

事態がいまいち飲み込めていないサスケは首を傾げて尋ねた。

「助けて、サスケ、〜!」

「何って、見りゃ分からない?俺達変な靴を履いたら足が勝手に〜」

「Please Help me!!」

「こんな時にふざけてる場合か!」

だが、サスケは悪い冗談だろうと逆に三人の男忍達を叱り飛ばす始末である。

「これは踊る靴と言って、私の命令で踊りだしたら永久に踊り続けなければならないのよ」

「この五人はありがたく頂いていくわ〜」

「明日は大魔王様の誕生日〜踊るだけ躍らせて後は午餐のメインディッシュ行きよ」

「じゃあね〜♪」

ダンスミュージックに乗って、自身も軽快なステップを踏む唐傘はにこにこと微笑んで言った。

「あんた、ちょっと待ちなさいよ!」

はあまりにも身勝手な理由にかんかんになって怒った。

しかし、サスケやの吼える声もどこ吹く風で、唐傘は本当に嬉しそうに

踊る靴に魔法をかけると、慌てふためく五人をいともやすく連れ去ってしまった。

「これは大変!」

「何とかしなきゃ!」

サスケが「何でお前らそんなに早く走れるんだよ!?」とぼやきながら

走りだしたのと同時には焦って叫んだ。

彼女ははっと何をすべきか思い出し、両腕を高く掲げて組み合わせ、

いつか使った「忍法、龍下ろし」の技を繰り出した。

自らが巨大な龍に変身して飛行し始めたに、さすがの唐傘の踊る靴もかなわない。

優れた飛行速度であっという間に最後尾を走っていたジライヤに追いつき、

彼女はそのまま大胆に彼の上にダイブした。

いきなり落下してきた緑の龍にジライヤはおっかなびっくりしたが、そのおかげで

時間稼ぎが出来、サスケがようやく追いついて彼の暴れまくる靴を脱がしにかかった。

しかし、暴れる靴のせいでジライヤは誤って、サスケの首に強烈な蹴りを入れてしまい、

吹っ飛ばしてしまった。

怒ったサスケは、半ばやけくそで忍刀を抜き、ジライヤの靴を叩き切ろうとした。

しかし、そんな暴挙にでたサスケに、可愛らしい靴は縮み上がり、慌てて

ご主人である唐傘の元へ帰ろうとした。

しかし、そこは龍下ろしがそうは下ろさず、一瞬で、ジライヤの上から

霧のように分散し、今度は逃げ出した靴の上にダイブしてその動きを封じた。

可愛らしい靴はしばらく悲しそうに泣いていたが、龍のぎろりと輝く鋭い眼光に縮み上がり、もう何も言わなくなった。


「だめだ、サイゾウ達、どこ探してもいねえよ・・」

サスケは手分けして消えた仲間の行方を捜していた、ジライヤ、鶴姫にがっくりと肩を落として告げた。

「印籠も妨害電波でツウジナイネ・・」

ジライヤも困ったように言った。

「でも、今日が大魔王の誕生日よ」

「このままじゃ皆、午餐行きよ!」

鶴姫は冷静に言った。

ここで猫丸の室内が騒がしくなった。

「Oh,Shoes!」

ジライヤはステップを駆け上り、真っ先に段ボール箱をそっと開けてみた。

そこには主人のところへ帰りたくてしょうがない可愛らしい靴がミーミー泣いていた。

「そうだ、こいつを離したらご主人の唐傘のとこへ行くんじゃねえか?」

サスケは嬉しそうにぽんと膝を打って言った。


サスケの言葉どおり、ご主人様のところへ帰りたくてうずうずしていた唐傘の靴は

嬉しそうにふわふわと空中を漂い、猫丸を敵のアジトまで案内してくれた。


建設中のビルのガラスが散乱した非常口にサスケ達は抜き足差し足で走りこんだ。

皆は薄暗い駐車場をすり抜け、妖怪達が通り過ぎるのを待った。

そして、彼らは裏口の扉からこっそりと中を伺った。

そこには篝火がぱちぱちと嬉しそうに燃えており、大理石の玉座には大魔王その人が納まっていた。

そして、その先には軽快なダンスミュージックが流れ、唐傘の玩具にされて好きなだけ踊らされてる

セイカイ、サイゾウの姿があった。

