通行人がの指差したあさっての方向にひきつけられている隙に、

サイゾウは乳母車を押して移動した。

少し離れた大型駐輪場の前に再度乳母車を停めると、二人はほっとため息をついた。

「もっと可愛く泣けよ、バカ!」

それから、何もサスケの苦労を知らないサイゾウは乳母車の中をぐいと覗き込んで

文句を言った。

「それ言うならお前がやれよ!」

サスケはむっとして言い返し、彼にこの役の苦しみを分かってみろと喚いた。

「やだよ・・」

いきなり意見を振られたサイゾウはあたふたと逃げ出した。

「だいたいなぁ・・俺より、こういうのはの方が向いてんだよ」

一人残されたもサスケのとばっちりを食らい、「絶対にやだ!」と

完全否定してサイゾウの後を追う始末である。


それでもなかなか子泣き爺が現れないので、今度は公園に場所を移した。

今、サイゾウ、鶴姫とともにモニュメントの物陰に潜んだはじれったさを隠して

子泣き爺が現れるのを待った。

反対側には木立の影に潜んだジライヤ、セイカイがいる。

こちらも特に異常はないらしい。


ものの数十分待ったところ、乳母車の右側からサッカー部員の集団がボールを小脇に抱えて

走ってくるのが見えた。

サイゾウ、、鶴姫、ジライヤ、セイカイは何となく変に思って

物陰からおそるおそる出てみた。

思ったとおり、そのサッカー部員は突然、ボールを高く蹴り上げ、ヘディングして

サスケの乗る乳母車にシュートした。

そして、あっという間に走り出し、乳母車に手をかけて略奪しようとしたのである。

「やばいっしょ!」

セイカイの声で五人はいっせいに走り出し、先回りして乳母車の行く手を防いだ。

サイゾウ、ジライヤが「待て!」「どこへいくつもりだ?」と威嚇すると、サッカー部員は返事の変わりにサッカーボールを

地面に置き、いっせいに蹴り上げた。

そして、達に命中したサッカーボールは爆発を起こして粉々に吹っ飛んだ。

皆、むせながら、腕で煙を払うと、サッカー部員は消え、代わりに元いた場所には

ドロドロが現れた。

サイゾウは向かってきたドロドロの一太刀を上体を斜めに倒して避け、長剣を持った手を

つかんで抑えると顔面にパンチをお見舞いした。

ジライヤは地面に転がって、ドロドロの攻撃を避け、しゃがんだ状態から敵の足を払い、

起き上がりざまに強烈なとび蹴りを食らわした。



「うあっ・・」

ドロドロの攻撃をうっかり受けてごろごろと転がったは、とっさに地面に積もっていた枯葉と土をわしづかみして

投げつけた。そして、敵がひるんだ隙にすらりとしたカモシカのような足を回転させて

寝転んだ状態から起き上がりざまにキックを繰り出して吹っ飛ばした。

近くにいた鶴姫は走っていき、くるりと振り返ると敵目掛けて鶴手裏剣を乱れうちにした。


「しまった!」

セイカイが最後のドロドロの一人を豪快に投げ飛ばし終わった頃、は一人乳母車を押して

走っていく抜けドロを見つけて叫んだ。

「待て!」と異変に気づいた他の仲間が後を追った時には抜けドロは忽然と姿をくらましていた。

その後、五人は抜けドロにさらわれてドールショップに監禁され、爆薬で吹き飛ばされる寸前だったサスケを何とか見つけ

(彼は自力で縄抜けの術を使って爆破から逃れた)、無事に子泣き爺騒動を終結させた。





ここのところ立て続けに妖怪との戦いが続いた男忍び達は、お日様の恩恵を受けて

折りたたみ椅子やテーブルに足をのっけて気持ちよさそうに船をこいでいた。

「もうっ、何で私達がこんなことをしなくちゃいけないのよ!」

「ああ、頭に来た!私ね、あんた達の召使じゃないのよ!」

鶴姫はぶつくさいいながら、猫丸から伸びた洗濯用ポールに四人分の洗濯物を

干していた。

「あ〜あ・・私だって睡眠が足りないと調子が悪いのよ〜聞いてる?」

口に手を当ててあくびをかみ殺すも、不満そうに男たちを睨んだ。

だが、サスケ、サイゾウ、ジライヤ達はそんなのどこ吹く風で夢の世界をさ迷っていた。

「鶴姫ちゃん、ちゃん、大変そうだね。俺、手伝ってやるよ!」