このような屈辱を許すまじと怒ったジライヤは、唸り声をあげて裏口の扉を開けて突入しようとしたが、

それはサスケ、鶴姫、によって押さえつけられた。

それから大魔王の生誕祝いでてんてこまいの厨房に、サスケ、鶴姫、ジライヤ、達は忍び込み、

そこにある真っ白なデコレーションケーキに目をつけた。

皆がそれと行こうとした時、は「待って!私は配電室を見てくる」と

急に鶴姫に耳打ちした。

「どうして?」

「決まってるじゃない!バーズディケーキの蝋燭吹き消すとき、消灯するじゃない?」

「それに万が一の時の為に、配電室は手中におさめとかなきゃ!」

「よし分かった、お前一人で平気だな?」

「気をつけてね!」

ジライヤは女であるの身を案じて一緒に行きたがったが、サスケ、鶴姫はの優れた隠密行動の手腕に

信頼を置いていた為、彼女の意を汲んで黙って行かせた。


その頃、上の階では宴は最高潮に達していた。

大魔王はこの度の唐傘の余興に大いに満足し、玉座から立ち上がって豪快に笑っていた。

立食テーブルの他の幹部達もぴぃぴぃ口笛を吹いたり、足を踏み鳴らしたりしていた。


大魔王から少し離れていたところにたたずんでいた白面郎はもう見ていられなくなり、

目の前の唐傘や大魔王に気づかれないように、密かに宴の席を抜け出していった。


ところ変わって配電室。

は天井のダクトを開けて、ひょいと飛び降りた。

幸い、妖怪幹部全員が上階の宴に出ているため、配電室はもぬけの殻だった。

彼女はそれでも抜き足差し足で、油断なくあたりに目を配りながら冷たいコンクリートの壁に

沿って、配電室内を歩き回った。

そして、そそくさと歩いていくと、このビルの電源を管理しているブレーカーを見つけた。

彼女はブレーカーの蓋を開けて、電極スイッチがずらりと並んでいるのを確認した。

彼女がブレーカーに今まさに手をかけようとした時、背後に人影を感じた。

そこには宴を抜け出してきた白面郎が刀を彼女の首に突きつけていた。

「鶴、いや、お前はだな・・」

白面郎はぎくりと振り返ったに油断なく刀を突きつけながら言った。

「あなたは・・」

はこんな時に何て悪いタイミングなんだとぎゅっと目をつぶり、その刀が

自分に振り下ろされることを覚悟した。


配電室で絶体絶命のピンチに追い込まれてしまったを尻目に、上階では大変な騒ぎが持ち上がっていた。

赤いティンセルのリボンがかけられたケーキボックスから、潜んでいたサスケが元気一杯に

飛び出し、唐傘の顔に蹴りを入れて吹っ飛ばしたのだ。

その他、コックに変装していた鶴姫、ジライヤもばっと被り物を取って正体を現し、

一時、パーティー会場は騒然となった。


だが、邪魔な女忍を消す絶好の機会だったのに、白面郎はを斬ろうとはしなかった。

上階からもれてくる大魔王の高笑いや、サスケ達が唐傘があらかじめ仕掛けておいた上から落ちてきた鉄の檻にはめられた音などを

聞き取ろうとしていたのだ。

次の瞬間、彼は「退け!」と一声呟くと、彼女の首から刀を離して床に突き飛ばし、配電室のブレーカーをいっせいに落としたのだった。

すると上階からきな臭い火薬の匂いと物凄い爆発音に混じって、大魔王や唐傘や幹部達が慌てふためく音、サスケ達が形勢逆転を計った音が

こだました。

「どうして助けたの?」

「あなたは敵じゃないの?」

冷たい床に転がされたはその痛みも忘れて起き直ったが、白面郎は「早く行け!」と仮面のような表情で

命じるだけで、の質問には答えてくれなかった。

「ありがとう・・」

それでも白面郎の側を通り過ぎるとき、は彼に聞こえるか聞こえないかの声で礼を言うことだけは忘れなかった。








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