スキップしながら洗濯物の影から現れたのはセイカイだ。

「あれ、一緒に寝てたんじゃないの?」

「セイカイ・・ありがとう!」

たちまち、鶴姫の顔がぱっと輝いた。

「この洗濯物、リサイクルで高くいけそうなんだよね〜♪」

鼻歌まで歌いながら、ジライヤのギンガムチェックの長袖シャツを干すセイカイは

怪しげなことまで口走っていた。

「ささ、二人とも、後は任して行った、寝た!」

セイカイはその不審な言葉を聞きかじった二人の背中を押しやって、洗濯物を干すのに

引き続き勢を出し始めた。

セイカイの目的は、そこで働く可愛いお姉さん目当てで、もう一つは男達の新品の服を不用品交換のマーケットに持っていって

売りさばくことだった。

そんなことは露知らずに鶴姫、は早々と折りたたみ椅子で眠ってしまった。




「違う、私じゃない!何で私のせいなのよ!」

「俺の余所行きのジーンズにTシャツどこへやった!?」

「Meのもないぜ!」

「俺の買ったばかりのパンツはどこ?」

昼寝から覚めた女の子達は、今、怒り狂った男の子達に責め立てられていた。

「何なのよ、私達に洗濯ばっかさせといてこの上文句まで!」

洗濯物をなくしたと一方的に決め付けられた鶴姫はむっとして反駁した。

「いいかげんにしてよ!!知らないものは知ら・・あれ、洗濯物手伝ってくれてたセイカイは?」

いつもは穏やかなも堪忍袋の尾が切れて、雷を落とした。

「あ、セイカイの仕業だ!」

鶴姫は先ほどから姿が見えない男忍びに気づいて叫んだ。


フリーマーケット会場ではちょっとした騒ぎが持ち上がっていた。

ウエスタン物のシャツ、ジーンズなどを売りさばこうとしていたセイカイを突き止め、

彼を羽交い絞めにしたジライヤ、かんかんに怒って彼をぶっ叩くサイゾウ、サスケに

フリーマーケットに来ていた客がわんさか集まり、騒ぎを聞きつけてきた責任者

女性が駆けつけてくる始末である。


そこでは木立の影に隠れていた白うねりの妖術によって、フリーマーケット内の布が

氾濫し、来客者の首に巻きついたり、視界を遮ったりしていた。

さらに、セイカイが見初めた責任者の女性まで白うねりにさらわれてしまい、

鶴姫、セイカイは猫丸を飛ばして妖怪を追いかけた。


「Meに任せな!」

フリーマーケット会場から俊足でやってきたジライヤは、背の低い木が立ち並ぶ小道を走行する猫丸の

ボンネットに飛び乗り、持っていたロープをカウボーイのごとくひゅんひゅん振り回して

白うねりめがけて放り投げた。

見事、白うねりの首にロープがひっかかったので、彼は力任せにそれを引っ張った。

だが、ジライヤは帰ってきた変わり身の術の沢山のぼろ布に翻弄され、

勢いあまって車外に放り出された。


「Oh, My God!!」とのた打ち回るジライヤを置いて猫丸はスピードを上げて

白うねりにせまったが、沢山のぼろ布がフロントガラスに飛んできてたちまち視界を遮られてしまった。

「待てっ!その女の人を離しなさい!」

白うねりは嫌がる女性を連れてそのまま逃げようとしたが、さらに土手を迂回して、フリーマーケット会場から借りてきたキックスクーターで

やってきたに天の羽衣を投げつけられて、一瞬ひるんだ。

「むっ!邪魔するか小娘、どけぇ〜!!」

だが、怒った妖怪はお返しに妖術、ぼろ氾濫で逆にの視界を沢山のぼろ布で防いでしまい、

彼女を土手から蹴落とす始末である。


「うあっ・・あぁああ〜!!」

「あれは・・!」

「危ねえ!」

悲鳴を上げて土手をごろごろと転がり落ちたは、後を追ってきたサイゾウ、サスケに何とか

抱きとめられる感じで止まった。

、大丈夫か?」

「怪我は?」

サスケ、サイゾウは腹をおさえたを助け起こして尋ねた。

「ちょっと蹴られただけ・・でも、セイカイが一人であの女の人を・・早く追って・・」

は息をぜいぜいはずませながら、二人に事情を説明した。











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